ISO14001における環境側面とは？わかりやすく解説

ISO14001に基づいた環境マネジメントシステムを構築する上で押さえておきたいのが「環境側面」。この環境側面は、環境マネジメントシステムにおいて重要なキーワードですが、その言葉の意味にイマイチピンとこないという方も多いかもしれません。

そこで、この記事では環境側面の概要や抽出方法、環境影響との関係などをわかりやすく解説します。

環境側面とは

環境側面とは、企業や組織が活動の中で、組織を取り巻く環境に影響を与える可能性がある側面のことを指します。

ここでいう「環境への影響」とは、必ずしも悪い影響のみに限定されません。のちほど解説しますが、悪影響だけでなく、好ましい影響も同様に考慮する必要があります。

ここでは、まず環境側面を理解する前提として知っておきたい情報を解説します。

環境の国際規格ISO14001をもう少しだけ詳しく知りたい方へ

自然環境のイメージが強いISO14001ですが、ISO14001における環境は自然環境のことだけを指している訳ではありません。
職場環境など企業を取り巻くものを指すのです。つまり企業が掲げる環境目標は必ずしも自然環境ではなくて良いのです。

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そもそも「環境」とは

私たちが日常で「環境」という言葉を使用するときには、「自然環境」や「地球の環境」というイメージで使用しますが、ISO14001における「環境」とは、自然環境及び、企業や組織と相互関係を含むステークホルダーのことを指します。

つまり、環境とは、大気や水、森林、土地という天然資源はもちろんのこと、顧客や労働者、取引先、政府などの、組織が活動を行ううえで「少しでも関係があるもの」のことです。

そのため、ISO14001における環境側面を策定する際も、多方面における影響を考慮することが求められます。

要求事項による定義

ISO14001の要求事項では、環境側面は以下のように定義づけられています。

環境側面
環境(3.2.1)と相互に作用する、または相互に作用する可能性のある、組織(3.1.4)の活動又は製品又はサービスの要素。
引用：ISO14001:2015環境マネジメントシステム

また以下のような記述もあります。

6.1.2環境側面
組織は，環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で，ライフサイクルの視点を考慮し，組織の活動，製品及びサービスについて，組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面，並びにそれらに伴う環境影響を決定しなければならない。
引用：ISO14001:2015環境マネジメントシステム

こうした記述の意味をかみ砕くと、「製品・サービスの製造～提供、廃棄までのライフサイクルの視点を考慮し、環境側面を決定すること」といえます。
つまり、ライフサイクルに含まれる場合、自社内の製造プロセスだけでなく、社外の取引先の環境影響についても考慮する必要性を求めていることは覚えておきましょう。

環境側面の抽出方法

ここでは、環境側面の抽出方法について解説します。
環境側面は、自社の活動のライフサイクルを対象に、インプットとアウトプットから抽出します。

ここでいうインプットとは、事業活動を行うために使用する製品の部品や素材、電力、人的資源などのことです。一方、アウトプットは事業活動を行うことで、排出・発生・廃棄されるものを指します。

例えば、事業活動で「工場での生産活動」における環境側面のインプットには「電力やガス、水などのエネルギー使用」、アウトプットには「生産活動に伴う排気ガスや汚水の排出」などが挙げられます。

「環境に影響を与える」環境影響との関係

ここでは、環境側面とよく似た言葉である環境影響の概要や環境側面との関係について解説します。

環境影響とは

環境影響とは、「環境側面から生じた環境の変化（与えられた影響）」のことです。
つまり、組織活動を通して、環境を変化させてしまうことを指します。

わかりやすい例で言うと、企業が電気を消費することで、発電が必要になります。その発電には資源が使用されます。特に日本では火力発電の比率が大きいため、CO2を大量に排出します。
つまり、電気を消費することで結果として、大気を変化させてしまっているわけです。それだけでなく、消費する電力が大きければ、電力会社にも影響を与えているといえるでしょう。

ただし、ネガティブな影響だけでなく、労働者を雇用するということは、雇用機会を創出しており、地域経済の活性化といったプラスの影響も、環境影響として考えられます。

環境側面との関係性

環境影響は、「環境側面から生じる環境への変化」です。
そのため、環境影響を考えるうえで、環境側面は前提として検討すべき要素といえます。まず環境側面を特定したうえで、環境影響について検討しましょう。

環境側面・環境影響の具体例

ここでは、環境側面・環境影響の具体例を紹介しますので、検討する際の参考にしてください。

著しい環境側面とは

企業活動の中でも、営業活動〜納品に至るまで、さまざまな活動を行います。そのため、各プロセスにおける微細な環境側面に対して、一つひとつ管理を行うことは現実的とは言えません。

そのため、環境マネジメントシステムでは「著しい環境側面」を特定し、管理します。
著しい環境側面とは、「環境側面の中でも特に重要であると考えられる側面」のことです。

わかりやすくまとめると、たくさんある環境に対する課題の中から、一番大事な課題を選び、その側面による環境影響を管理することです。
一番大事なこととして判断する基準は組織の方針や考え方によって異なるため、明確な基準はありません。ただし、環境影響を点数化する方法や環境側面がどのような影響を与えているのかを有数化する方法などにより、著しい環境側面を決定します。

まとめ

この記事では、ISO14001における環境側面・環境影響について概要や抽出方法、具体例について解説しました。

環境側面・環境影響は、環境マネジメントシステムの方向性を決める環境方針を策定するうえでも重要な要素の一つです。ネガティブな環境側面だけでなく、ポジティブな環境側面も特定することで、多角的な面から環境への影響を考えましょう。

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