2015年版ISO経営で企業は変わる 第5講座~システムの構築と運用開始~

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品質システムの構築設計図

品質システムの構築設計図は、業務フローダアグラムと規格要求事項を元に、規格に適合するように現状の改善点を特定し、改善された品質システムの内容を、業務フローダイアグラムに書き込みます。
また、規格要求条項に照らして、どの階層がどういう責任と権限を持っているかの職務分掌マトリックスを作成します。

品質システムを構成する文書一覧の文書管理台帳を作成してもいいでしょう。

システムの構築課題の抽出

現状の業務分析と構築すべき品質システムのフローを対比して、異なったところがその企業のシステムの構築での改善課題です。課題は以下のように分類できます。

  1. 特に工数をかけて、課題の解決を要するもの(経営課題)
  2. 部署ごとに小さな改善が必要なもの
  3. 規定類の新規作成、または改訂を行い、徹底すべきもの
  4. 認証取得に直接関係なく、当面留保するか廃棄すべきもの

システムの構築の機会を利用して、従来の業務について、ムリ、ムダ、ムラ等の観点から見直し、より簡素化されたより効率的な業務を目指すことも忘れないようにします。ムリ・ムダ・ムラを徹底的になくすと、効率性が一段と向上し、生産性が著しくアップします。システムの構築の機会を利用して現場の効率化を同時に進めることも重要です。「改善のための作業分解法」を用いるといいでしょう。

品質マニュアルと必要な手順書の作成

品質マニュアル作成は、2008年版までは要求事項でした。しかし2015年版では、その要求はなくなり、「プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。」となりました。規定や手順書もこの箇条に当たります。それでもやはり、当初は運用の拠り所として基本となるマニュアルは必要です。

他社の完成品をコピーして作成することも可能ですが、規格要求事項と自社の業務との対応を確認するだけのための、プリミティブな汎用モデル版を提供しますので、これを使用することをお勧めしています。

また規定は基本的なマニュアルの中にほとんど示されますが、手順書は必要最低限の範囲で作ります。

システムの構築・実施の前提

新たに出来上がった手順書が実行可能かどうかを確認したわけではありません。実行して確認する必要があります。手順=ルールは完全でないのが普通で、完全でないルールを実行して品質システムを完全にするのは、各職場の担当者の前向きな取り組み姿勢であり、例えば欠陥が発見された時の、迅速な報告と対応策の提示などが必要になります。

日本的経営では、課題解決における一人一人との念入りな話し合いによって、絆を強化して行くところに良さがあります。課題の解決を進めると、組織がスムーズに動くようになることが目に見えるようになって行きます。推進担当者が実施後に人が変わったように夢中になることがありますが、嫌でもこの活動には全階層に渡る課題解決機能にあるからです。

社員への運用の説明の実施

社員への運用の説明を実施するのは、運用の開始に当たって各部署の協力を仰ぐためです。説明は次のような内容になります。

1.マニュアルの概要と手順書の説明

出来上がった品質マニュアル、手順書について、規格要求事項のおおよそと管理の仕組みは詳しく説明する。部門別=課・係別などで行う。その部門が関連する部分だけの説明でも良い。その代わり仕組みとルールを念入りに説明して開始の月日を明示する。

2.立ち上げ打合せ

製造や施工、サービスの現場の場合、立ち上げの課題を逐次打ち合わせる会合も必要。これは部門長が開催し、参加者は職場長など。運用開始の月日を明示する。

内部監査の実施

内部監査員による内部監査も、初めての時はなかなか核心に迫った監査は出来ないうえ、導入で新たにしなければならない作業なので、専門家に委託することをお勧めしています。最初の監査では、チェックは規格条文に沿って行いますが、大くくりに品質システムに不整合がないかを確かめるものになります。

運用が定着してきたら、業務に密着した細かなチェックが必要です。品質マニュアル、手順書類、標準書等の文書を監査基準として使います。書かれている通りの作業が徹底され、記録されているか、各職場を監査します。

内部監査で指摘された事項は、原因を洞察し、真の原因(間接的原因)を発見し、同様な問題がシステムのほかの部分に現れていないかまで検討します。是正処置を決定し、再発防止とそれを歯止めするための手順書等の改正は、内部監査による業務改善の両輪です。

是正後はフォローアップを必ずかけ、改善されたかどうかを確認します。

組織の構造

組織の構造における役割分担には、何らかの階層構造があります。その相関関係図は組織図です。職位と職階がありますが、ISO9001:2015で認識すべきは、組織上定義された職務の称号である職位または職制です。品質マネジメントシステムに登場する職位は組織図で定義されていることが必要だからです。組織図に登場しない職位や職制が、定義されない権限や役割を持って品質マネジメントシステムに影響を与えることは認められません。

組織図で定義された職位・職制には何らかの役割が与えられているはずです。職務分掌の事前の体系的定義は、システムのパフォーマンスのためにも必要で、職務分掌一覧表などとして定義する方法もあります。規格に対する職務分掌マトリックスとして表わすものもあります。組織図、職務分掌一覧表、職務分掌マトリックスの3つの図表と、組織の構造が矛盾しない整合性が必要です。

手順と手順書

ISO9001:2015では明確に文書化を要求された手順はありません。しかし一般に手順の確立のためには、業務手順の文書化がある程度は必要であります。品質マニュアルを含めて手順の文書化はトップダウンでする必要があります。組織が大きくなれば、文書化された手順は階層化します。品質マニュアル、規定書、作業手順書、要領書というように。とはいえ、むやみに作る必要はありません。文書化は必要かつ最低限に抑えることです。

事業レベルの文書

品質マニュアルのモデル版はマネジメントシステムの仕組みを規格要求事項に沿って分かり易く記述したものです。これを分かりやすくさらに業務にも沿ってフローチャートで表現するとMSチャート図と業務フローダイアグラムになります。MSチャート図は市場環境や社会情勢の認識から始まり、製品・サービスの引き渡し、システムレビューと改善活動までのプロセスを、プロセスアプローチのチャートで記述します。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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