企業存続発展の基礎

企業分析の視点から言いますと、企業存続発展の基礎は、未来のための投資や財務内容の改善、配当・自社株買入などの株主への還元を行う原資であるフリーキャッシュフローになります。企業を現状よりも改善させる原資だからです。
もしフリーキャッシュフローを生み出せなければ、事業の一部売却や保有資産を担保にした借入を行うことになります。それは将来フリーキャッシュフローを増加させるかもしれませんが、逆に借入増加によって財務リスクを高めることになることもあります。
従来、日本企業は土地価格上昇による「含み」に依存する経営をしてきたかもしれません。しかし、事業上の利益は出ていても、企業分析をするとフリーキャッシュフローがいつもマイナスという状態が続いている、ということはないでしょうか。これはフリーキャッシュフローから見れば、回収できない投資を続けてきたという企業分析の結果になります。企業存続発展の基礎がないということです。
企業分析では、フリーキャッシュフローを生み出す力が高い企業は企業価値が高い、という評価の基準になるということです。

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現状維持投資と超過投資

現状維持投資を営業キャッシュフローから差し引いたものがフリーキャッシュフローですが、では現状維持投資とはどの範囲を含めるのでしょうか。その定義によってフリーキャッシュフローは変わってきます。物価上昇分や長期にわたっての生産減少分をカバーするための設備投資は現状維持投資と考えるべきでしょう。
設備投資の伸び率のうち、生産コストの伸び率までを現状維持のための投資とみなし、それを超える部分を超過投資=フリーキャッシュフローと考える方法があります。超過投資とは未来投資と余資運用の合計です。
フリーキャッシュフローを生み出し、増やすには、含みの経営から脱却し、回収できる投資を増やすことが原則になります。

キャッシュフローによる企業分析法

キャッシュフローによる企業分析法はまず営業キャッシュフローの各項目の変動を見ます。売掛金、買掛金は年によって大きく違うことがあり、棚卸資産が増加すること、買掛金が減少することは、いずれもキャッシュフローではマイナスになります。売掛金の増加はマイナスなので、これを買掛金の増加で補っていることもありますし、補えずに他の項目で現金流入があって補ったということもあります。
投資キャッシュフローでは、投資と回収が一定しているか、どの投資がキャッシュフローを増加させているか、また投資と回収の全体の規模も分かります。総額を捉えることも重要です。
財務キャッシュフローでは、借入金の増減を見ます。短期借入を長期借入にシフトしているとか、配当が一定しているかなどが分かります。
このようにキャッシュフロー計算書からは、その企業のキャッシュポジションを分析します。

収益性の分析

収益性の分析を、キャッシュフローを用いてする場合、その指標の中で最も一般的なものが、キャッシュフロー・マージンです。営業キャッシュフローを売上高で割ったものですが、売上に対してどのくらいのキャッシュフローを営業活動から生み出しているかを把握する指標です。
また、フリーキャッシュフローを売上高で割った率も指標としてあります。この指標の方が、
営業活動が生み出した真の成果物の割合を示すので、収益性分析のうえでは重要です。しかし、フリーキャッシュフローは公開情報から把握しにくいので、キャッシュフロー・マージンが一般的なのです。
そのほか、純利益、減価償却費の比率も重要です。純利益を純利益+減価償却費で割ったもの、純利益を営業キャッシュフローで割ったもの、減価償却費を営業キャッシュフローで割ったものが指標として使われます。純利益は比較的変動幅が大きいのですが、減価償却費は概して安定していることが多く、その意味で減価償却費を多く取れる企業は営業キャッシュフローが安定していると言えます。しかし、減価償却費に頼りすぎると成長性が乏しく、営業キャッシュフローの成長性は純利益が、安定性は減価償却費が担っていると言えます。

収益性分析の計算式

営業キャッシュフロー÷売上高=営業活動がどれだけキャッシュフローを生み出しているかを示す収益性分析の計算
フリーキャッシュフロー÷売上高=営業活動が生み出した真の成果物を示す収益性分析の計算。但し公開情報からは把握しにくい
純利益÷(純利益+減価償却費)=この収益性分析の計算結果の比率が高いほど成長率は高いが、営業キャッシュフローの安定性は低い
純利益÷営業キャッシュフロー=この収益性分析の計算結果の数値が大きいほど成長性が高い
減価償却費÷営業キャッシュフロー=この数値が大きいほど安定性を示す収益性分析の計算ですが、大き過ぎは成長性を欠く

財務力の分析

財務力の分析の指標には、まず1年以内に返済期日が来る流動債務に対する返済能力を見る指標があります。営業キャッシュフローを流動負債残高で割ったものですが、キャッシュフロー版当座比率と言っていいでしょう。借入金の返済原資はあくまでキャッシュなので、キャッシュフローから返済能力を知る方が意味は大きいのです。
次にキャッシュフロー比率です。営業キャッシュフローを長期負債残高で割ったものですが、長期の返済能力を見る指標です。但し、例えば返済期日が一時に集中していて財務安定性が低いといった状況は分かりません。1年を超えれば長期なので、長期負債の把握には注意を要します。
営業キャッシュフロー+支払金利+税金を支払金利で割ったキャッシュフロー版インスタント・カバレッジ・レシオがあります。企業の利益が支払金利の何倍あるかを見て、金利の支払能力が分かる指標です。
営業キャッシュフロー+流動資産残高を流動負債残高で割った流動負債返済能力を見る指標があります。これは究極的な流動負債の返済原資を示しています。この指標が1を切った場合、短期負債返済を固定資産の売却や増資で賄うことが必要になります。

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