営業キャッシュフローの改善

営業キャッシュフローの改善について、純利益の極大化を損益計算書の科目に沿って考えます。
営業キャッシュフローの改善のまず第1は、売上の向上は言うまでもありませんが、マーケティング戦略によって売上向上の努力を続けなければなりません。
キャッシュフローの改善の第2はコストの削減です。コストには流動費である製造原価と固定費である一般管理費があります。製造原価削減策としては現材料費や仕入価格の引き下げ、外注先への影響力増大、従業員のパート化、製造のアウトソース化、コンピュータ技術活用などがあります。一般管理費削減策としては、さまざまな科目があるので経費の一律カットは意味がなく、売上・利益・キャッシュフローと連動した管理が必要です。かけた経費に対してどれだけのキャッシュフローを生むかで経費を評価できるように、経費の帰属先のルールを作って明確に配分する方法が良いでしょう。
キャッシュフローの改善の第3は、棚卸資産です。在庫は損益計算書には表れませんが、期末に大量の在庫が残っているということは、その分キャッシュが減少しているということです。
キャッシュフローの改善の最後は、買掛金・支払手形は長いサイドで、売掛金・受取手形は短いサイドで、を心がけることです。

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投資キャッシュフローの効率化

投資キャッシュフローの効率化のための最適管理は重要課題です。
効率化の主なポイントは、①適切な判断による投資内容及び金額、②設備投資、M&A、有価証券投資、その他の投資の適切なバランス、③非効率な投資の排除です。
投資の判断基準は、その投資が企業の存続と発展に必要か、という視点です。自社の事業ドメインから外れた投資は成功しにくく、現事業との相乗効果がある投資かどうかが基準で、その事業が生み出すキャッシュフローの現在価値も判断基準になります。キャッシュフローの期待利回りやハードルレート(その事業が最低限満たさなければならない収益率)をあらかじめ設定しておき、これに基づいて判断を行います。
次に余資運用の投資バランスですが、優先順位とその限度額をあらかじめ決めておく必要があり、優先順位では、現事業に関連する分野での戦略的判断が求められます。DCF(ディスカウント・キャッシュフロー:将来価値を現在価値に置き換える測定法)で、その投資が生み出す現在価値を測定し、十分なキャッシュフロー分析を行うことになります。(後述)
非効率な投資の排除とは、投資撤退の判断基準をDCFに求め、ある一定のキャッシュフロー・ベースの利回りが確保されない事業からは撤退する方針を決めておき、撤退を遅れないようにするということです。
さらに、遊休資産もキャッシュを生む資産として活用するか、売却することもポイントです。

財務キャッシュフローの効率化

財務キャッシュフローの効率化のためには、キャッシュフロー経営を進めて、銀行依存度を低くし、自立度を高めて、銀行とは少し距離をおいて付き合うことが必要です。
そのために、新しい金融商品を利用して資金調達や運用をする改善策を採用することも考慮します。直接金融商品には、社債、株式(増資・公開)、ワラント債、転換社債などがあります。さらに、遊休資産だけでなく現在使用している資産も証券化して、流動化する資産流動化商品、なかでもABS(Asset Backed Securities:資産担保証券)などは、現有資産の活用です。
資金調達の方法も多様化させます。

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EVA(経済的付加価値)とキャッシュフロー

EVAとは、「企業が税金を支払った後に、株主が期待している利益を差し引き、債権者が期待している金利を支払ったうえで、さらにどれだけ上回って利益(経済的価値)を生み出したかを実績で表す指標」で、Stern & Stewart社が開発した財務指標です。
EVAは企業が使用資本を上回って税引後営業利益を上げたときに初めてプラスになり、経済価値を生み出す、という考え方です。EVAを継続的に創出するためには、売上高の増加、営業費用の減少、負債・株式資本の適正な構成、資本の効率的な活用が必要です。
この指標が有効な理由は

  1. 株主価値に最も近い
  2. 会計上の歪みを正常化した指標
  3. 資産有効活用を重視
  4. 意思決定の基準になる

会計上の利益が黒字でもEVAがマイナスになる場合、継続しても付加価値を創出できない事業と判断できます。したがって、この指標は事業部単位にも適応でき、業績評価とリンクできます。
量から質の時代を超えて、価値創造の時代を、EVA指標は端的に表している、といっていいでしょう。

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