目標に向かうために重要なISO9001「7.3認識」
今回のテーマは「ISO 9001:2015 7.3認識」です。
「認識」という言葉は色々なシーンでよく使用されますが、weblio(オンライン百科事典)によると、認識とは「ある物事を知り、その本質・意義などを理解すること」とあります。品質 マネジメントシステムでは、ISO9000 :2015で「認識とは、人々が各自の責任を理解し、自らの行動が組織の目標の達成にどのように貢献するかを理解したとき、認識は確固したものになる」と定義されています。つまり、認識で重要なことは要員が「何をどのよう理解するか」「どう理解させるか(教育)」ということです。
ISO9001 :2015では、品質マネジメントの運用で「認識」(何を)に対する要求事項として、下記の4点を上げています。要員は、担当業務の流れ(業務プロセス)を適切に理解・遂行し、組織から期待される成果および当該業務がマネジメントシステムの運用で目標効果にどのような影響を与えるのか認識することを要求しています。また、要求事項には「組織の管理下で働く人 々」とありますが、その対象者は組織の品質マネジメントシステムの管理下にある労働者(アルバイト・パートや契約社員含む)は勿論のこと、外注業者も含まれますので注意が必要です。
■ISO9001:2015要求事項
7.3 認識
組織は,組織の管理下で働く人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。
- a) 品質方針
- b) 関連する品質目標
- c) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
- d) 品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味
目次
品質方針・関連する品質目標について
品質目標や品質方針 の社内周知は、年度始めに、事業説明会等で事業計画や経営計画の発表と合わせて行う企業が多いようです。次年度に向けて定期的に品質方針・品質目標を見直し、年に一度全社員に伝達されます。しかし、説明会の中で確かに社員に伝えてはいるのですが、説明会全体が一方向配信であるため、品質方針・目標は読み上げられる程度で、その場合に居合わす社員は殆ど理解していないケースが目立ちます。
もし企業が、
- -社員への品質目標・品質方針の伝達について、周知=共有(理解)と思い込んでいる
- -マネジメントシステムの維持運用目的が、いつの間にか規格要求に適合することになっている場合は、今一度マネジメントシステムの導入/運用目的を再確認し、品質目標・品質方針の社内への展開方法について見直ししましょう。
≪品質方針・目標に関する問題事例≫
- 事業戦略の中で品質方針/品質目標は開示されているが、トップマネジメントのリーダーシップ力やコミュニケーション能力に問題あり
- 組織は、年に一度、品質方針/品質目標について社員に周知するだけで、日常業務の中で継続的意識付け(教育)することがなく、社員は理解不十分のまま。
- 品質方針/品質目標について社員・外部業者と共有しているが、作業レベルまでの詳細な落とし込みがない。ISO推進活動が形だけのものとなっている。
≪品質方針・目標を認識させるには≫
組織や事業部門の体制によって品質方針/目標の社内展開方法は異なりますが、一般的には品質目標/品質方針について組織から社内周知があると、部課長など事業(業務)部門長は各々実現に向けて自部門の計画目標を立て、上長(あるいはトップマネジメント)のレビューを受け、要員(業務・現場リーダー)に指示を出します。要員は必要に応じて、詳細な作業レベルの計画(目標)に落とし込みます。
品質方針・目標を認識させるには、まず要員一人一人に、目標達成に向けて『委ねられている作業プロセスではどのようにすれば達成できるか?』ということをよく考えさせることです。
その結果、実現手段がわからない、実現方法として効率が悪いなどというケースもあるかもしれません。しかし、「考える」ことにより、要員が「組織の一員である」という意識が高まり、品質方針/目標や職務を認識することで「やる気」を出し、職場や業務関係者への良い刺激になることもあります。
また、直接顧客と関わらない実務担当者ないし業務スキルが低い担当者ほど、最終的にどのような製品/サービスが顧客に提供(納品)されているのか知らない(あるいは、興味を持たない)者もいます。業務知識・スキルを向上させる機会を与えるとともに「やる気を出させる工夫」が必要です。
c) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献について
ISO規格 では「意図した結果・成果」を明確にすることが重要であるため、パフォーマンス」という用語は頻繁に出てきます。品質マネジメントシステムでは、パフォーマンスとは組織・プロセス・マネジメント・改善活動・製品・自己認識力など様々な形で共通して要求・期待される「測定可能な結果(実績)」と定義されています。パフォーマンス向上に向けた要員の取り組みにより、効率的な経営資源の活用やプロセス管理が可能となり、関連部署(業務プロセス)との連携により品質パフォーマンスの最適化、組織的整合性,品質マネジメントシステムが効率的に運用され有効に機能し、利害関係者と信頼関係を築くことができます。
d) 品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味について
品質マネジメントシステムを運用しているものの、品質マニュアルや社内規定の要求事項を遵守しない場合に活動成果にどのような影響を与えるか、一人一人に認識させることがとても重要です。会社の損失となる事態が発生しないよう、企業は社内教育等に取り組み、社員・外部業者に認識させることを要求しています。
≪影響内容≫
- 人為的ミスや製品不適合などが多発し、予防措置・改善活動は非効率で効果が出ない
- 影響度合いよって、顧客は勿論のこと、社会的信用の失墜に繋がるケースもあり
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