FSC認証とは?種類・費用・取得方法をわかりやすく解説

FAQFSC認証に関するよくある質問
FSC認証とは、適切に管理された森林から生産された木材や紙製品であることを証明する国際的な認証制度です。世界中の企業がFSC認証マークのついた製品を選ぶことで、森林の減少や違法伐採を防ぎながら事業活動を続けられる仕組みになっています。
FSC認証には、森林そのものを管理するFM認証と、加工・流通の過程を管理するCoC認証の2種類があり、取得する範囲や目的によって必要な認証が異なります。「自社にどちらの認証が必要なのか」「費用はどのくらいかかるのか」と迷う担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、FSC認証の基本的な仕組みからマークの種類、取得費用の目安、認証取得までの流れまで、FSCジャパンや環境省などの公的な情報をもとにわかりやすく解説します。
目次
FSC認証とは|森林と木材を守る国際的な認証制度
FSC認証とは、環境・社会・経済の3つの便益に適う、適切な森林管理のもとで生産された木材や紙製品であることを証明する国際的な認証制度です。運営するのはドイツのボンに本部を置く非営利団体FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)で、認証は自主的な制度であり、FSCから認定を受けた独立した第三者認証機関の審査を経て発行されます。
認証は組織全体に対してではなく、あらかじめ登録した認証範囲や製品を対象に与えられます。そのため、認証取得組織が扱うすべての製品にFSCラベルを付けられるわけではなく、認証範囲に含まれる製品のみが対象となる点も押さえておきましょう。
2026年2月1日時点で、森林管理を認証するFM認証は世界で1,691件(認証面積173,457,285ha)、そのうち日本国内では34件(認証面積429,450ha)です。加工・流通過程を認証するCoC認証は世界で68,999件、日本国内では2,249件にのぼります。日本国内でも取引先からFSC認証材の使用を求められる場面が増えており、製紙業・印刷業・建設業を中心に認証取得や認証材の採用が進んでいます。
なお、FSC認証はISO14001のように組織のマネジメントシステムそのものを認証する仕組みとは異なり、森林や木材製品という「モノ」と、その加工・流通の過程を対象にした認証です。自社の環境マネジメント全体を管理する仕組みとしてISO14001を運用しながら、取り扱う原材料の管理としてFSC認証を検討する、という組み合わせで考えている企業も見られます。
FSC認証の定義と3つの軸(環境・社会・経済)
FSC認証がめざす「責任ある森林管理」は、環境・社会・経済という3つの視点のバランスの上に成り立っています。具体的には、森林の生物多様性や水資源、土壌などへの環境影響を抑えること、先住民族や地域社会、労働者の権利を尊重すること、そして経済的にも継続可能な林業経営を実現することが求められます。
この3つの軸は、FSCの審査基準である「10の原則」にも一貫して反映されています。原則の具体的な内容は、後述するFM認証の項目で紹介します。
また、FSC認証が評価される理由の一つに、規格そのものの決め方があります。FSCの規格は、環境NGO・林業者・木材取引企業・先住民族団体など、立場の異なる関係者が参加するパブリックコンサルテーション(意見公募)を経て策定されており、一部の関係者だけに偏らない、多様な視点を反映した基準になっている点が特徴です。
FSCの沿革と2026年の最新動向
FSCは、1980年代に欧米で広がった熱帯材の不買運動が、適切に森林管理を行う生産者の木材まで一律に排除してしまい、かえって森林破壊を止められなかった反省から生まれました。1990年に米国カリフォルニア州で開かれた会議を経て構想がまとまり、1993年にはカナダ・トロントで26カ国130人が参加する設立総会が開かれています。そして1994年、FSCは法人として正式に発足し、事務局がメキシコのオアハカに置かれました。
日本国内では、2000年に三重県の速水林業が国内初のFM認証を取得し(審査は1999年に実施)、2001年には三菱製紙八戸工場が国内初のCoC認証を取得したことで、国内でのFSC認証紙生産が始まりました。国内の森林管理規格についても、2015年に発行された国際標準指標(IGI)をもとに検討が重ねられ、2018年11月15日に国内規格として正式に公開、2020年12月には最新の指標を反映した第1.1版が発効しています。
国内での活用事例も広がっています。すかいらーくグループは2022年1月から、使い捨てプラスチック削減の取り組みの一環として全国約3,000店舗でFSC認証の紙製ストローを導入しました。また2023年には、立命館アジア太平洋大学の新校舎「グリーンコモンズ」が、国内の大学施設として初めてFSCプロジェクト認証を取得しています。
