【第1講座】 なぜISO認証を返上する組織が増えているのか。

投稿日:

ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年04月30日

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ISO返上とは

近年、ISOを返上する企業が増え続けています。ISOを保持することに対するメリットがないと判断した企業が多いということです。では、どのような理由で企業はISOを手放すのでしょうか?今回は、企業におけるISOを所有するメリット、デメリットを中心にISO認証の返上について考えていきましょう。

そもそものISOの役割

ISOマネジメントシステムの規格は、2000年改定によって現場管理による品質保証システムから方針・目標達成のマネジメントシステムへ、さらに2015年改定によって経営戦略的な組織能力の課題の明確化とリスク及び機会への取り組み、トップマネジメントのコミットメント、パフォーマンス評価の要求が強化されました。

この改定は、ISOマネジメントシステムの規格を組織の存続と発展に効果的に寄与する経営ツールとして、レベルアップするためのものです。

ISOは重いのか

しかしながら、半数以上の第三者認証機関の審査は、2015年版審査になっても経営ツールとして組織が生かしていける内容になってきていません。

また、認証登録をして定期、再認証と審査を受けて来た組織の中には、審査のたびに古い体質の審査員から余計なことを要求されるままに文書を作成し、またはさらに緻密化して、重いシステムになってしまった組織もかなりあります。

なぜでしょうか?もともとISOは文書体系が重いシステムと思われていました。実際1994年版までは、20箇条で文書化が要求されたので、文書化の負担が大きかったのでした。2000年版の改定で文書化の考え方が大きく変わったのですが、古い体質のままの審査員やコンサルタントが、経営戦略的な審査ができなかったり、余計な文書を作成させたりしたのではないでしょうか。

なぜISOに重たいシステムがあるのか

P.F.ドラッカーは、「システムはその特性から詳細化、緻密化してしまう癖がある。」と言っています。仕組みの精度を高めようとすると精緻化、緻密化に向かい、その結果これを理解しコントロールできるのは限られた専門家だけとなってしまいます。

人々の創造性を削いでしまうようなシステムであれば、それはその轍を踏んでしまったシステムと言っていいでしょう。重くなってしまって経営ツールにならないISOマネジメントシステムは、その轍を踏んだ例と言えます。
その結果、2000年版2015年版の意図とは逆に、文書化の亡霊に居座られ、細緻化、緻密化して重いシステムになっている企業があるのです。

審査機関と審査員の評価表

重いシステムになってしまう原因の一つは審査です。審査機関と審査員の評価表を作りました。受けている審査が、結果として経営ツールとしてのマネジメントシステムを成長させる審査なのか、判断できるように作りました。試してみてください。

審査機関としての顧客対応

登録維持費や移動費のような不明朗な項目はなく、旅費交通費は実費で、良心的で妥当な、合理的な費用算定をしている
対応がスピーディーで審査依頼組織の立場で審査業務を進めようとしている 
審査依頼組織のおかれている諸環境を理解しようとし、固有の事情を考慮することを心がけている 

審査機関としての基本

ISO17021及びISO19011に基づいた審査を心がけている 
派遣する審査員は産業分野の専門性だけでなく、マネジメント知識も有している 
派遣する審査員について審査の質向上のため、研修を継続的に実施している 
審査が、結果的に依頼組織の存続と発展につながるような審査プログラムを構築している

審査技法

依頼組織のシステムの規格適合性を、文書調査と面談により審査している 
依頼組織のシステムの規格適合性を、業務の手順について現場で観察し面談により審査している 
各審査員が独自のチェックリストや質問書を準備し、枝葉末節な適合よりも各プロセスの課題発見の視点から審査している 
不適合や課題は原因が示唆され、審査結論が簡潔明瞭に審査報告書に明記されている 
不適合や課題の指摘だけでなく、美しく適合している良い側面も積極的に指摘している 
審査プログラムはその都度依頼組織の状況に合わせて、プロセスアプローチにより作成している 
有効性審査、パフォーマンス審査まで審査項目に設け、製品実現工程の課題だけでなくマネジメント課題発見を実施している 
組織横断的なPDCAが依頼組織の存続と発展に寄与しているかを確認し、経営改善の機会を示唆している 
規格適合以外の経営課題に関わる項目も聴取し、経営改善の機会を提供している 

審査員の力量

審査員の力量評価の基準を、監査の原則に基づいて明確にしている 
品質保証プロセスに焦点を当てた、製品実現の工程課題発見能力に着目して評価、育成をしている 
マネジメントシステムの体系的な運用プロセスに焦点を当てた、マネジメント課題発見能力に着目して評価、育成をしている 
審査要領や報告書などの形を整える能力よりも、経営改善に貢献できる能力に着目した評価、育成をしている 

審査内容

目標について、リスク及び機会への取り組み、当該部署要員の力量向上の伸びしろと関連付け、意図した結果達成に貢献できるような審査をしている 
不必要な文書や記録は要求せず、文書や記録が必要最低限の状態にすることを奨めている 
依頼組織に適用される法令・規制に関する確認をし、違反の可能性のある場合は指摘している 
自分の経験からの押し付けはなく、独善的でもない、工程管理に関する専門性の高い審査をしている
依頼組織に必要な営業力やマーケティングに関する審査もしている 
会議や報告・連絡・相談があるべき形に改善されるような意見交換をしている 
マネジメントレビューが有効に機能しているかを確認し、トップマネジメントともレビューについて意見交換している
要員の力量評価と教育システムの実効性、実施された教育の有効性を確認している 
資源の提供についてトップマネジメントと経営計画を前提に意見交換をしている 
プロセス管理について、プロセスアプローチをベースに審査している 
設計・開発条項について、無理な適用は改善できるような指摘をしている 
顧客満足度情報について、その収集方法の妥当性と有効性、ニーズ及び期待、マーケティングとの連携を確認している
データ分析について、分析結果の有効な利用を審査している 
システムの組織横断的PDCAのパフォーマンスを、意図した結果、組織の能力とその課題から体系的に審査している 
有効な是正処置がとられるような、効果的な改善ができる指摘の仕方をしている
内部監査の改善の機会を指摘し、マンネリ化を防止できるような意見交換をしている 
トップマネジメントとの面談時間を十分にとり、事業シナリオとマネジメントシステムに関する意見交換をしている 

あなたの点数は点です。

この評価の点数により、その審査機関選定がどうであったかを検討してみてください。全項目合計点が130点未満なら、ISO認証を保持するメリットはないかもしれません。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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