今回のテーマは、「力量/資格管理編(社内工程員・検査員)」です。

品質 マネジメントシステム のパフォーマンス向上、製品製造(あるいはサービス 提供)・業務プロセスが品質目標通りに進められ、期待通りの成果を出すためには、まずその業務に必要な力量・技量を明確にする必要があります。実務担当者(作業者)の力量評価基準を設定し、これに沿って定期的に教育・訓練計画を作成(見直し)・実施することで必要とする知識・技量の修得、より多くの経験を積ませることが可能となり、マネジメントシステムのパフォーマンを向上させることができます。

評価基準の作成

一般的には、各部門長が業務で必要とする力量および技術の評価基準を設定し、業務の管理責任者が定期的に実務担当者(作業者)の力量について評価します。

また、評価する土台として、業務/作業工程が標準化されていなければなりません。人為的ミスが多発している状況や作業が非効率的に進められているなど、生産計画通りに生産が進まないような状態では的確な力量評価はできません。標準化は人為的作業ミスの軽減や作業効率の向上効果があります。さらに作業者一人一人がムリ・ムラ・ムダの発見に取り組めるような仕組みを取り入れ、定期的に標準作業の改善を図ることで品質および生産性を向上させることが可能になります。

業務/作業工程において作業内容・手順が明確で簡素化・標準化されており、内部的に安定した生産状態にあるか確認し、下記に示す評価基準の確認事項について確認します。
 

評価基準の確認

・評価基準を示す文書の有無
例えば、評価基準なく、上長の感覚で力量管理されているケースもあります。
この場合、力量評価したといってもその根拠がなく、評価結果の質が問われます。

・評価基準の有効性
評価基準の内容について「育成」という観点から有効性について確認しましょう。
力量管理する内容は企業や部署等によって異なりますが、業務/作業に特化した評価基準のみある場合や、社会人としての一般常識・社会人マナー・人柄・的確な判断力・聞く力・コミュニケーション能力など総合的に評価する場合もあります。ここでは、製品製造(あるいはサービス提供)・業務プロセスを遂行する上で必要な知識・技量・経験値を適切に評価するための基準が設定されているかを確認します。

・定期的な評価基準の見直し
業務内容は変化します。評価基準の見直しが必要なときに適切に見直しが実施されているかを確認しましょう。例えば、極端ですが、10年も前に作成した評価基準をそのまま利用しているケースも珍しくありません。

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教育・訓練計画の作成

教育・訓練に関連する要求事項および社内文書の確認

業務/作業によって、社内認定 資格や顧客認定資格、その他特定の資格(国家資格・民間資格・公的資格等)が必要な場合もあります。それら資格取得を目的とする教育計画や、通常作業で必要とする知識・技術を修得するためのOJT やOFF JT(セミナーや研修等)といった育成目的の教育も含め、年間教育訓練計画がしっかり立てられ、個別に力量管理されていなければなりません。まずは、教育計画や力量管理に関連する社内文書やISO 要求事項、および 顧客要求事項 について確認しましょう。

教育・訓練計画の作成

組織は「人材」というリソースを効率的に活用して競争力を向上させ、少ない人員で最大限の利益を得る、「人材育成」は企業にとって生産性を向上させる重要課題の1つです。

しかし、中小規模の企業では、適任者不在、人手不足により管理職は兼務が多く、社員教育・育成まで手が回らないなどの事情で人材育成は殆ど行われておらず、社員を使い捨てのように何年も場当たり的な作業ばかりさせているケースも少なくありません。残念なことにこのような危機的状況を理解し、改善を図る企業は多くありませんが、ISO9001では箇条「7.2力量」で力量管理についての要求がありますので、教育訓練計画を立て、将来も見据えた人材育成を強化するよう被監査部門に改善の機会を提供しましょう。

■ISO9001: 2015要求事項

組織は,次の事項を行わなければならない。

  • a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
  • b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
  • c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
  • d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
  • 注記 : 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。
    7.2 力量

各種文書に従い部門長(あるいはトップマネジメント等)が作成する教育訓練計画書の妥当性について、力量評価基準やスキルマップ(力量管理表)を参考に確認しましょう。

■図解01 教育訓練計画書-例

教育訓練計画書-例

力量管理表の運用

教育訓練計画書と合わせて、実務担当者(作業者)一人一人の力量管理表が作成されているか確認します。業務(作業)で必要とする作業項目(業務内容)について列挙され、現時点における評価(力量)と、知識/技術の修得による熟練度の向上に期待する年間目標が設定されおり、年度終了時に公正公平に評価されなければなりません。

また、中小企業では人材不足・管理職の兼務等の事情から、評価者(管理職)が実務担当者(作業者)を評価するだけの知識・技術/熟練度を持ち合わせていないケースもあります。当然その場合は公正公平に評価することはできないわけですから、早期改善が必要になります。業務管理職が評価者である場合、評価するに見合うだけのスキルを持ち合わせているのか確認が必要な場合もあります。

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