プライバシーマーク(Pマーク)を取得・維持するには、個人情報を扱うエリアへの入退室管理が欠かせません。従業員や来客の出入りを正確に記録することで、不正侵入や情報漏えいを防ぎ、トラブル発生時にも原因を追跡できる体制を整えられます。

この記事では、Pマークにおける入退室管理の基本や記録方法、運用時の注意点、そして審査対応に必要な保管期間について詳しく解説します。これから認定を目指す企業や、更新審査を控える担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

プライバシーマーク(Pマーク)の入退室管理とは?

入退室管理とは、従業員や来訪者の出入りを正確に記録し、個人情報を扱うエリアへの不正侵入や情報漏えいを防ぐ仕組みを指します。オフィスやサーバールームなど、重要情報を保管する場所への入退室を把握することで、万が一のトラブル発生時に原因を追跡できる体制を整えます。

この入退室管理は、プライバシーマーク(Pマーク)取得において特に重視される項目です。Pマークは、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営する個人情報保護の認定制度で、企業が「個人情報を適切に管理している」ことを第三者が証明する仕組みです。そのため、物理的なセキュリティ対策として入退室管理は欠かせません。

従業員の入退室記録

従業員の入退室記録は、企業における情報セキュリティの根幹を支える管理項目です。誰が、いつ、どの場所に出入りしたのかを記録することで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを防ぎ、万が一の事故や紛失が起きた際の追跡にも役立ちます。

記録方法としては、ICカードやテンキー、生体認証、顔認証などが用いられ、重要エリアでは防犯カメラの設置も推奨されます。従業員に対して入退室ルールの徹底や教育を行い、セキュリティ意識を高めることも不可欠です。Pマークの運用では、記録の定期確認と運用ルールの見直しを継続的に行うことが求められます。

来客記録

来客記録とは、社外の来訪者が事業所を訪れた際に、その日時や目的を記録して管理することを指します。Pマークでは、すべての来訪者を対象とするのではなく、個人情報を取り扱う「執務エリア」へ立ち入る来客を中心に記録すれば問題ありません。

記録内容は、来訪者の氏名・会社名・来訪目的・入退室時刻などが基本です。これにより、情報漏えいなどの事故が発生した際に、当日の状況を正確に把握できます。受付簿や電子ログなど、自社の運用に合わせた方法で記録を残すことが推奨されます。

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Pマークの取得に入退室管理が必要な理由

Pマークの取得において来客記録や入退室管理の整備が求められるのは、企業が「個人情報を適切に管理している」ことを第三者に示すためです。これらの記録は、Pマーク審査で信頼性を証明する根拠となります。具体的な理由を以下で紹介します。

個人情報保護体制の証明のため

入退室管理や来客記録は、社内外の出入りを可視化し、情報保護体制が実際に運用されていることを示す証拠になります。審査時には、この運用状況が重点的に確認されます。

不正侵入・情報漏えい発生時の追跡のため

万が一の事故や不正アクセスが起きた際、記録をもとに「いつ」「誰が」現場にいたのかを特定でき、原因究明や再発防止策に直結します。

企業の信頼性を高めるため

入退室管理の徹底は、社内のセキュリティ意識を高めると同時に、取引先や顧客に対しても信頼できる企業であることを示す指標となります。

Pマーク取得に向けた入退室管理・来客記録の作成方法

Pマークの取得には、入退室や来客の記録を確実に残す体制づくりが大切です。ここでは、紙の台帳・Excelなどの手動管理から、システムを活用したデジタル管理まで、実践的な記録方法を紹介します。

紙の記録台帳を使う

最も基本的な入退室管理・来客記録の方法は、紙の記録台帳を使用する方法です。オフィスや事業所の入り口に台帳を設置し、必要な情報を記入してもらいます。導入コストがかからず、特別な機器も不要なため、小規模事業所や初めてPマーク取得を目指す企業でも簡単に導入できるのが特徴です。