最近の動きとしては、FSCは2026年1月1日に、認証取得者によるFSC商標の使用方法を定めた「FSC-STD-50-001 第3-0版」を公開しました。改定規格は2026年7月1日に発効し、2029年1月1日までの移行期間が設けられています。すでにFSCラベルを使用している企業は、今後の表示ルール変更にも注意しておくとよいでしょう。
FM認証とCoC認証の違い|2種類の認証としくみ
FSC認証は、森林そのものを管理するFM認証と、木材が消費者に届くまでの加工・流通過程を管理するCoC認証という、2種類の認証で構成されています。この2つがそろって初めて、製品にFSCラベルを付けて販売できる仕組みです。
FM認証(森林管理認証)の仕組み
FM認証とは、森林が「責任ある森林管理」の基準を満たしているかを審査する認証です。最新の規格では10の原則、70の基準、さらにその下に約200の指標が定められており、これらの基準に沿って審査を受け、大きな不適合がなければ認証を取得できます。
FSC森林管理の10原則(FSC-STD-01-001第5版)は、以下のとおりです。
- 法律の順守
- 労働者の権利と労働環境
- 先住民の権利
- 地域社会との関係
- 森林のもたらす便益
- 環境価値と環境への影響
- 管理計画
- モニタリングと評価
- 高い保護価値
- 管理活動の実施
FM認証には、1つの組織が単独で取得する方法のほか、小規模な林家が集まってグループ単位で取得するグループ認証や、複数の拠点をまとめるマルチサイト認証もあります。また、一定の条件を満たす小規模・低強度の森林管理事業体(SLIMF)については、審査の手続きを簡略化する仕組みも用意されています。
認証は5年間有効ですが、取得して終わりではありません。維持するためには年1回の年次監査を受ける必要があり、審査当時の管理体制がその後も継続されているか、記録がきちんと残されているかが確認されます。年次監査で不順守が見つかった場合は、審査機関から改善要求が出され、一定期間内の是正が求められます。
CoC認証(加工・流通過程認証)の仕組み
CoC認証とは、FM認証を受けた森林から生産された木材が、加工・流通の各段階で他の木材と混ざらないよう管理されていることを認証する仕組みです。伐採業者から加工業者、製造業者、流通業者、印刷業者まで、小売を除くすべての組織が対象となり、CoC認証を取得していない業者の手を経た製品は、たとえ認証林から生産された木材であってもFSC認証製品と呼ぶことはできません。
なお、一般消費者にFSC認証製品を販売するだけの小売業者に認証取得は不要です。ただし、建設業者などに製品を卸し、卸し先が建築の環境認証のクレジットとしてFSC認証材を活用するような場合は、認証が必要になるケースもあるため注意しましょう。
CoC認証にも単独認証、グループ認証、マルチサイト認証があります。グループ認証では審査がサンプリング形式で行われるため、各組織が個別に単独認証を取得するよりも、全体の認証取得・維持費用を抑えやすいというメリットがあります。
FSCマークの種類と認証の信頼性を支える仕組み
FSC認証製品には、原材料の配合内容に応じて3種類のFSCラベルのいずれかが付けられます。また、認証の信頼性は、FSC自身ではなく独立した第三者認証機関が審査を行う仕組みによって支えられています。
3種類のFSCラベルの違いと表示ルール
FSCラベルには、以下の3種類があります。
| ラベル名 | 使用条件 |
|---|---|
| FSC100% | FSC認証林からの原料を100%使用している製品に付けられる。 |
| FSCミックス | FSC100%やFSCリサイクルなど、FSCが認めている適格な原材料が複数使用されている製品に付けられる。パーセンテージシステムで生産する場合、FSC100%などの優位な原材料が70%以上でなければ表示できない。 |
| FSCリサイクル | 回収原材料を100%使用している製品に付けられる。木材製品の場合は、回収原材料の70%以上がポストコンシューマー(消費者の手に渡り使用された後に回収された原材料)であることが条件。 |
ラベル下部にはライセンスコードと呼ばれる認証取得者ごとの番号が記載されており、FSCジャパンの検索ページで入力すると、認証取得者名や認証日などの情報を確認できます。
なお、FSCはこの3種類の製品ラベルのほかに、広告宣伝用マークなどを含めて合計5つの登録商標を所有しています。自社の広告物にFSCマークを使用したい場合は、認証取得の有無にかかわらず、あらかじめFSCジャパンへの申請やライセンス契約が必要になるケースがあるため、使用前に確認しておきましょう。
第三者認証機関による審査とPEFCなど他制度との違い
