HACCPシステム構築の手順 第11講座 まとめ

著者:清水正敏
投稿日:
更新日:2020年06月23日

導入のメリットは何か、

  • 安全のためにやるべき事が明確になり、目標も定めやすく、仕事のやりがいも出る。
  • 職場内での人間関係に関するストレスが減る。
  • 品質や食品安全問題が改善される。
  • 改善が進みリスクを回避し利益体質が創造される。
  • 対外的に食品安全の確保が証明できる。

ではデメリットは何か、

  • 記録を文書に残す手間が少しだけ増える。
  • 決まりごとは状況に関係なく徹底しなければならない。

運用ではPDCAサイクルが基本です。

食品の安全を確保し、証明するとき、技術者、職人のものの考え方をとりあえず捨てなければなりません。私が保証するから安心だ、きちんと検査をやっているから安心だ、永年携わってきたプロが作るのだから安心だ、という考え方をまず捨てなさい、ということです。

HACCPシステムで人間とプロセスをきちんと管理しなければいけないということです。 社会及び顧客が求めている安全を約束する、これが食品安全システムを構築する目的です。

原材料、購買、生産現場、営業、販売すべての部門で製品の安全を確実にする仕組みを構築し、その仕組みを改善していかないと、安全は確保されません。

システムの構築と運用のPDCAとは、

  • (P)食品安全システムの構築と運用を計画する。
  • (D)原材料から生産現場、営業までが、どのような仕組みでこれを担保するのかということを決めて、必要ならば計測器などでの管理を実践する。
  • (C)安全が確保できたということを、何らかの形で計測してチェックし記録する。
  • (A)自分たちの製品やサービスが顧客の安全をどのように担保しているかを知り、何か足りなければ何をどうすればよいのかを考え実行する。 ということです。

このようにPDCAサイクル、つまり、計画、実行、チェック、改善のサイクルを回していくことが、構築するHACCPの基本です。

HACCPというのは手段です。これを目的にしてはいけません。 食品安全システムをつくっていくこと、その証拠を残すこと、そういう企業でありつづけること、きちっとした管理をする企業だと社会から信用されること、そのための一つの道具がHACCPであるのです。

システムを構築したから自動的に業績が良くなるなどということはありません。 企業を存続させること、利益をあげること、システム化はこれを行うための手段なのです。

今まで暗黙の了解のもとで、安全でよい仕事のやり方はこうだ、とやってきたわけです。 でもハザード分析を体系的にやっていない、HACCPをシステムとしてきちんと整理整頓していない、あるいはPRPも体系的なアプローチができていない、老朽化の問題もある、ということなのです。 暗黙の了解のもとでやってきた今までのやり方を、HACCPの7つのステップに従って、要点だけきちっとまとめた文書にし、食品安全管理のポイントを明確にしておくこと、このことが食品関連企業のシステムでは重要なことなのです。

構築に当っては、業務プロセスがどういう仕組みになっているかを、明確にしなければなりません。 プロセスの連鎖ということです。各プロセスの相互関係がどうなっているのか、ここのところを明らかにします。 この業務の仕組みの中で食品安全の管理を実行します。

手順とはルールです。守るべき基本ルール、これが手順です。ルールは決めたら守ります。 そして食品安全の管理点を監視することと、記録をきちっと残すということです。

構築の作業は、まず現状の製造区域と業務と製品について調査分析を行います。 そこからPRP管理に不足があれば改善し、またハザードを特定し、管理点を導き出し、管理の方法を決めて、それらについてルールを作ります。

そのルールを社員全員に説明をして、必要なら現場で教育訓練も行えば、システムの運用開始の準備が整えられます。 運用を開始してからも教育・訓練は必要です。

システムの構築は企業の発展に役立つのです。この機会を有効に利用して、仕事の体質をさらに改善し、エクセレント・カンパニーを創り上げてください。 「利は元にあり」という格言がありますが、これは「利は改善にあり」のことだと思います。改善によって利益体質を作り出し、それを強化することは、組織を良くし、従業員への分配も増やすことです。

会社と従業員個々人の発展のために、改善の道具でもある食品安全システム構築に、全員で取り組んで頂きたいと思います。 エクセレント・カンパニーづくりこそ、社会に貢献し、食品安全に寄与し、顧客を満足させ、従業員を幸せにする、最大の目標だと思うからです。

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この記事の著者情報
清水正敏 ( シニア クオリティ & フードセーフティ プロフェッショナル )
シニアクオリティ&フードセーフティプロフェッショナルとして、健康食品や茸生産、パスタ、味噌、加工フルーツ、大量調理、水産加工、食品パック、チーズ、洋和菓子、畜肉、漬物、中卸、容器包装などの食品関連施設にてFSMS(食品安全マネジメントシステム)の構築指導を担当。また、QMS(品質管理システム)の審査員としても活動しており、食品に対するQMS構築指導にも従事。コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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