DCF法による評価法

DCF法による評価法とは、現在価値の考え方から、ある企業が結果としてどれだけのキャッシュフロー累計を生み出すかを計算するものです。この評価法の結果を正味現在価値(NPV=Net Present Value)ということもあります。
現在の株価と企業価値は違うという観点から、例えばM&AのときなどはこのDCF法による評価法で買収する対象企業の価値を算定して買収価格を決めるのです。このDCF法による評価法は、簡単に言うとある企業の将来n年間のキャッシュフローを、ディスカウント・レートで割り引いて現在価値を計算し、そこから初期投資を差し引いた金額を算定する方法です。結果がプラスの場合、その投資からのリターンが市場にある同等のリスクの投資案件(ディスカウント・レートの案件)よりも高いことを意味します。つまり、ディスカウント・レート(例えばリスク・フリーの国債の購入など)で運用するよりも、この企業に投資した方が、有利ということです。
ただ、この評価法はディスカウント・レートを何%に設定するかで結論が変わって来ますし、将来のキャッシュフロー予測が難しいので、予測によっても差が出てきます。
企業価値は、本来は財務価値と事業価値の総和です。財務価値を算定するのは財務分析などですが、事業価値の判断はその企業のCEO及びCFOの勘の良さに頼るところが大きいことを忘れてはいけません。その勘を養うのは、歴史学や哲学、心理学などの素養と、もって生まれた素質、実業経験であると言えます。DCF法による評価法はそのような事業価値の判断を、キャッシュフロー予測やディスカウント・レートの設定で算定しようということです。

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その他の企業価値評価法

その他の企業価値評価法としては、株価から見た評価法(PER法)、内部収益率法(IRR法)、資本回収期間法(ペイバック法)、投下資本利益率法(ROI法)、収益還元法、などがあります。

株価から見た評価法(PER法)

株価から見た評価法(PER:Price Earning Ratio法)とは、現在の株価が前期実績または今期予想の、1株当たりの利益の何倍かを示す指標を用いる方法です。これは収益力に占める株価の割合を示す指標です。基準はありませんが20を超える企業は急成長企業と言われます。

PER=株価÷(今期予想税引後利益÷発行済株式数)=株価÷1株当たり税引後利益

内部収益率法(IRR法)

内部収益率法(IRR:Internal Rate of Return法)とは、DCF=0となる割引率のことです。IRRの値がハードルレートを超えれば、その投資案を採択し、達しない投資案は却下するという方法です。複数の企業や事業への投資案の選択・絞込みに便利な方法です。

資本回収期間法(ペイバック法)

資本回収期間法(ペイバック法)とは、ある投資から得られるキャッシュフローが、その投資額に等しくなるまでの期間を資本回収期間と言いますが、決めた一定期間内に資本回収ができる投資案は採択し、満たない投資案は却下するという方法です。

投下資本利益率法(ROI法)

投下資本利益率法(ROI法)とは、投資金額に対する利益の比率で判断をする方法のことで、具体的には平均利益を投資金額で割って計算します。この方法は利益としてリターンを測定しているので、会計データと整合性があり、簡単ではありますが時間的価値を考慮していないという欠点があります。しかし、いろいろな事業を規模に関係なく比較できますので、どれが最も収益率が高いかという業績評価につなげることができます。利益計画と資金計画を包括できる総合分析指標として優れています。

ROI=平均利益額÷投資金額

収益還元法

収益還元法とは、DCF方のキャッシュフローを利益に置き換える方法です。すなわち将来の予想利益を一定の率で割り引くことで、その現在価値を算定し、意志の決定のための指標とします。

  • 予想利益÷割引率
  • 過去の平均利益÷割引率

新会計基準の導入と企業価値重視の経営

新会計基準の導入以来、日本の企業はアメリカ型の企業価値重視の経営へと大きく転換してきたと言っていいでしょう。含み益経営からキャッシュフロー経営へ、経営の舵が変わり、企業価値創造という最終目標を明確にして、「企業は社会のものである」というコーポレート・ガバナンスがますます強く求められていくものと思われます。
企業は創業者のものであり、企業は経営者のものであり、企業は従業員のものであり、企業は株主のものであり、究極的には企業は社会のものであるのです。
企業価値はキャッシュフローから算定できるかもしれませんが、それはその企業がどのような社会的価値を、製品またはサービスとして創出できるのかによるもので、キャッシュフローはその結果であることを忘れてはならないと考えます。

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