ファイナンシャル・リスクマネジメントの基礎知識

企業の最終目標は、企業価値の創造です。価値創造経営の基本はキャッシュフローの現在価値を最大化していくところにあります。そのためにはファイナンシャル・リスクマネジメントに関する基礎知識が必要ですので、本稿は、どのような知識が必要かを紹介していくものです。

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会計システムにおけるキャッシュ

企業活動を健全に維持・発展させていくうえで、会計システムにおけるキャッシュほど重要なものはないといっていいでしょう。キャッシュの流れが途絶えたとたん、企業活動は停止し、倒産に至ります。その意味でキャッシュは企業の血液であり、その流れをコントロールする財務部門のファイナンシャル・リスクマネジメントは、企業の命脈を預かる心臓部分といってもいいでしょう。
精緻な財務分析に基づいて企業の血流の管理を行い、キャッシュが過不足なく組織の隅々まで行き渡るように管理を実施し、血流を絶やさぬように資金の調達と運用を行わなければなりません。それがファイナンシャル・リスクマネジメントの基本です。

会計システムの4つのステージ

会計システムは会計業務の単なる効率化だけでなく、高度な経営支援に役立たなければ意味はありません。会計システムには、外部報告用の財務諸表の作成を目的とする財務会計と、内部管理のための管理会計との2つの側面があります。この2つの会計は相反する側面を持っていますが、基本のデータはひとつであり正しく共有されなければなりません。

管理会計システムは突き詰めると会計の領域を超え、経営管理の領域に絡んでいきます。というのは、企業の主要活動を分けてみると基幹プロセスと支援プロセスに分けられますが、管理会計には、支援プロセスの主な活動である経理・人事・総務と、基幹プロセスの主な活動である経営計画・設計開発・プロモーション・生産・供給などの活動との、整合性を保つ役割があるからです。つまり、一般的に言って、財務会計は外部の利害関係者に決算報告をすることが主たる目的で、それは過去の業績の報告であり、対象とするのは過去の財務で、財務諸表の形で文書が作成され、報告は強制されるもので、商法や証券取引法などでの法規制があり、情報の正確性が求められます。一方、管理会計は内部経営管理のための活動であり、意思決定と業績管理のためであって、過去・現在・未来を対象とし、予算書・原価計算書などの文書が作成され、強制も法規制もなく、迅速で有用であることが求められます。

シカゴに研究所のあるアンダーセンコンサルティングは、会計システムの構築事例を4つのステージに分類しています。

ステージ0(混沌)
会計システムができていないか、あっても金銭出納と預金管理くらいで、システムとしてはほとんど機能していない。

ステージ1(財務会計エクセレンス)
財務会計システムとして完成しており、システムとして効率性を重視している。

ステージ2(会計管理エクセレンス)
管理会計的側面も意識され、システムの有用性を重視して、業績評価サイクルが明確にされている。

ステージ3(経営管理エクセレンス)
経営管理システムとして完成領域に達しており、企業の戦略実現において、価値創造に十分貢献できる状態で、基幹プロセスと業績評価サイクルを正しくリンクしている。

これらのステージは必ずステージ0から上がっていかなければ構築できませんが、会計システムを構築する場合は、まず、現状がどのステージにあるのかを判断し、今後どのステージがターゲットなのか、いつまでに到達するのかを見極めなければなりません。

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企業活動における企業価値の創造

企業価値の創造のためには、まず、経営幹部がキャッシュの創造がいかに重要かを理解しなければなりません。そのうえで、例えば、借入債務の長期かつ安全なものへの切り替え、銀行とのより友好的な関係の構築・維持、さらに、社内の報告業務のスピードと精度の向上、高いスキルを持った財務プロフェッショナルチームの編成など、企業価値の創造のための改革を進めなければなりません。

さらに赤字を計上している事業と、高成長を見込める事業を峻別し、前者は売却または精算し、後者は継続投資と積極的なマーケティング活動を進めるように意思決定をしなければなりません。

外部に報告する利益額と株価の関係が希薄になり、キャッシュフローと株価が密接に関係していることが明らかになっています。つまり報告される収益からではなく、その企業の将来のキャッシュフロー・パフォーマンスから、企業価値を算出する投資家が増えているということです。

キャッシュの創造が、企業価値の創造にとって重要であることが、このことから明らかです。企業価値の最大化こそ経営支援の財務部門には最重要課題です。したがってIR活動の充実も大切な課題となるのです。

管理会計に求められる高成長への投資判断

大がかりな戦略転換がいかに価値創造に影響を与えるか、また変革を価値創造要因に結びつけることがいかに重要かを、経営幹部は理解することが必要です。

経営戦略を通して企業価値の目標値を定め、価値創造重視の原則を企業文化に定着させて、社員にも見える形にしていくことです。

その後の高成長のために、どの事業にどのくらい投資すべきかを算定し判断することも管理会計に求められます。

会計はISO 化されていませんが、価値創造に関する管理会計の活動は、ISOマネジメントシステム規格 4.1状況の理解、4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解、6.1リスク及び機会への取り組み、の箇条において、関連してくると言えます。また パフォーマンス評価 の項目に、企業価値の目標値を設定することも、有効ではないかと思います。

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