情報セキュリティ認証とは?種類一覧・認証制度の違い・取得の流れを解説

FAQ情報セキュリティ認証に関するよくある質問
自社の情報セキュリティ体制を強化したい企業や、取引先から情報セキュリティ認証の取得を求められている企業にとって、「どの認証を取得すればよいのか」は悩ましいテーマではないでしょうか。
情報セキュリティ認証とは、企業が構築・運用している情報セキュリティ管理体制を、第三者機関が客観的に評価・証明する仕組みの総称です。
昨今、情報セキュリティリスクを低減し、自社の情報資産を保護するために情報セキュリティ認証を取得する企業が増えています。
そこで、この記事では情報セキュリティ認証の種類やメリット、取得する流れを解説します。
情報セキュリティ認証とは?
情報セキュリティ認証とは、企業や組織が構築・運用している情報セキュリティ管理体制が、一定の基準を満たしていることを第三者機関が審査し、認証する仕組みの総称です。
簡単にいうと、社内で情報セキュリティ対策を整えるだけでなく、その取り組みを客観的に評価してもらう、という制度です。
近年は、情報漏えいやサイバー攻撃のリスクが高まっていることから、情報セキュリティ対策は企業にとって重要な経営課題となっています。その流れを受け、対策の実効性や信頼性を対外的に示す手段として、情報セキュリティ認証を取得する企業が増えています。
ここでは、情報セキュリティの基本的な考え方や認証が必要とされる理由について解説します。
そもそも情報セキュリティとは?
情報セキュリティとは、「組織が保有する情報資産を、適切に保護・管理する取り組み」のことです。情報資産には、顧客情報や取引先情報といった個人・機密情報だけでなく、業務データ、社内資料、システムそのものも含まれます。
これらの情報が外部に漏えいしたり、不正に改ざんされたり、必要なときに利用できなくなったりすると、企業の信用低下や事業継続への重大な影響につながります。そのため、情報セキュリティは、IT部門などの限られた部門だけの問題ではなく、組織全体で取り組むべき重要な課題です。
情報セキュリティの3要素とは?
情報セキュリティ対策を考えるうえで基本となる考え方が、「機密性」「完全性」「可用性」の3要素です。多くの情報セキュリティ認証や規格も、この3要素を軸に構成されています。
- 機密性:情報に対して許可された個人のみアクセスできる状態
- 完全性:情報および処理方法が正確かつ最新の状態で管理されている状態
- 可用性:許可された個人が必要な時にアクセスできる状態
この3つの要素をバランスよく改善し、高めていくことで、「使いたい情報を使いたいときに、アクセスを許された人のみが、正確かつ最新の情報を活用できる状態」の実現につながります。
情報セキュリティ認証が必要とされる理由
情報セキュリティ認証が必要とされるのは、取引先や顧客からの信頼獲得に直結するセキュリティレベルの高さを客観的に示せる手段であることが理由です。
従業員数300人以下のIT系中小企業経営者約1,000人を対象に、ISOプロが行ったアンケートでも、その実態が裏付けられています。

情報セキュリティ認証の一つであるISO27001を取得することで「取引先や顧客からの信頼を得られるか」「契約に影響を与えるか」という点について質問したところ、以下のような結果が得られました。
| Q | 情報セキュリティ認証の一つであるISO27001を取得することで、取引先や顧客からセキュリティに関する信頼が得られると思いますか? |
|---|---|
| A |
|
| Q | ISO27001などの認証がないことで実際に契約に至らなかったことはありましたか? |
|---|---|
| A |
|
この結果から、多くの企業において情報セキュリティ認証が「取引先や顧客からの信頼獲得につながる」「契約に良い影響を与える」と実感していることがわかります。
情報セキュリティ認証を取得するメリット・デメリット

情報セキュリティ認証の取得には、セキュリティ体制の強化や対外的な信頼の獲得といった多くのメリットがある一方、費用や作業負担といったデメリットも伴います。ここでは、両者を整理して解説します。
メリット
情報セキュリティ認証を取得する主なメリットは、以下のとおりです。
情報セキュリティ体制の強化
認証取得の過程で情報セキュリティ方針を策定し、自社の状況に応じたリスク対策を実施するため、組織全体の体制強化につながります。
対外的な信頼の獲得
第三者機関の審査をクリアした証明として、顧客や取引先に対し情報資産の適切な取り扱いをアピールできます。取引条件や入札基準になるケースもあり、新規取引の開拓にもつながります。
従業員の意識向上
認証取得には従業員教育が要件に含まれるため、一人ひとりの情報セキュリティに対する意識が高まり、情報セキュリティインシデントの発生リスクの低減が期待できます。
