ISO27001(ISMS)取得企業を調べる方法は?必要性や取得が多い業種一覧

- ISO27001(ISMS)の取得企業数は年々増えている
- ISO27001(ISMS)は情報サービス業や人材派遣業などの個人情報や機密情報を取り扱う業種で取得が進められている
自社にとってISO27001の取得の必要性に疑問を感じていませんか。ISO27001は情報セキュリティマネジメントシステムの構築と運用をすることで情報セキュリティリスクから情報資産を守ることを目指しており、進化し続けるIT社会においても実用的な国際規格となっています。
この記事では、ISO27001の取得企業数や取得が多い業種、日本国内の現状と、その必要性について解説します。
目次
ISO27001(ISMS)の取得企業数
ISO27001とは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する規格です。情報セキュリティリスクを低減し、自社の情報資産を保護するために、事業規模や業種に関わらず、多くの企業が取得しています。
情報マネジメントシステム認証センターによると、2025年3月9日現在、ISO27001の取得企業数は8,057社(公表している企業は7,674社)です。
ISO27001の取得企業数はこの20年間ほどで著しく増加しています。
2002年には約140社だった取得企業数は、2015年には約4,600社、そして2025年3月現在には約8,000社です。この約20年間の推移を見ても、情報セキュリティの重要度の高まりを確認できます。
この取得企業数の増加傾向から考えるに、新規取得を目指す企業が多いだけでなく、取得後も更新し続けている企業が多いことが伺えます。更新にも審査を受ける必要があるため、取得企業の奥がISO27001取得によるメリットが実感できていることがうかがえます。

ISO27001(ISMS)取得企業の調査方法
ここでは、ISO27001(ISMS)取得企業の調査方法を紹介します。
1.情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)のサイトで検索する
最もおすすめの方法が、情報マネジメントシステム認定センターのサイトで検索することです。
ホームページから「登録組織検索→ISMS認証取得組織検索」を選択することで、認証取得組織数を確認できます。
また自社の業種におけるISO27001の取得状況も、都道府県や企業名から検索条件を絞ることで検索できます。競合他社におけるISO27001の取得数が多い場合には、業界全体において情報セキュリティの重要性が非常に高まっているといえるでしょう。
ただし、自社の取得情報を公表していない企業もあるため、注意が必要です。
2.ホームページを確認する
ISO27001を取得しているかどうかを知りたい企業のホームページで、取得状況を確認する方法もあります。
ISO27001の取得情報は、ホームページ状に公表している「情報セキュリティポリシー」「情報セキュリティ方針」とともに掲載されていることが一般的です。さらに、情報セキュリティに関する基本方針や登録範囲なども記載されているため、併せて確認するとより深くその企業の情報セキュリティ体制を調査できるでしょう。
ただし、ホームページにISO27001を掲載していない場合もあるため、注意が必要です。
3.パンフレットや広報資料、名刺を確認する
企業によっては、パンフレットや広報資料、名刺などにISO27001の認証について記載している場合があります。
ISO27001の取得を公表することで、セキュリティへの取り組みを示すことにつながります。そのため、ISO27001を取得した企業の多くは、取引先や顧客からの信頼を得るためにさまざまな場所に掲載している可能性が高いのです。
ISO27001(ISMS)を取得している企業の特徴
ISO27001(ISMS)を取得している企業の特徴について、情報マネジメントシステム認定センターが2024年7月に調査した「ISMS適合性評価制度に関する調査報告書」から紹介します。
取得が多い業種
ISO27001の取得が多い業種について、以下に上位5業種についてまとめました。
なお、このアンケート結果は、同一法人の中の複数部門が個別に認証を取得している場合、同一法人の情報を重複して集計されたものであることは留意が必要です。
- 「情報技術」(53.3%)
- 「その他サービス業」(19.3%)
- 「卸売・小売業」(4.7%)
- 「分類不明」(4.0%)
- 「建設業(エンジニアリングを含む)」(3.8%)
また突出して多い「情報技術」をさらに区分すると、以下のようにシステム・ソフトウェアに関するサービスを行っている企業が多くISO27001を取得していることがわかりました。
- 「受注ソフトウェア業」(34.2%)
- 「システムインテグレーション業」(24.4%)
- 「ソフトウェアウェアプロダクト業」(19.8%)
- 「インターネット附随サービス業」(5.5%)
- 「通信業」(4.4%)
こうした結果の理由は、システム開発などではさまざまな個人情報や機密情報を取り扱うため、ISO27001の取得による情報セキュリティの信頼度の高さが求められるためであると考えられます。
取得が多い組織規模
ISO27001の取得が多い組織規模について、以下に資本金・従業員数別にまとめました。
なお、このアンケート結果は、同一法人の中の複数部門が個別に認証を取得している場合、同一法人の情報を重複して集計されたものであることは留意が必要です。
資本金(法人が株式会社の場合)
- 「1000万円超、5000万円以下」(34.9%)
- 「5000万円超、1億円以下」(21.0%)
- 「1000万円以下」(19.4%)
- 「3億円超」(14.5%)」
- 「1億円超、3億円以下」(6.5%)
常時使用する従業員数
- 「100人超、300人以下」(23.0%)
- 「20人超、50人以下」(21.9%)
- 「50人超、100人以下」(18.7%)
- 「5人超、20人以下」(13.8%)
- 「300人超、1,000人以下」(11.9%)
この結果から、ISO27001の取得企業のうち、資本金・従業員数は中小企業~中堅企業クラスの企業が最も多いことがわかります。ISO27001を取得するリソースがあり、競争力を強化したい企業が取得に動いていると考えられます。
ただし、小規模企業でも取得している企業も多く存在します。十分に準備し、信頼できるコンサルに取得サポートを依頼することで、小規模企業も少ない工数で取得可能です。
組織の取得目的
ISO27001の取得目的における11の項目に「該当する」、「やや該当する」、「余り該当しない」、「該当しない」の4段階で質問した結果、「該当する」の回答が多かった上位5つを紹介します。
- 「顧客からの信頼を確保するため」(84.7%)
- 「組織の情報セキュリティ対策の強化のため」(81.2%)
- 「組織の情報セキュリティ管理体制の強化のため」(80.3%)
- 「社員の情報セキュリティに関する意識向上、教育啓発のため」(77.9%)
- 「企業イメージの向上のため」(68.0%)
この結果から、自社内部の情報セキュリティ体制の強化になることはもちろんのこと、顧客からの信頼獲得や企業イメージの向上といった対外的な期待して、企業がISO27001を取得していることがわかります。