メリット
  • 導入コストがほぼかからない
  • 誰でもすぐに運用できる
  • 停電やシステム障害の影響を受けない
デメリット
  • 記入漏れや誤記入が発生しやすい
  • 手書きのため判読しにくい場合がある
  • 集計や分析に時間がかかる

一方で、手書きによる管理は正確性が低く、データの抽出や過去記録の検索にも手間がかかります。また、台帳自体に来訪者の個人情報が記載されるため、紛失や盗難を防ぐための保管ルールを設けることが大切です。運用上は、記入を徹底するために担当者を明確にし、定期的に台帳の確認・回収を行う体制を整えることが望ましいでしょう。

Excelやスプレッドシートで記録する

紙の台帳をデジタル化し、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトで入退室や来客を管理する方法です。事前に来訪予定を記録しておけば、当日の対応もスムーズです。デジタル化することでデータの検索・集計・分析が容易になり、管理負担を大幅に軽減できます。クラウド型ツールを使えば、複数拠点間でのリアルタイム共有や、担当者間での一元管理も可能です。

メリット
  • データの検索・集計・分析が容易にできる
  • クラウド共有で複数拠点の一元管理が可能
  • 紙の保管スペースが不要
デメリット
  • 入力ミスや誤操作が発生する可能性がある
  • 端末操作に一定のスキルが求められる
  • 情報漏えい・不正アクセスなどのリスクがある

ただし、Excelやスプレッドシートは編集や共有が容易な反面、セキュリティリスクも伴います。アクセス権限を明確に設定し、閲覧・編集権限を制限しましょう。また、定期的なバックアップを行い、万一のデータ消失に備えましょう。システム化までは難しいが効率化を図りたい中小企業に適した方法と言えます。

入退室管理システムを導入する

より高度なセキュリティと効率的な運用を実現できるのが、入退室管理システムの導入です。ICカード、スマートロック、指紋や顔などの生体認証を用いて自動的に「誰が・いつ・どこに」出入りしたかを記録します。クラウド型システムを導入すれば、複数拠点の情報をリアルタイムで管理でき、管理担当者の負担軽減にもつながります。

メリット
  • 記入漏れや誤記入の防止ができる
  • リアルタイムで正確な入退室記録を管理できる
  • 不正侵入を抑止し、セキュリティを強化できる
デメリット
  • 初期導入コストや運用コストが発生する
  • 停電・通信障害時にはシステムが一時停止する可能性がある
  • 設置や設定に専門知識が必要になる

主な仕組みには、社員証をかざす「カード認証」、遠隔操作が可能な「スマートロック」、本人確認精度の高い「生体認証(指紋・顔認証など)」があります。企業規模や取り扱う情報の重要度に応じ、最適な組み合わせを選ぶことでセキュリティ強化と業務効率化を両立できます。

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Pマークの取得における入退室管理・来客記録の保管期間は?

Pマークを取得・維持するためには、入退室記録と来客記録を2年間保管することが推奨されています。Pマークの規格要求事項に明確な保管期間の定めはありませんが、現地審査では運用実績の確認が行われるため、過去2年分の記録がないと審査不備とみなされる可能性があります。

なお、Pマークの認定有効期間も2年間であることから、「前回審査から次回審査までの記録をすべて保管しておく」ことが実務上の基準です。2年分を確実に残すことで、更新審査にもスムーズに対応できます。

まとめ

プライバシーマーク(Pマーク)取得において、入退室管理と来客記録は個人情報保護体制の証明として重視される項目です。オフィスやサーバールームなどへの出入りを記録し、不正侵入や情報漏えいを防ぐことが目的です。

記録方法は紙の台帳への記載、Excelやスプレッドシートへの入力、入退室管理システムの導入などがあり、企業規模や運用体制に合わせて選択します。これらの記録は審査時に確認されるため、入退室記録・来客記録ともに2年間の保管が推奨されます。前回から次回審査までの2年分を残すことで、継続的な運用実績が証明できます。

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