デメリット
一方で、情報セキュリティ認証の取得には、以下のようなデメリットもあります。
認証取得に費用がかかる
審査費用に加え、担当者の人件費やコンサル費用も考慮する必要があります。取得後の維持・更新費用も含めて、事前に総額を把握しておきましょう。
新たに作業が発生する
規格要求事項を満たすマネジメントシステムの構築・運用が必要なため、本来の業務に加えて作業量が増えます。自社の実情に合わない仕組みを構築すると、特に負担が大きくなりがちです。
取得後も審査対応が必要
認証は一度取得したら終わりではなく、定期的な審査が必要です。文書作成や記録整理など、継続的な対応が担当者の負担となることがあります。
なお、こうしたデメリットは、信頼できるコンサルに依頼することで軽減できる可能性があります。取得を検討している場合は、自社における費用や工数の目安について、コンサルに相談してみることもおすすめです。
代表的な情報セキュリティ認証の種類一覧

代表的な情報セキュリティ認証には、ISO27001・ISO27017・ISO27701などの国際規格が挙げられます。こうした規格は、取引先や顧客に自社の体制の有効性の証明手段になることから、国内外において多くの組織が取得しています。
ここから、それぞれの情報セキュリティ認証について詳しく解説します。
ISO27001(ISMS認証)
ISO27001とは、「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関するISO規格」です。
情報セキュリティ全般が対象であり、このあと解説するISO27017やISO27701などのISO27000シリーズにおいても中核となる規格です。
ISO27001では、組織が保有する情報資産を情報リスクから保護し、適切に管理するために、情報セキュリティの三要素である「機密性」「完全性」「可用性」をバランスよく高めることを目指しています。
ISO27001の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISO27017(クラウドセキュリティ認証)
ISO27017とは、情報セキュリティのうち「クラウドセキュリティに特化したISO規格」です。クラウドサービスに適用するために、ISMSで構築したシステムの改良が求められます。
ISO27017を取得できる事業者は、以下のいずれかに当てはまる事業者に限定されています。
- クラウドサービスを提供している事業者(クラウドサービスプロパイダ)
- クラウドサービスを利用している事業者(クラウドサービスカスタマー)
- クラウドサービスを利用・提供している事業者
またISO27001のアドオン認証(拡張認証)であるため、単独での取得はできません。必ずISO27001と同時に取得するか、先にISO27001を取得する必要があります。適用範囲においても、ISO27001と同じか範囲以内での取得となります。
ISO27017の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISO27701(プライバシー情報管理)
ISO27701とは、情報セキュリティのうち、プライバシーに特化した情報マネジメントシステム(PIMS)に関するISO規格です。組織が取り扱う個人情報に限定し、プライバシーの観点からの保護を目指します。
またISO27017と同様に、ISO27001のアドオン認証(拡張認証)であるため、単独での取得はできません。必ずISO27001と同時に取得するか、先にISO27001を取得する必要があります。適用範囲においても、ISO27001と同じか範囲以内での取得となります。
ISO27701の詳細は、以下の記事をご覧ください。
Pマーク(プライバシーマーク)
Pマークとは、個人情報保護マネジメントシステム(PMS)に関する国内規格です。
上記3つの規格とは異なり、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営しているため、日本国内でのみ効力を発揮します。
個人情報保護法に基づいた対策を導入することで、個人情報保護における情報漏えいや紛失、改ざん、不正利用などの情報リスクを低減するための仕組みを構築・運用します。
ISO27701との違いを以下にまとめました。
| 規格 | ISO27701 | Pマーク |
|---|---|---|
| 規格の種類 | 国際規格 | 国内規格 |
| 適用範囲 | 取得企業が決められる(企業全体、事業所単位、部署単位など) | 企業全体 |
| 要求事項の特徴 | 企業の状況に合わせてルール・文書管理を行う | 作成するルール・文書が決められている |