ISO27001(ISMS)取得によるメリット
ここでは、ISO27001取得によるメリットを情報マネジメントシステム認定センターが2024年7月に調査した「ISMS適合性評価制度に関する調査報告書」をもとに解説します。
ISMS導入の効果における15項目に「該当する」、「やや該当する」、「余り該当しない」、「該当しない」の4段階で尋ねた結果、「該当する」の回答が多かった上位5つをまとめました。
- 「社員の情報セキュリティに関する意識向上、教育啓発に寄与した」(71.6%)
- 「組織の情報セキュリティ管理体制が強化できた」(70.5%)
- 「組織の情報セキュリティ対策が強化できた」(70.2%)
- 「顧客からの信頼確保に貢献した」(63.1%)
- 「経営者の情報セキュリティに対する関与が深まった」(57.2%)
この結果から、特に自社内部におけるメリットを実感した人が多く、情報セキュリティ体制が構築・運用され、働く人々の情報セキュリティへの理解が深まったことがわかります。
こうした結果になった理由は、ISO27001取得に向けて活動する過程で、情報セキュリティリスクやその対策を明確化できるため、情報セキュリティに対して自発的に考え、実行できる組織へと変化できたのだと考えられます。
ISO27001の取得によるメリットの詳細については以下の記事をご覧ください。
ISO27001(ISMS)取得企業の事例
最後にISO27001(ISMS)取得企業の事例を解説します。
株式会社プライム・ナンバーズ
株式会社プライム・ナンバーズは、官公庁や国の機関向けに情報処理サービスを展開している情報処理業を営む企業です。
ISO27001の取得理由は、官公庁や国の案件における入札要件としてISO27001の取得が求められていたことがきっかけでした。また社内ルールの明文化を推進し、業務進行を見直すことで体制を整備する狙いもありました。
ISO27001の要求事項に対応する過程で、今まで口頭で確認していたことを文書で残すようにしたり、会社のルールを明文化して改めて周知したりといった取り組みを開始できたとのことです。
株式会社プライム・ナンバーズのインタビュー詳細は、以下の記事をご覧ください。
オーラン株式会社
オーラン株式会社は、IT企業向けにお客様の課題であるプロジェクト進行を円滑に進めるための「人」というソリューションを提供する会社です。
ISO27001の取得理由は、「社内ルールがなく、情報の扱いが曖昧だったこと」や「取引先からISO27001の取得について聞かれることが多くなったこと」がきっかけでした。
ISO27001を取得して名刺に認証マークを掲載したところ、取引先から良い反応をもらえたり、情報セキュリティに関する契約書の締結時に、契約書を省略できるようになったりと、対外的な変化がありました。
また情報の扱いについても統一化したことで、従業員の情報セキュリティに関する意識が向上していることも実感できるようになったそうです。
オーラン株式会社のインタビュー詳細は、以下の記事をご覧ください。
株式会社クリエイション
株式会社クリエイションは、JRシステムグループの一員としてアプリケーション・システム開発業を営む会社です。
ISO27001の取得理由は、社員のワークライフバランスの改善のために自社開発を推進する流れになり、「しっかりとした環境や情報セキュリティ対策が必要になったこと」や「社員のITリテラシーを向上させることが必要になったこと」がきっかけでした。
ISO27001を取得して自社のホームページや名刺に認証マークを掲載しているため、顧客や社員間にも認識してもらえるようになったとのことです。その結果、さまざまな企業から仕事の依頼が少しずつ増えていると実感されています。
株式会社クリエイションのインタビュー詳細は、以下の記事をご覧ください。

まとめ
ISO27001は、情報セキュリティ体制を構築するために取得すべきといえます。近年では、数多くの業種の企業に支持されており、取得企業数も増加傾向にあります。
ISO27001は、情報セキュリティのマニュアルや目標を設定するため、セキュリティ管理の効率的な運用が可能です。情報セキュリティシステムの構築は、取引先や顧客にとって信頼度が向上し、対外的な評価を高められます。また、対外的な評価の向上により、他社との差別化を図れて、新たな顧客の獲得に繋がる可能性があるのです。
ぜひISO27001取得の検討をしてみてはいかがでしょうか。

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