SDGsの「やってるふり」してませんか?続出する「SDGsウォッシュ」について解説
SDGsへの関心の高まりとともに、企業でも取り組みが活発になっています。目標年である2030年まであと10年を切り、ますますSDGsへの意識が高まっているためです。一方で社会的なトレンドであるSDGsへ対応することは簡単なことではありません。そのためSDGsの「やってるふり」を意味する「SDGsウォッシュ」が増えてきています。やってるふりをしている企業の特徴と、本質的なSDGsの取り組み方法について解説します。
目次
SDGsの「やってるふり」である「SDGsウォッシュ」とは?
SDGsに取り組む企業が増えている一方で、対外的なイメージアップのためだけにSDGsの「やってるふり」をする企業も存在しています。
SDGsウォッシュとは?
SDGs達成のための施策を行っていないのにも関わらずに、やってるふりをして対外的にアピールすることを、「SDGsウォッシュ」と呼びます。
近年ではSDGsの盛り上がりにより、アピールするだけで企業イメージが向上する傾向があります。そのため、対外的なイメージアップのためだけに、あたかもSDGsに取り組んでいるふりをする企業が少なからずあるのです。
もちろん、SDGsウォッシュをしていることが世間に知られた場合には、対外的な信頼が失われるでしょう。また、世間に知られなかったとしても、SDGsウォッシュに関わっていることで従業員のモチベーションやモラルが損なわれることは間違いなく、絶対に行うべきではありません。
過去のグリーンウォッシュとの違い
「やってるふり」はSDGsに始まったことではなく、過去には環境対策の「やってるふり」もありました。環境対策を行っていると見せかけて、実態は行っておらず、消費者に誤解を与える行為です。具体的には、環境に優れた一面だけを見せて、実際には他の側面では環境に大幅な負荷をかけるといった取り組みです。こうした環境配慮への取り組みを見せかける行為を「グリーンウォッシュ」と呼びます。
SDGsウォッシュは、環境配慮だけに特化したグリーンウォッシュと異なり、SDGsに含まれる環境以外の要素に対しても見せかけている点が異なります。
なぜSDGsの「やってるふり」をしてしまうのか
デメリットが多いにも関わらず、企業がSDGsの「やってるふり」をしてしまうのはなぜなのでしょうか。
PRするだけでも、イメージの向上につながるから
最近はSDGsブームといえるほど、SDGsが流行っています。そのためSDGsへの取り組みをPRするだけでも、企業イメージアップにつながります。特に、企業イメージや社名認知に悩みを抱えている企業にとってはイメージアップの絶好の機会です。
一時的なトレンドではなく、少なくともSDGsの目標期限である2030年までアピールを続けることができます。中長期的にイメージアップを図る施策としてSDGsは非常に良い機会なのです。
事業上、取り組むことが難しいから
SDGsに参加しなければ、企業のイメージダウンにもなる可能性があります。
そのため事業上、取り組むことが難しい企業でもこうしたリスクを回避するために「やってるふり」をすることがあります。
例えば業界や法律の規制が厳しく、自社の事業を大きく変えられない場合などです。事業特性によっては、SDGsをやっているふりに気持ちが傾いてしまうのかもしれません。
ビジネスチャンスをつかみたいから
単純にアピールするための看板としてSDGsをとらえている企業もあります。
SDGsの本質を理解せず、儲かるから、という理由でSDGsを利用する場合です。SDGsのロゴマークは誰でも使用することができるため、例えば商品や会社ホームページにロゴマークを載せるだけでも自社のアピールができてしまうのです。
SDGsウォッシュをしている企業にとってはさまざまな理由があるのかもしれませんが、短絡的な思考でSDGsをやってるふりで済ませてしまうことは絶対にやめましょう。
SDGウォッシュにならないためには?