| 取得がおすすめの企業の特徴 |
|
|
Pマークの詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISMAP
ISMAPは、政府機関が利用するクラウドサービスのセキュリティ水準を確保するために設けられた、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度です。
あらかじめ政府の求めるセキュリティ要求を満たしたクラウドサービスを評価・登録することで、政府機関が安全にクラウドサービスを調達できるようにすることを目的としています。
政府機関などとのクラウドサービス取引を行う事業者や今後の参入を見据えている事業者にとって重要な評価制度です。
ISMAPの詳細は、以下の記事をご覧ください。
SCS評価制度
SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)は、サプライチェーンを構成する企業のセキュリティ対策状況を、共通の基準で客観的に評価・可視化する制度です。
経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室が主導し、2026年度末ごろの本格運用開始が予定されています。
取引先のセキュリティ対策状況を外部から判断しにくいという発注元企業側の課題と、複数の取引先から個別の基準を求められる委託先企業側の課題、双方の解消を目指している点が特徴です。
SCS評価制度の詳細は、以下の記事をご覧ください。
JISEC(ITセキュリティ評価及び認証制度)
JISECは、IT関連製品のセキュリティ機能の適切性・確実性を、国際標準であるISO/IEC 15408に基づいて評価・認証する日本国内の制度です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認証機関として運営しています。
これまで紹介してきた組織のマネジメントシステムを対象とする認証とは異なり、JISECはIT製品そのもののセキュリティ機能を評価対象とする点が特徴です。
主に政府調達において活用されており、国内で認証を取得した製品は、国際相互承認の枠組み(CCRA)に参加する諸外国でも認証製品として扱われます。
どの情報セキュリティ認証を取得するべき?

情報セキュリティ認証を選ぶ際は、自社の事業内容や取り扱う情報の性質、取引先からの要求に合った認証を選ぶことが大切です。新しく追加されたISMAPやSCS評価制度も含め、企業の状況別に適した認証は異なります
ここでは、企業の特徴別に向いている認証を解説します。
中小企業・中堅企業に向いている認証
中小企業・中堅企業には、まずISO27001(ISMS)の取得がおすすめです。情報セキュリティ全般を体系的に管理できる、基本的かつ汎用性の高い認証であるためです。
業種・規模を問わず、情報セキュリティ体制を一から整備したい企業にとって、最初に検討すべき認証といえます。情報セキュリティの土台を固めたうえで、必要に応じて他の認証を追加していくのが効率的な進め方です。
クラウド事業者に向いている認証
クラウドサービスを提供または利用している企業には、ISO27017や、政府機関との取引を見据えるならISMAPの取得が向いています。
ISO27017は、クラウド環境特有のリスクに対応するためのアドオン認証で、ISO27001と合わせて取得することで、クラウドサービスのセキュリティ対策をより具体的に証明できます。
一方、ISMAPは政府機関のクラウド調達における評価制度であるため、官公庁向けにクラウドサービスを提供したい事業者にとって重要な評価基準です。
個人情報を扱う企業に向いている認証
個人情報を取り扱う企業には、事業内容に応じてISO27701またはPマークが向いています。
海外取引や国際的な個人情報保護への対応が求められる企業は、国際規格であるISO27701が適しています。
一方、国内取引が中心で、BtoCや国内企業との取引が多い企業には、国内規格であるPマークが取得しやすく、認知度の面でも分かりやすいというメリットがあります。
官公庁・大手企業取引で求められやすい認証
官公庁や大手企業との取引を見据える企業には、ISMAPやSCS評価制度への対応が今後重要になっていきます。
ISMAPは政府機関へのクラウドサービス提供において重視される評価制度です。また、SCS評価制度は、取引先から対策状況の可視化を求められる場面が今後増えていくと考えられます。大手企業との取引拡大を目指す企業は、こうした制度の動向にも注目しておくとよいでしょう。
| 規格 | 主な対象 | 向いている企業の特徴 |
|---|---|---|
