2015年版ISO経営で企業は変わる 第3講座~ISO9001:2015適合とは~

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ISO9001:2015適合とは

ISO9001:2015とは「規格」であり、「活動」でも「認証取得」でもありません。「規格に適合するようにする」ということです。しかも「国際規格適合」です。全世界に共通するルール、「マネジメントシステム」のルールであるということです。求められているのは、経営戦略としての業務の仕組みそのものと、その改善の仕組みづくりであり、仕事のやり方への「信頼性」の構築という適合なのです。製品やサービスへの信頼は、取り組んだ結果であって副次的なもので、これらを生み出す「仕組みそのものの信頼性」を求めているということなのです。

企業経営の4本柱は、品質、会計、労働安全衛生、環境であるとISOは説きます。この中の品質がISO9001、環境がISO14001、労働安全衛生はISO45000なのですが、しかし会計はISOとしてまだ確立していません。納期やコストなど会計原則にはいろいろな考え方があり、国際規格にはなかなか馴染んでこないようです。

品質、環境、労働安全衛生、会計のそれぞれのマネジメントシステムを、一つの企業経営システムとして取り入れて構築するべきという考え方をジェネリック・マネジメントシステム(GMS)といい、グローバルスタンダードの導入の考え方と共に色濃くなってきています。

企業経営のマネジメントシステムは経営戦略を包含した企業全体のマネジメントであり、ISO9001:2015の品質システム規格は、これを補佐する内部包括的マネジメントシステム規格であると言っていいでしょう。ISO9001を有意義に活用するには、顧客志向、業務透明性、信賞必罰を経営理念に取り入れていかねばなりません。

規格のなりたち

規格のなりたちは、1987年EC統合が進められて行く過程で、品質保証を目的とした規格が取りまとめられたのがスタートです。特に英国企業を中心に、世界の取引先企業にこの規格認証取得を要求し、世界的に広がりました。

日本国内でも、まず輸出型業種の電気・機械から、金属・化学・食品・建設へと広がりを見せ、1995年に認定機関JABが発足しています。ISO9001は2015年に改定版が正式に発効されました。規格の性格が1994年版の品質保証システムから、2000年版は顧客重視の品質マネジメントシステムへ、さらに2015年版は経営戦略的なリスクベースシンキングへと拡大しました。

ISO9001は世界50万社に普及し、日本でも80000社超が認証登録、効果があったという一方で文書管理の煩雑さなど批判も多く、1994年版は明らかに電気や機械系メーカーを意識して作られたものであり、サービス業には適合できない条項があるなど、問題が多かったのです。

2000年版の改定は、①サービス系業種への適合、②多様で高度な品質システムの要求を包含、が主とした狙いでした。その一環として規格の性格が品質保証システムから品質マネジメントシステムへと拡大したのです。

また、規格設計上の技術的コンセプトが変化しています。その最大のものは文書化要求で、94年版では20条の各章の冒頭で文書化を要求し、これへの適合が認証機関の主な審査でありましたが、文書をあまりに強く意識しすぎたため、詳細な手順書作成が審査員から要求され、文書だらけの管理になってしまい、かえってシステムが阻害されることになってしまいました。

2000年版では3分の1以下に削減されて6条となり、適合性評価は記録ですれば良いという考え方にシフトして、さらに2015年版では削減されて、2008年版まで6条だった文書化した手順は各組織の必要性に委ねられました。

しかし2015年版では本業との完全な統合、プロセスアプローチの重視、またシステムの改善やパフォーマンス評価についてはプロセスの測定や監視、データの分析などが要求され、適合しようとする企業はISO9001:2015の完全な理解と活用を求められているといえます。表面的な文書主義が通用しなくなったということです。

導入のメリットとデメリット

導入のメリットは何か。まず、やるべき事が明確になり、目標も定めやすく、やりがいが出ます。職場内での人間関係に関するストレスが減り、品質問題が改善され、管理者の権限と責任が明らかになり、有能な管理者はやりやすくなります。

ではデメリットは何かと言いますと、記録を文書に残す手間が少し増える、決まりごとは状況に関係なく徹底しなければならない、などがあります。
マネジメントシステム導入のメリットを列挙すると、

  • やるべき事が明確になり、目標も定めやすく、担当者のやりがいが出る。
  • 職場内での人間関係に関するストレスが減る。
  • 品質問題が改善される。
  • 管理者の権限と責任が明らかになり、有能な管理者はやりやすくなる。
  • 改善が進みリスクを回避し、好機を捉え、結果として利益体質が創造される。
  • 対外的に社会的信用の確保ができる。

デメリットは

  • 記録を文書に残す手間が少し増える。
  • 決まりごとは状況に関係なく徹底しなければならない。

などがありますが、専任者を置く必要はありません。

ISO9001認証取得は時期尚早?

中小企業、特に小規模企業の経営者から、「ウチには、ISOは時期尚早だ」という声が聞かれます。おそらく、そこまで企業として体制ができていない、あるいは大きくない、という意味だと思うのですが、心の底にはそんな大変なことはまだしなくていい、したくない、という気持ちがあるのではないかと思っています。

それが間違いです。いいときは商品がどんどん売れますが、ちょっとしたルール違反が、自らの大きな危機を招きかねないのです。ISOのマネジメントシステムに大きな価値があることは、そんな事例も示唆しています。実際、ISOの規格は小企業でも取り組めるように作られています。経営者を含めて2人以上の従事者がいれば組織ですから、マネジメントシステムは必要なのです。なぜなら、マネジメントシステムは組織経営そのものだからです。その意味から考えると、マネジメントシステム構築に時期尚早はないのです。経営トップは組織を組む他の従事者の生活維持のために、また企業を危くしないためにも、ISOマネジメントシステムの構築をする義務があるのではないでしょうか。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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