FSC認証の審査は、FSCの認定機関であるASI(Assurance Services International)から認定を受けた第三者認証機関が行います。初回の規格適合審査に加えて、年1回の年次監査、5年ごとの更新審査があり、認証機関が継続的に順守状況を確認する仕組みです。制度の運営とルールづくりを担うFSCと、実際の審査・監査を行う認証機関の役割が分かれていることが、公正で信頼性の高い制度として評価されている理由の一つです。
森林認証制度には、FSCのほかにPEFC(PEFC森林認証プログラム)や、日本独自のSGEC(緑の循環認証会議)もあります。
| 項目 | FSC | PEFC | SGEC |
|---|---|---|---|
| 発足 | 1993年設立総会/1994年法人発足 | 1999年発足(当初は汎欧州森林認証制度) | 2003年制定(日本独自の制度) |
| 運営範囲 | 国際的な認証制度 | 各国の森林認証制度を相互承認する国際的な枠組み | 日本国内の森林が対象 |
| 日本での位置づけ | 国際規格として単独で運用 | SGECと相互承認関係にある | 2016年にPEFCと相互承認。認証材はPEFC認証材としても流通可能 |
どの制度を選ぶべきかは優劣で決まるものではなく、取引先や販売する市場がどの認証を求めているかによって変わります。自社の製品がどの市場に向けたものかを踏まえて検討するとよいでしょう。
FSC認証の取得費用と取得までの流れ
FSC認証の取得には、認証機関への審査費用が必ず発生します。ただし、FSCが全国一律の料金表を公表しているわけではなく、費用は対象となる森林の面積や組織の規模、単独認証かグループ認証かによって変動します。まずは認証機関に問い合わせ、自社の事業規模に応じた見積もりを取得するところから始めましょう。
また、費用がかかるのは新規取得時の審査だけではありません。認証を維持するための年1回の年次監査、5年ごとの更新審査でもそれぞれ審査費用が発生するため、取得後にかかる継続的な費用も含めて見積もりを確認しておくと安心です。
なお、CoC認証を国内で提供している認証機関は7社、そのうちFM認証の新規顧客も受け付けている認証機関は3社(アミタ株式会社、プリファード・バイ・ネイチャー、SGSジャパン)です。複数の認証機関から見積もりを取り、対応範囲や実績を比較して選ぶと安心です。
費用に見合う効果が期待できるかどうかは、認証取得の目的によっても変わります。環境問題やSDGsへの取り組みに関する調査では、認証を取得している企業が挙げる理由として「環境リスク管理や法規制対応(33.9%)」が最も多く、「競争力強化や新たなビジネス機会(31.6%)」「社内の環境意識向上や採用ブランディング(30.8%)」が続きました。取引先からの要請だけでなく、自社の競争力や採用力の強化を目的に認証取得を検討する企業も少なくありません。
取得までの5つのステップと審査機関
FSC認証は、以下の5つのステップで取得します。
- 認証機関への問い合わせ:認証を予定する事業範囲を伝え、費用と期間の見積もりを取得する
- 認証機関の決定:条件や手順の説明を受け、契約を結ぶ
- 認証機関による審査:書類や管理体制の確認に加え、担当者へのインタビューを実施する(FM認証では周辺の利害関係者への聞き取りも行われる)
- 認証機関による認証判断:規格の要求事項を満たしていれば認証を発行する。重大な不順守がある場合は、改善が確認されるまで認証は発行されない
- FSC認証取得:5年間有効な認証書が発行され、FSCの認証取得者データベースに情報が公開される
認証取得後は、認証を維持するために年1回の年次監査を受ける必要があります。取得して終わりではなく、継続的な管理体制の運用が求められる点は、ISOのマネジメントシステム規格とも共通しています。
まとめ
FSC認証とは、適切に管理された森林から生産された木材・紙製品であることを証明する国際的な認証制度です。森林そのものを認証するFM認証と、加工・流通過程を認証するCoC認証の2つがそろって、はじめて製品にFSCラベルを表示できます。
取得費用は組織の規模や認証範囲によって変動するため、まずは認証機関に問い合わせて見積もりを取ることから始めましょう。また、FSCは2026年1月に商標規格を改定するなど、表示ルールは今後も更新される可能性があります。認証取得後も最新情報を確認しながら運用していく姿勢が大切です。
なお、FSC認証のように「モノ」を対象にした認証とは別に、自社の環境活動全体を管理する仕組みとしてISO14001(環境マネジメントシステム)を取得する企業も少なくありません。ISOプロが製造業・建設業・運送業・廃棄物処理業の経営者・環境部門担当者1,008人を対象に行った調査でも、7割を超える企業が環境問題やSDGsに関する取り組みを行っており、取り組まない場合のリスクとして「企業のブランド価値の低下(47.8%)」を挙げる回答が最も多い結果となりました。
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