2015年版ISO経営で企業は変わる第10講座~最近の構築事例~

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2015年版への誤解

2015年版への誤解に遭遇した例がありました。既に2000年版で認証は取得していたのですが、高額の2015年版ギャップ分析を、審査契約をしてきた審査機関の勧めで受けたそうです。その分析結果は、よく訳の分からないものだったと、そこの社長は言われます。そして、審査機関だから当然なのですが、どのように対処するべきなのかは、一切教えないと言われ、何のための依頼だったかと思ったそうです。

受けたリスクの説明を聞いて驚きました。台風や地震もリスク及び機会のリスクだという説明だったそうです。このことは前の講座でも触れましたが、言うことに事欠いたのでしょうか、審査員は特定解を語れないからでしょうか、確かに自然災害も事業リスクですから、全くの間違いというわけではありません。それでも、マネジメントシステムのリスクとしては、いかがなものと言うしかありません。

2015年版への移行の方法がわからなかったので、認証を一旦返上しました。再スタートの構築でした。

プリント基板製造の会社

その会社は、プリント基板製造の会社です。構築では社長にインタビューをし、「方針によるマネジメント展開シート」に記述して事業シナリオを作り、そこから経営基本方針と品質方針を私が作成しました。その2015年版の経営基本方針と品質方針です。

「多種多様な機器の動きを司るプリント基板製造の業務を通して、人々の生活と産業界に一層の利便を提供し、IT文化の進展に貢献します。」
「顧客の要望に全て対応、多品種少量生産ニーズへの対応力向上を図ります。」

そしてドメイン戦略は「産業機器分野への仕事の拡大」です。リスクベースシンキングはドメイン戦略のリスク及び機会に絞り、品質目標にも展開しました。

膨大な文書の山

膨大な文書の山に埋もれて、身動きがとれなくなり、やはり一旦認証を返上した板金製造の会社の例です。最初の構築は1994年版でした。文書の山はその名残です。その上、契約していた審査機関の審査員は、交代するたびに新しい文書の作成を要求したそうです。その文書の内容も、緻密な構成になっており、この規模でこの緻密さは異常と思われるほどでした。
構築で私はほとんどの文書の破棄を勧め、そのようにして、文書の数は10分の1よりはるかに減り、残した文書も緻密でない内容に改善しました。その結果、極めてシンプルな文書化した情報の体系になりました。

構築では社長にインタビューをし、「方針によるマネジメント展開シート」に記述して事業シナリオを作り、そこから経営基本方針と品質方針を私が作成しました。
その2015年版の経営基本方針と品質方針です。

「板金組立技術の最高レベルにチャレンジし続けて、AIを駆使する機械と人とのコラボによる板金の新時代を創出します。」
「多品種少量生産に特化して、技術精度は最高レベルを維持し、鋭い技術者集団を形成します。」
ドメイン戦略は「AIを駆使した生産技術の展開」です。
当然、リスクベースシンキングはドメイン戦略のリスク及び機会に絞り、品質目標にも展開しました。

2015年版の戦略的な経営基本方針の例

最近の私が作成して提供した、戦略的な経営基本方針をいくつか紹介します。いずれも、社長にインタビューをし、「方針によるマネジメント展開シート」に記述して事業シナリオを作り、そこから私が作成したものです。

塗装・足場会社

「足場から塗装まで、一貫施工システムの構築により、地域の公共施設の施工及び維持に貢献します。」

足場会社

「資材も施工も自社で賄える体制により、地域社会の未来創設に貢献し、地域一番を目指します。」

輸出入手続代行・倉庫会社

「商流を柱として、物流の新ステージを創出、海外ネットワークをフル運用し、お客様の物流課題を解決します。」

電気工事会社

「安全で安心して使える電気の為、また確実に撃がる電波の為に、多様な受注ができるキャパシティを培い、地域・社会の人々の生活向上に貢献していきます。」

2015年版によるISO経営が、企業を変えるというテーマで論じてきました。戦略的経営ツールの意味が説明できたと思います。2015年版ISO経営の真髄は、表現されたトップの創造的な経営戦略の経営基本方針だと言えます。

組織横断的PDCAが回る企業は、発展に向けてその姿を劇的に変えていきます。古い体質の審査員やコンサルタントは、2015年版の経営戦略ツールという側面を、理解できていないかもしれません。マネジメントシステムによるISO経営が、組織の将来システムを動かして、日本を、さらには世界を、見通しの効く時代にして欲しいものです。(完)

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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