ISO 45001では、請負者職場というキーワードが使用されていますが、請負者とは誰のことを指し、どの範囲までのことを指すのでしょうか? また、職場とはどの範囲までのことを言うのでしょうか?

今回は、請負者と職場の定義について詳しく解説していきたいと思います。

請負者とは

ISO45001の要求事項の中で請負者という言葉が出てくるのは、『働く人 (worker)』に関する定義の部分です。

働く人(worker)
組織(3.1)の管理下で労働する又は労働に関わる活動を行う者。
注記1 労働又は労働に関わる活動は,正規又は一時的,断続的又は季節的,臨時又はパートタイムなど,有給又は無給で,様々な取決めの下に行われる。
注記2 働く人には,トップマネジメント(3.12),管理職及び非管理職が含まれる。
注記3 組織の管理下で行われる労働又は労働に関わる活動は,組織が雇用する働く人が行っている場合,又は外部提供者,請負者,個人,派遣労働者,及び組織の状況によって,組織が労働又は労働に関わる活動の管理を分担するその他の人が行っている場合がある。
JIS Q 45001:2018

また、直後で請負者に関しても定義がされています。

請負者(contractor)
合意された仕様及び契約条件に従い,組織にサービスを提供する外部の組織(3.1)。
注記 サービスにとりわけ建設に関する活動を含めてもよい。
JIS Q 45001:2018

つまり、一般的にいう「外部委託先」が請負者であるという認識で間違いがないでしょう。しかし、近年でいうと例えば在宅勤務を行うフリーランスのような人々は、「請負者」として規格に従い管理すべきなのでしょうか?

この疑問に関しては、『職場』という定義を今一度整理する必要があります。

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職場とは

職場の範囲
ISO45001では、『職場』については以下のように定義されています。

職場(workplace)
組織(3.1)の管理下にある場所で,人が労働のためにいる場所,又は出向く場所。
JIS Q 45001:2018

職場に関しては比較的理解がたやすいのではないでしょうか。例えば取引先のオフィスのような場所は組織の管理下にない場所であるため、「職場」とはみなされません。一方で建設現場のような場所は一時的にでも組織の管理下にあるわけですから、「職場」とみなされることになります。

組織が管理するべき範囲はどこまでか

さて、では組織が管理すべき対象は「職場」で働く人ということが分かりましたが、「職場」でなければ管理しなくても良いということになるのでしょうか?

——例えば、組織が特定しなければならない危険源に関して、以下のように記述されています。「組織が直接管理していない場所にいる働く人」

一方で、「職場に対する労働安全衛生マネジメントシステム(3.11)に基づく組織の責任は,職場に対する管理の度合いによって異なる。」とも記載されています。

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リスクアセスメントを行うことが重要

ここで重要になってくるのがリスクアセスメントです。ISO45001で構築した労働安全衛生マネジメントシステムでは危険源を特定した上でリスクアセスメントを行い、適切な労働災害防止策を取る必要があります。

要するに、危険源を把握しつつもリスクアセスメントの結果、「リスク低減措置をとりおこなう必要がある」と判断できた場合はそのリスクに対して適切な措置を取る必要があります。——しかし、それは組織が管理可能な範囲であっても問題はありません。

なぜなら、他の組織が管理する『職場』に介入することができない場合も当然あるでしょうし、場合によっては危険源の特定すら難しい『職場』が存在する可能性もあるからです。

外部環境を考慮したマネジメントシステムの構築を

ISO45001は労働安全衛生マネジメントシステムに対する規格ですから、仮に現時点で管理しきれない危険源やリスクがあったとしても、規格不適合となるわけではありません。——しかし、組織に関わるステークホルダーや働く人の労働安全衛生という目標に対して受け身になって良いというわけではありません。

実際に、ISO45001の要求事項では組織外部や職場の周辺環境 についても考慮に入れたマネジメントシステムを構築する必要があるということは記載されており、それが組織にとってクリティカルなインシデントを引き起こす可能性がある場合は、組織が管理していない範囲についても何らかの方法で取り組む必要があるでしょう。

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