今回のテーマでは「ISO 9001:2015 6.3 変更の計画」の要求事項について解説します。

品質 マネジメントシステムは、継続的改善活動により製品品質を向上させ、顧客の期待を上回る製品を提供して企業の利益拡大を目指すための仕組みです。マネジメントシステムの運用では、以下のような様々な変更作業や変更管理が発生します。

≪変更-例≫

  • 組織を取り巻く環境の変化に応じた「組織構造の変更」
  • より充実した生産環境を整備するための「新設備の導入」
  • 内部/外部監査で指摘された是正・改善要求に伴う「文書の改訂」
    (各種規程および手順書・記録など文書の表記、誤字脱字など文字の訂正も含む)
  • 作業手順など要員への徹底や習得教育などの変更

ISO規格 「6.3」の要求事項(下記参照)によると、「変更」が発生した場合には「計画的な方法で行わなければならない」とあります。つまり、マネジメントシステムの運用で組織(あるいはトップマネジメント)が変更事項を決定した場合には、要求事項「a)変更の目的,及びそれによって起こり得る結果 」にもあるように、変更の目的を明確にし、変更に伴う関連業務(プロセスの効果的運用や管理)への支障がないよう、

  • 変更事項の適用開始日
  • 変更の目的、従来との差異の明確化
  • 関係者への周知および必要あれば従業員の教育訓練実施

など関係者との調整が必要です。変更作業・管理は計画的に、留意事項の確認、予め想定される問題点など洗い出して対策の検討、余裕もって確実に変更事項を実行できるよう準備します。

それでは、具体的にISO9001:2015「変更の計画」に関する要求事項について確認します。

■6.3 変更の計画
組織が品質マネジメントシステムの変更の必要性を決定したとき,その変更は,計画的な方法で行わなければならない(4.4参照)。
組織は,次の事項を考慮しなければならない。

  • a) 変更の目的,及びそれによって起こり得る結果
  • b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)
  • c) 資源の利用可能性
  • d) 責任及び権限の割当て又は再割当て

要求事項b)~d)についても「4.4」を参照しながら順番に見ていきましょう。
(巻末に「4.4」の要求事項について掲載あり)

「b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”」について

品質マネジメントシステムは、相互に関連するプロセス(工程・方法等)で構成されています。
プロセスという概念は要求事項「4.4」で定義されていますので、巻末の「4.4」要求事項を参照されると良いでしょう。

組織のプロセスには、営業/受注、材料手配(発注・購買)、製造では加工・接着・塗装など作業ごとに工程管理されており、その他に製品品質検査・出荷などもあります。各プロセスでは明確な作業手順や管理方法があり、それぞれのプロセスは製品製造・販売という1つの目的に向かって作業や業務が進められていきます。

例えば、製品品質検査プロセスにおいて、インプットが「工程完成品、作業指示書兼記録票」の場合

◎前工程である製造プロセスのアウトプットは工程完成品と作業指示書兼記録票です。
           ↓ ▲ここで、仮に「凹み」のある工程完成品を次工程に渡した場合
◎当工程である品質検査プロセスでは、当然「不合格品」(不具合程度は軽微で補修により再利用可)として判断評価されます
           ↓ 不合格品は担当工程に戻され、補修作業を実施
      >品質検査では再検査を実施します
           ↓  製品梱包、検査成績書など納品に必要な書類を用意し、後工程に書類・完成品を引き渡す
◎後工程である物流プロセスでは製品の出荷作業が行われ、発注元に納品されます。

このように、製造(前工程)~品質検査~物流(後工程)のブロセスは相互に関連しています。
前後のプロセスを念頭に自プロセスを効率良く運用・管理するためには、作業に必要な「判断基準および方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む)」を決め、遵守することです。各種規定には、規定の対象となるプロセスで必要な様々な判断基準や方法が定められています。要求事項6.3 変更の計画 b)は、プロセスに関して決められたルールに従い、計画通りに実施し、その成果を得られた状態「完全に整っている状態」となる業務活動を要求するものです。

「c) 資源の利用可能性 」について

変更の計画c)では、上記b)で明確にしたプロセスにおける変更作業で必要な資源を確認します。資源については「7.1.3インフラストラクチャ」に記載されていますが、
例えば、

  • 建物及び関連するユーティリティ
  • ハードウェアおよびソフトウェアも含む設備
  • 輸送のための資源
  • ※情報通信技術も必要な資源に含まれます。
    その他、要員数・適任者の確保などもあります。既存の資源で対応可能なのか、新規調達に要する期間や費用、人的教育など計画的を立て実行する必要があります。

    「d) 責任及び権限の割当て又は再割当て」

    計画の変更に伴い、規模によっては組織変更が必要になることもあります。管理責任者や担当者の設置、配置換え、責任権限の割り当てなども考慮する必要があります。

    ■巻末:ISO9001:2015要求事項

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    4.4.1 組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。 組織は,品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また,次の事項を実施しなければならない。

    • a) これらのプロセスに必要なインプット,及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。
    • b) これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。
    • c) これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し,適用する。
    • d) これらのプロセスに必要な資源を明確にし,及びそれが利用できることを確実にする。
    • e) これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
    • f) 6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。
    • g) これらのプロセスを評価し,これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を実施する。
    • h) これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

    4.4.2 組織は,必要な程度まで,次の事項を行わなければならない。

    • a) プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。
    • b) プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。

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