一度、SDGsウォッシュだという企業イメージがついてしまうと、良いイメージを取り戻すのは至難の業です。
本質的にSDGsへ取り組むためには、どうすればよいのでしょうか。
本業の事業でSDGsに取り組む
SDGsを事業とは別の活動ととらえず、まずは本業の事業とSDGsに関連性がないかを考えましょう。
本業とは別にSDGsに取り組むと、本業以外の工数やコストが増えることになります。そのため、本業の事業状況によっては予算削減され、活動が難しくなることもあるでしょう。
一方で自社の強みを活かして、SDGs関連分野で課題解決できることはないかを考えてみると、新しい事業アイディアが見つかるかもしれません。
できないことは約束しない
SDGsは、多角的に実践可能な目標のため、あれもこれもと手を出したくなる可能性がありますが、自社で達成できない目標を立てないことが重要です。
よくある例としては、環境対策に取り組むことが対外的に良いアピールとなるため、実現性を考えず環境への取り組みをはじめることです。あるメーカーでは環境対策に取り組もうと考えたものの、原材料の変更や製造ラインの改修など大幅なコストが発生することがわかり、環境対策を断念しました。
まずは自社で実行可能なSDGsの目標は何かをよく検討しましょう。
形式的な取り組みをやめる
SDGsを形式的に取り組むと、周りには伝わってしまうものです。内実を伴わない形式的な企みをやめることが重要です。
統合報告書や公式ホームページでSDGsへの実践内容を対外的にアピールすることは大切ですが、これまでやっていたことをSDGsとこじつけて結びつけてしまうと、さまざまなリスクを負う可能性があります。
形式的な企ては、リスクが大きいことを改めて認識しましょう。
SDGsウォッシュにならないためには、本業の事業活動として真剣に取り組むことが近道です。自社の事業範囲や特色を改めて確認し、SDGsの17の目標との関連性について一つひとつ整理していく中で、本質的に取り組み続けられる内容を見つけましょう。
SDGsと企業価値向上
SDGsに真剣に取り組むことは、企業価値向上にもつながります。継続していくことで対外的な評価がどのように変化していくのかを具体的に解説します。
SDGsは企業価値向上につながる
最近ではESG投資が注目されています。ESGとは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字をとった言葉です。
世界的にSDGsへの注目が集まっている中、投資家も中長期的に地球社会の持続可能性に取り組む企業に投資を行うようになってきています。こうした方法をESG投資といいます。
ESG投資では、E/S/Gのそれぞれを実施する企業に対して格付けを行い、格付けの高い企業に対して投資家が投資を行います。反対に格付けの低い企業は資金が集まりにくくなる仕組みです。
こうした仕組みにより、結果として中長期的に地球社会の持続可能性に取り組む企業に資金が集まりやすくなるのがESG投資の特徴です。つまりSDGsに参加すれば、ESGの格付けを上げることにもつながり、企業価値向上を実現できるのです。
「やってるふり」は企業価値を下げる
反対にSDGsのやってるふりが仮に発覚するとESGの観点から大きく企業価値を下げることになります。
現在では、ESG投資の取り組みがアメリカの格付け機関であるMSCIにより格付けされています。ランキング上位の企業はETFや投資信託にも組み込まれ、より資金が集まりやすくなります。反対にSDGsウォッシュを行う企業は、資金が集まりにくくなるだけでなく、株価低下の原因にもなりえます。
SDGsのやってるふりをする企業は、自ら企業価値を下げているのです。企業価値の低下を防ぐためにも、SDGsには真剣に取り組みましょう。
SDGsビジネスを成功させるために、まずは専門家に相談を
全世界でSDGsへの取り組みが行われています。SDGsは、誰もが目指すべき事業戦略上でも重要な課題です。
しかし、SDGsをやってるふりをすることは最も避けるべき行動です。仮に世間に知られてしまうと、企業価値の低下につながります。一方で事業として真剣にSDGsに取り組めば、企業価値が向上するだけでなく、商品やサービスの売上が拡大するチャンスを得ることにもなるでしょう。
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