【第5講座】 ISO返上を実行し内部監査を充実させるためには

投稿日:

ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年04月30日

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ISO返上の方法

第三者認証ISO返上の方法は、次の審査日程の問い合わせの時や、もっと早くでも構わないのですが、単純にISO返上して認証を継続しない旨を審査機関に伝えることです。何かISO返上の書類を作成して送るように求められるかもしれません。ISO返上の理由を聞かれることもありますが、理由を述べなければならないということはありません。

ISO返上とはその審査機関による認証登録を取り消すということですので、JABなど認定機関と審査機関のマークの使用はできなくなり、ISO9001:2015認証取得という言葉も使うこともできなくなりますから、名刺、会社案内、看板などで表明している場合は、有効期限後にそれらを使えなくしなければなりません。

しかし、ISO返上後も例えば「ISO9001:2015規格適合」の文言は使えます。ISOの規格適合認証には、規格の序文に明記されているように、自己認証である「第一者認証」があります。これは内部監査によって適合を確認し、自己宣言するものです。

内部監査を充実

第三者認証を返上し、内部監査を充実させ、さらに外部専門家の監査によって、品質改善、職場改善、ひいては経営改善につながる運用にしていくことも、一つの選択肢と考えましました。

第三者認証を返上⇒内部監査による第一者認証で自己宣言」を検討されることをおすすめします。第三者認証のISO返上と第一者認証による自己宣言、名より実を取る選択です。

内部監査の方法

それでは、どのような内部監査が組織の存続と発展に寄与し、経営方針を支援するより有効化された内部監査なのでしょうか。事例を紹介します。

例えば地方の建設会社、規模は要員20人、認証取得して8年目だとすると、8年かけてマネジメントシステムはどこまで成長しているのか、あるべき姿に対して何が足りていないのか、組織の目的達成に関してシステムは効果的に運用されているのか、が内部監査の課題となります。

監査目的は、「マネジメントシステムが継続的に維持改善され、目的達成に関して有効であることの確認」です。

事前準備としては、

  • 品質マニュアルの読み込みと運用要点の抽出
  • 企業情報と業種・業界
  • 地域特性の調査
  • この組織の品質の本質の仮定
  • どういうことを問題にしたいのかのチェックシートの作成

以上です。

トップには事前にインタビュー内容として、中期的な経営展望と戦略、そこにおけるマネジメントシステムの計画意図及び運用への理念を詳しく聞きたい旨、さらにあるべきマネジメントシステムの姿について意見交換をしたい旨を伝え、参考資料としてマネジメントシステムのあるべき姿像の記述を渡します。

トップからは事業シナリオ、つまり中期的な経営展望と戦略、トップとしての思い、長期的なビジョン、市場状況と競合関係、現状の環境認識、当面の活動ドメインの考え方、そしてこれからのミッションと思っている提供したい価値、そのために必要な知識や技術、新規性への経営志向と方向性、今後の人材計画、恐れているリスク、その予防策、組織とシステムのあるべき姿、最近気になることを確認します。

さらに顧客とそのニーズの定義、顧客創造の活動状況、目標設定の経緯、各部署の目標設定への指示内容、顧客満足の達成度へのコミットメント、各部署の過去の目標達成度への指示内容、現在の製品の差別性、優位性、弱点、今後の投資計画、など用意してきた質問を時間の許す限り優先順位をつけて行います。これらは目的達成に関するシステムの有効性を判定する基礎的な情報です。

トップインタビューで達成すべき組織の目的の中身を確認し、管理責任者及び各部門の監査で現状を確認して、目的達成に関する現状のシステムの有効性を判定するわけです。

管理責任者との面談では、マネジメントレビューの記録、前回審査で特定された課題へのその後の対応、苦情の処理、計画的な改善活動、システムの変更、そしてマークと認証登録証の使用状況について確認をします。

現場では、システムの現場での運用状況、現場固有の管理項目の運用状況、組織固有の評価されている技術力、その実態を把握し判定の材料とします。

各部門での面談では、システムの継続的な運用管理の状況を、実態を把握することで確認し、当然、各部門の要員の力量と教育・訓練、品質目標の進捗状況、工程内不適合製品の記録、建築なら手戻り工事の記録、このとき実施された是正・予防処置、監視している顧客満足度情報、最近実施された内部監査の方法と監査内容、監査結果、供給者・下請けの評価記録、設計・開発の運用状況、計測機器管理状況、作られているデータとその分析結果の利用、などの確認項目も時間の許す範囲で優先順位をつけて確認します。

この事例で課題を指摘した問題点は、目標達成率が80%で年度を終わろうとしており、前年度も同じ目標で同じ達成率であり、その原因はほぼ特定しているのであるが、記録をとり、分析し、原因に対しての是正及び改善の活動に結びつける、そうした動きが全くないことでした。

こうした内部監査を実施するためには内部監査員の力量を高めなければなりません。

返上の効能

経営ツールとしてのマネジメントシステムの成長を促すことができていない審査、そればかりでなく、余計なことも要求したり、無意味な議論を繰り返したりする審査は、返上の決断をする方がメリットは大きいはずです。そうすれば時間も出費も抑えることができるからです。

第一者認証の有効性

第一者認証の効果は、監査の範囲を規格に限らずに実施することによって生まれます。つまり規格は基本ではありますが、その中にとどまらず監査の範囲を自社に固有の規範や課題にまで広げ、総合的に組織の改善点を見つけることができるからです。そのためにはそれができる内部監査員の力量が必要です。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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