2015年版ISO経営で企業は変わる第9講座~審査などで出会った場面~

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ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年04月04日

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古い体質の審査

古い体質の、ある審査機関は、適合性が維持されていることがすなわち有効性が維持されていることだとし、適合程度の審査と有効性の審査を分けて考えないとしています。確かに規格は有効性のレビューと改善まで要求しているので、それを実施していれば適合であり有効性も担保していることになるかも知れません。では古い体質の審査員は、ISO9001:2015規格の10.1 c)「品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性の改善を含む必要な取組みを実施しなければならない。」という要求事項への適合は、何を持って適合しているとするのでしょうか。

そこの古い体質の主任審査員は、有効性はシステムが組織にとって「重荷」になっているかいないかで判定できると言っていました。有効性の用語の定義を無視した解釈と言わざるをえません。

古い体質の審査員は、品質保証システムの時代の、現場に留まった視野の理解しかないので、このような解釈と発言になってしまうのではないでしょうか。古い体質の審査員やコンサルにはシステムマネジメントを見る、という発想がないのです。

有効性監査

有効性監査について、別の審査機関の、ある主任審査員は、私が規格9.2.1b)「有効に実施され,維持されている状況にあるか否かに関する情報を提供するため…」を基準に内部監査での検出が、効果的かという観点で行われていないことを指摘しようとすると、対応の方法が分からないからと反対しました。

確かに、有効に実施されているか、という視点の有効性監査は難しく、監査技術が必要です。とはいえ、ここで指摘しておかないと、この組織は、内部監査の改善の機会に気づくことができません。内部監査を外部の専門家に委託するという方法もありますので、監査のレベルを上げる改善はしてほしいものです。

形式的な審査スタイル

形式的な審査スタイルについて、ある食品会社の社長は二回目の定期審査の感想をこう語っていました。

「もっと今後の展開に関わる課題についても意見交換をしたいと思っているが、審査員の話は現場の細かいことばかりですね。指摘事項は単純なミスですが、実態は何の問題も起きていないことなのですよ。私は問題だと思い、外部審査員から指摘して欲しいと思っている目標管理については、意見は言いましたがあまり効果的な意見ではなかったと思います。外部審査には、経営をバックアップしてくれる面がもっと欲しいですね。」

担当した審査員は大手食品会社の品質管理部門出身で、経営の経験はなく、用意してきたチェックシートは規格条項に沿って確認事項を記述した逐条的なものであり、問題意識も形式的な適合性にあったそうです。

適合性審査も、組織の経営と運営、運用や課題の実態に寄り添った審査でないと、形式的な画一化を求めるという陥穽に陥りやすく、有効性審査とは全く逆の方向へ審査を追いやってしまいかねないのです。大手に勤務していたからといっても、逆に大手だったから、組織の経営と運営については知見がないのかも知れません。

推奨すべき事例

推奨すべき事例について、ある施設メンテナンス会社の品質方針は、「メンテナンスによる施設の価値の創造」でありました。この方針を受けて庭園をメンテナンスする部署の目標は「四季をより美しく」でありました。その達成の判定は、四季それぞれで決める具体的テーマを満たすことで、そして実行計画は、スタッフ全員が植物と造園について勉強をし、それぞれの季節にそれぞれの植物がどのような状態にあるのが一番良いのかを知り、それを生かしたメンテナンスを実行してそれぞれの季節の美しさを創造することでありました。

もともとスタッフは植物好きな人が多かったのですが、さらに勉強することで内在する知を増やし、メンテナンスの価値を高める結果を生み出したのです。これはもちろん顧客満足を増幅させた上、従業者満足も満たしたのです。単に草を刈り、枝を落とすそれまでの作業に比べて、美しい季節を庭に創る仕事に変わったことで、スタッフは働く喜びを倍増させもしたのです。

この審査では、この部門の成功例を審査報告書に特記し、終了会議の席で他の部署もこれに倣うことを推奨します。見倣うべき事例は大いに喧伝して水平展開したいものです。

発展志向の目標

発展志向の目標について、ある金属プレス会社の品質方針では、不適合製品流出ゼロ、生産性向上、技術向上の3つを重点課題としていましたが、実際の年度目標は、不適合製品流出ゼロだけでありました。生産性向上と技術向上の課題はなぜ年度目標になっていないのかと訊ねると、トップはこう答えました。

「3大重点課題は3段階のステップと考えています。第1段階で不良品流出撲滅、第2段階で仕事の効率化、第3段階で技術力の向上と技術開発です。認証取得5年目ですが、何とか第1段階は九〇点かなと思い、昨年度第2段階の目標を立てましたが、そちらへ目が向いている間に、また工程内での不良品が増える傾向になってしまいました。流出は食い止めていますが、今年度は第1段階に戻ってやっている状態です。」

規模や要員数、その能力を考えると、発展志向の目標の新規開発まではなかなか手が届かないということでしょうが、新技術の開発などには手がつけられないにしても、新規技術の外部からの習得や、営業展開での新規顧客の開発、または社内での現状技術の結合による既存顧客の新たなニーズの掘り起こしなどを目標にしていかないと、先細りの恐れが出てきます。何らかの「新規」を目標にしておくことが、要員の伸び代を設定するためにも重要なのではないでしょうか。

データの目的

データの目的について、ある電気部品メーカーでは、提案制度が実施されていました。面談した部署の提案記録を見ると、全ての月の記録で目標100%、実績100%となっていました。それはどういう意味かと問うと、提案委員会の決め事で、実績があった提案しか記録ができないからだといいます。提案委員会への報告はそれでいいとしても、部署内ではこの数字に意味があるかと問い直しました。すると面談相手は数秒考えて「意味ないですよね」と答えます。「では意味のある数字は何かを考えましょうよ」と、部署内の数字の見直しを提案しましたが、これは、データとは何のためなのかを考える入口に立たせたと質問だったと思います。それまでは深く考えもせずに言われた数値を記述していたその記録の意味を再考させて、データの目的を認識させ、データ分析の活用へと意識を向けさせたものだったといってよいでしょう。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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