| ISO27001(ISMS) | すべての情報資産 | 情報セキュリティ全般を体系的に管理したい企業。業種・規模を問わず、まず取得を検討すべき基本的な認証 |
| ISO27017 | クラウド環境の情報資産 | クラウドサービスを提供している、またはクラウドを前提としたシステム開発・運用を行っている企業 |
| ISO27701 | 個人情報(プライバシー情報) | 個人情報の取り扱いを強化したい企業。海外取引や国際的な個人情報保護への対応が求められる企業 |
| Pマーク | 個人情報 | 日本国内での取引が中心で、BtoCや官公庁・国内企業との取引が多い企業 |
| ISMAP | 政府機関向けクラウドサービスの情報資産 | 政府機関・自治体にクラウドサービスを提供している、または今後参入を目指す企業 |
| SCS評価制度 | サプライチェーン全体のIT基盤 | 大手企業のサプライチェーンを構成する取引先企業。今後、取引先からセキュリティ対策状況の可視化を求められる中堅・中小企業 |
| JISEC | IT製品のセキュリティ機能 | 政府調達向けにセキュリティ機能を持つIT製品(ソフトウェア・ハードウェア)を開発・販売している企業 |
情報セキュリティ認証を取得する流れ

ここでは、情報セキュリティ認証を取得する流れを解説します。ただし、各規格によって必要な要件は異なります。あくまで目安としてご覧ください。
1.取得する情報セキュリティ認証を決定する
まずは、取得する情報セキュリティ認証を決定しましょう。
| 規格 | 取得が多い企業の業種・特徴 |
|---|---|
| ISO27001 |
|
| ISO27017 |
|
| ISO27701 |
|
| Pマーク |
|
自社に適した情報セキュリティ認証がわからない場合には、ISO規格やPマークの取得サポートをしているコンサルティング会社に相談することがおすすめです。自社の目的や課題、現状のヒアリングを行ったのち、適した認証を提案してくれるでしょう。
2.情報セキュリティ認証取得の準備
取得する情報セキュリティ認証が決まったら、取り組みを始める前に準備を実施します。具体的には、以下の内容を行います。
- 経営層による認証取得のコミットメントを行う
- 認証規格の取得に取り組むプロジェクトチームや担当者の選定
- 認証取得までの計画の策定
- 認証を取得することを従業員に周知する
3.情報セキュリティマネジメントシステムの構築
各情報セキュリティ認証の要求事項に則って、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を構築します。
ここでは、ISO27001を例にして要求事項について解説します。ISO27001の要求事項は以下の10章から構成されています。
- 適用範囲
- 引用規格
- 用語及び定義
- 組織の状況
- リーダーシップ
- 計画
- 支援
- 運用
- パフォーマンス評価
- 改善
「1.適用範囲~3.用語及び定義」はISO27001の説明であり、実際に取り組むのは「4.組織の状況~10.改善」です。
ISMSの構築にかかる部分は、「4.組織の状況~7.支援」までの項目です。組織内外の課題やニーズを把握、トップマネジメントによるリーダーシップ、リスクの特定や分析、評価、文書管理などに関する要件が示されています。
4.情報セキュリティマネジメントシステムの運用
構築したISMSを実際に運用する段階です。先ほどのISO27001を例にした場合、ISMSの運用における要求事項は「8.運用~10.改善」までが該当します。
ここでは日々のリスク対応における運用記録の作成、情報セキュリティパフォーマンス評価を行うこと、内部監査・マネジメントレビューなどに関する要件が示されています。
5.審査を受ける
情報セキュリティマネジメントシステムを構築・運用し、各情報セキュリティ認証の要求事項を満たしたら、審査機関による取得審査を受けましょう。
ISO27001を例にすると、取得審査は一次審査(文書化した書類や運用記録などの書類審査)と二次審査(現場に訪問して行う実地審査)の2つの審査をクリアすることが必要です。
無事に要求事項への適合性が認められれば、情報セキュリティ認証を取得できます。
まとめ
この記事では、情報セキュリティ認証の種類やメリット、取得する流れを解説しました。
情報セキュリティ認証とは、自社の保有する情報資産を管理・保護し、情報セキュリティリスクに遭遇する可能性を低減するための仕組みを構築・運用することです。
情報セキュリティ認証を取得することは、これからのIT社会で事業展開において欠かせない取り組みの一つといえます。
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