レビューの意味

第1講座で定義を確認したレビュー〈review〉ですが、3.8.7「設定された目標を達成するための検討対象の適切性、妥当性、及び有効性(のいずれか又は全て)を判定するために行われる活動」であり、そのための精査、見直し、ということです。

マネジメントレビュー が会議形式で行われる例が多いのですが、本来、レビューに会議というニュアンスはなかったと思います。規格 でも主語はトップマネジメントであり、拡大解釈をしても経営層です。 適用範囲 を一工場に限り、トップマネジメントを工場長にするという過去に多く見られた企業の場合、権限が限定的であり、また現場の検証が主な内容だったこともあって、管理職の会議形式が定番になってしまったのかもしれません。私も当初は会議だと思っていました。しかしある企業で、社長一人でマネジメントレビューを行っている事例に会い、改めて規格をつぶさにレビューして悟ったのです。主語はトップマネジメントだと。

このマネジメントレビューはシステムレビュー(system review)です。規格の定義に従うと3.2.1+3.8.7「相互に関連する又は相互に作用する要素(プロセス)の集まり」つまりシステムの「設定された目標を達成するための適切性、妥当性、及び有効性を判定するために行われる活動」となります。システムマネジメントのために行う戦略的レビュー活動のことなのです。つまりマネジメントレビューとは、システムの経営戦略的レビュー活動のことで、経営戦略として採用し導入したマネジメントシステムの適切性、妥当性、及び有効性を判定する活動ということです。

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プロセスとシステムのマネジメント

マネジメントもプロセスとシステムでは定義が違います。プロセスマネジメント(process management)とは、3.4.1+3.2.6「インプットアウトプットに変換する、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動を指揮し、管理するための調整された活動」ということであり、組織が運用する個々のプロセスを対象とした、それぞれのプロセスの責任者による個別的な指揮活動のことです。

一方でシステムマネジメント(system management)とは、3.2.1+3.2.6「相互に関連する又は相互に作用する要素(プロセス)の集まりを指揮し、管理するための調整された活動」と定義され、組織が意図した成果達成のために運用するプロセスの集合が対象の、システム全体に対して統合的に指揮する活動ということです。

では、2015年版の規格のどの節に当たるでしょうか。

9.1.3 分析及び評価 には「組織は,監視及び測定からの適切なデータ及び情報を分析し,評価しなければならない。分析の結果は,次の事項を評価するために用いなければならない。c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性d) 計画が効果的に実施されたかどうか。e) リスク及び機会への取組みの有効性g) 品質マネジメントシステムの改善の必要性」とあります。これを書き換えると、監視・測定、その他から得たデータを適切に分析し評価して、その結果を以下のことに利用する。c)システムのパフォーマンス・有効性 d)計画をうまく実施しているか e)リスク・機会への取り組みの有効性 g)システムの改善機会、ということです。

また10 改善10.1 一般 には「組織は,顧客要求事項 を満たし,顧客満足を向上させるために,改善の機会を明確にし,選択しなければならず,また,必要な取組みを実施しなければならない。これには,次の事項を含めなければならない。a) 要求事項 を満たすため,並びに将来のニーズ及び期待に取り組むための,製品及びサービスの改善b) 望ましくない影響の修正,防止又は低減c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性の改善」とあります。

これも同じように書き換えると、顧客の要求に応え、満足を向上させるために、改善の機会を明確にして取り組む。以下を含める。a)要求を満たし、将来のニーズ・期待に取り組むための製品・サービス提供の改善 b)悪影響の修正・防止・低減 c)パフォーマンスと有効性の改善、ということになります。そして10.3 継続的改善 には「組織は,品質マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。」とあります。

やはり書き換えると、システムの適切性、妥当性、有効性を継続的に改善することとなります。これらの要求を満たす活動を、プロセスマネジメントとシステムマネジメントによって行うということです。改善のための指揮活動が求められているということです。

プロセスとシステムのマネジメント活動

この活動は具体的にどのような活動になるのかを、実例を挙げて説明します。

プロセスマネジメントとは、個々のプロセスの責任者、中間管理職、経営層、トップマネジメントそれぞれの指揮活動があります。個々のプロセスの責任者は、自分が責任を負うプロセスについて、日々の管理を行い、内部外部の監査での指摘事項に対応し、また自ら気づいた改善を実行できるように部下を指揮します。中間管理職は、自分が責任を負う部門について、日々の管理を行い、内部外部の監査での指摘事項に対応させ、また自ら気づいた改善を実行できるように部下を指揮監督します。経営層及びトップマネジメントは、日々の報告、内部外部の監査での指摘事項、また自ら気づいた改善、それらを実行されるように管理職を通して指揮します。

システムマネジメントはというと、これが企業経営なのですが、私はトップ及び経営層にマネジメントシステムの「あるべき姿」を理解した上で、その姿にどこまで近づけたかという問題意識で、システムをマネジメントしてほしいと考えています。

「あるべき姿」とは、品質マネジメントの7つの原則を実行するために構築されたマネジメントシステムが、運用されて成熟し、第4講座で説明した水準評価のA)ISO規格適合を維持・改善の目標水準の姿です。つまり目標とする姿です。2015年版を構築して運用し、改善を積み重ねて、到達したい組織状態と言っていいでしょう。この姿を達成し、さらに改善を積み上げることが、システムマネジメントの目的です。この姿にどこまで近づけたか、そんな問題意識をもってシステムマネジメントに当たります。

ただ、システムマネジメントは経営者だけの活動ではありません。プロセスの管理を任された管理職の責任者は、プロセスマネジメントと併せてシステムマネジメントの活動もしなければなりません。つまり巨視的な視野も管理には必要だということです。

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