タートル解析の目的は

タートル解析について、岩波好夫著「よくわかるプロセスアプローチとコアツール」に沿って確認します。

プロセスのタートル解析は、ISO /TS16949:2009において、プロセスを分析するのに有力なツールとして、4つの質問とインプットアウトプットと関係する2つの質問で構成されます。タートル解析の目的は、プロセスの運用状況とパフォーマンスを監視して、改善を行なうものです。

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インプット、アウトプット+4つの質問

プロセスアプローチによって、あるプロセスについて分析をする場合

  1. 何を受け取って=プロセスのインプット
  2. 何を渡すか=プロセスのアウトプット

が基本です。そしてこのプロセスに対し、

  1. 何を用いて行なうのか?=必要な物質資源(設備、機器、道具、治工具、資材)
  2. 誰が行なうのか?=必要な人的資源(要員、責任、力量、資格)
  3. どのように行なうのか?=運用方法(手順、方法)
  4. 評価指標は何か?=監視指標(KPI、判定基準、評価尺度)

の4つの要素で問いかけることができます。これら合わせて6つの要素を図示すると六角形の亀の形に似ているので、タートル分析図あるいはタートルモデルと呼ばれています。

PDCAのPのプロセスツール

タートル解析の自動車関連部品の製造プロセスに即した例です。

インプット(必要な情報・材料) 材料、部品・顧客支給品・製品仕様書、図面・生産計画・製品出荷計画
アウトプット(求められる成果) 製品・工程内検査記録・製品検査記録・生産実績記録・製品出荷記録
何を用いて行なうか 製造設備・監視機器・測定機器・生産管理システム・外部試験所
誰が行なうか 要員の力量・製造設備の使用者・特殊工程作業者・測定機器/測定機器の使用者・SPC技法(工程能力/管理図)
どのように行なうか 製造工程フロー図・コントロールプラン・作業指示書・生産管理規定・製造管理規定・在庫管理規定・設備の予防保全・予知保全規定・段取り検証規定・治工具管理規定・監視機器/測定機器管理規定・識別、取り扱い、包装、保存、保護規定
監視指標 不良率・不良品質コスト・生産歩留率・工程能力指数・機械チョコ停時間・直行率・段取り替え・金型変更回数・生産進捗予定達成率・生産リードタイム・納期達成率・特別輸送費・在庫回転率・廃棄物量・手直し材料量・顧客の苦情件数・顧客の返品率・特別採用率・ポカヨケ導入件数・生産設備効率

この解析は、製品設計・開発プロセス、製造工程設計・開発プロセス、つまりPのプロセスでのツールです。この解析をもとにFMEA(Potential Failure Mode and Effects Analysis)などのコアツールを用いることになるのですが、タートル解析の基本はこのようなものでした。

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組織活動プロセスへのシステムアプローチ

プロセスのシステムアプローチのパタンモデルは、システム思考の中ではさまざまな形で表現されています。私は1997年の著書「竹輪の頭はどっち?!」で、問題構造学のシステムズアプローチで、社会・市場環境と組織活動のあり方をパタンモデル化しました。

そのモデルは、ISOの規格 で言う「有効性」を理解するのに極めて示唆的でありました。そこで私は、このモデルとISO品質 マネジメント8つの原則にあったシステムアプローチ(2015年版はプロセスアプローチに含まれる)の考え方を組み合わせ、社会・市場環境(状況)と組織活動、そして マネジメントシステム との関係を理解するための図解として使用してきました。

8つの原則のシステムアプローチと、いわゆるフィッシュボーン型フローチャートと言われる図は、前のプロセスからのインプットと後のプロセスへのアウトプットという表現はありませんでしたが、矢印で示されているので同じ意味であり、共通した点があります。

私は前著でこれと同じようなチャートをネットワーク図法として提案していました。そこでは、ひとつひとつの実行すべきこと、実行する人、実行の納期を明記するルールでした。

似たようなシステム観が、少しずつ違った設定のもとで描かれていたわけです。思考→活動→結果のつながりを理路整然と組み立てるシステムアプローチは、組織横断的PDCAを考えるうえで、社会・市場環境から目的・方針・目標を経て、組織活動における個々のプロセスの連なりと相互関係、その結果の評価における有効性を理解する方法として極めて分りやすいパタンモデルです。ISO9001 :2015年版はこのモデルにぴったり当てはまる構造となりました。

組織全体でのISOマネジメントシステム有効性監査

個々の小さなプロセスの有効性は、それぞれにおいて評価し改善されなければなりませんが、組織全体のISOマネジメントシステムの有効性は組織の目的=役割の実現の程度までを視野に入れて見なくてはならない、ということをシステムアプローチは明らかに示しています。

監査においてもこの視野で、ISOマネジメントシステムの有効性を監査し、パフォーマンス評価に資する情報を提供したいものです。ISO9004:2009の5.2戦略および方針の策定 にはこう記述されていました。

トップマネジメントは、組織の利害関係者 によって容認され、支持されたミッション、ビジョン及び(企業)価値を得るために、組織の戦略と方針を明確にしなければならない。戦略と方針をレビューし、(適切な場合)改正の必要性を評価するために、組織は環境を常に監視しなければならない。(米戸靖彦訳)

【出典】JIS Q9004:2010(5.2 戦略及び方針の策定)

ISO監査の場で、組織全体におけるマネジメントシステムの有効性を確認しているでしょうか。現場での個々のプロセスの妥当性や有効性は確認しても、組織全体の有効性を確認することはまずないのでは、と思います。いや、確認する方法が難しいのです。ISOのシステムアプローチを理解すれば、組織全体を見る監査のあり方が見えてくるのではないでしょうか。

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