IR活動とは

IR=Investor Relationsとは、全米IR協会の定義によると、企業の財務機能とコミュニケーション機能を結合させ、株主や投資家などの利害関係者にその企業の業績や将来についての正確な情報を提供する、マーケティング活動です。

ここでのキーは、企業に関するどのような情報を、どのタイミングで、どのようなチャネルを通じて発信するかです。つまりIR活動とは、利害関係者に自らの企業が創出しうる価値を、正確かつ有効に伝えるマーケティング活動ということです。

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ツーウェイ・コミュニケーション戦略

IR活動はまた、外部の利害関係者と企業との良好な関係を構築する活動でもあります。そのツーウェイ・コミュニケーション戦略を通じて、企業は情報を提供するだけでなく、外部からも情報を得て内部にフィードバックすることも重要な要素です。いわゆる「外部視点の内部化」です。

したがってIR活動は、企業価値を高める活動であるともいえます。なぜなら、事業面での成功は往々にして内部の論理を肥大化させ硬直化させますが、外部視点を取り入れるしなやかさと謙虚さをこの活動から養うことで、次の成功を促す柔軟性が生まれ、究極的には企業価値を高める効果を持つからです。

IR活動としていませんが、ISO マネジメントシステム規格 4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解の箇条は、外部視点を取り入れるしなやかさと謙虚さをこの活動から養うことも意図しています。

IRとPRの違い

似たような概念にPR活動がありますが、PR活動はIRを含む広報活動全般のことを指します。しかし、一般的にはPR活動は狭義で捉えられてしまいがちです。

狭義でのPR活動は一般社会、消費者、地域住民、そしてマスコミなどが対象で、企業のイメージアップや、商品の販売促進を目的としています。一方IRは、外部の特定の利害関係者を対象として、より深いコミュニケーションを必要とします。企業価値の創造と最大化のうえでも企業が行うコミュニケーション活動の中核を成すべきでしょう。

IR活動のこうした重要性を考えれば、その担当者はトップマネジメントの直轄であるべきです。

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コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンス=Corporate Governance:企業統治とは、「企業は誰のものか」を明確にするということです。

一般的な理解は、経営者、株主、債権者、従業員、取引先など、企業を取り巻くさまざまな利害関係者:ステイクホルダー=Stake Holderの利害調整を行い、その意思、権利、利益を企業経営に反映させるシステムです。しかしアングロサクソンの経済学の教科書的な認識では、そもそも投資する株主の目的は、出資した企業の株価の最大化であり、利潤の最大化です。経営者は株主により任命された経営の代理人=経営のプロのはずで、株主から株主価値の最大化を負託された存在のはずです。

ところが、資本と経営の分離が進み、所有と支配の乖離が進んだ株式会社制度の下では、株主が経営者を完全にコントロールすることは現実的に不可能になり、経営者は株主の意志から分離した支配を確立し、さまざまな利害関係者との利害を調整しなければならなくなりました。この調整がコーポレート・ガバナンスなのです。

アメリカ型と日本型

アメリカ型のコーポレート・ガバナンスでは、企業の所有者である株主の利益を大切にしますが、日本型では経営者は株主よりもそのほかの利害関係者の方を大切にしなければならないと考えられてきました。

経営者は利益の中から株主には少しだけ分配し、残りの多くは事業への再投資や被事業的な利殖、あるいは従業員の福祉、さらには工作用の裏金に当てるようになってきたと考えられます。株主と従業員の利害が一致することは通常ありえないことなので、利害関係者の利害を完全に調整することは不可能なことです。また、アメリカ型と日本型のどちらがベストであると断言することも不可能です。

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企業価値創造アクションと外部視点の内部化

不採算事業や余剰人員を速やかに整理できない体質や、明らかにコーポレート・ガバナンスが効いていない状況は改善し打破して、企業の経営システムを修正することで、企業価値創造のアクションに関する情報を、外部の利害関係者に正確に伝えることが求められます。

外部視点の内部化により、不採算事業や余剰人員・余剰設備の整理を速やかに進められるシステムを、確立する必要があるということです。例えば、取締役の少数化・社外化、取締役と執行役員の分離、執行役員システムの導入、執行役員に経営のプロを起用、本社部門の統合による意思伝達のフラット化、情報の一元化・共有化、中間管理職数の極小化、株式の持ち合い廃止や遊休資産の活性化による含み経営からの脱却、会計システムの再構築、積極的なディスクロージャー、成功報酬システムの導入などが考えられます。

トップマネジメントのIR

IR活動はコミュニケーション戦略です。したがってトップマネジメントは例えば、情報開示の条件とその情報開示によって何が起きるかなどについて十分に検討し、何をどのようにいうのかを選択し、吟味した決定しなければなりません。売り上げ内容なのか、戦略の変更なのか、その変更の是非を問うのか、短期収益の見通しなのか、内容はさまざまですし、表現の方法も一通りではありません。

基本は、IRプログラムをどう策定するかです。企業が置かれた状況、諸条件によって、そのプログラムは異なったものになります。企業価値創造が課題ですので、企業価値を評価し高める外部の利害関係者との、IR活動を通じてのコミュニケーションは、企業マネジメントのガバナンス・システム再構築を促すものとなるかもしれません。ROE=自己資本純利益率=株主資本利益率を重視するガバナンスに転換を図る、そのためのIRプログラム策定は、目的・方針・目標を定めて日常継続的に実施される内容でなければなりません。

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