BCP(事業継続計画)対策に太陽光発電は有効?導入メリットを解説
- BCPにおいて電力確保は重要な課題
- 太陽光発電と蓄電池の併用により必要な電力確保につながる
- 緊急時にBCPを適切に実行するためにはISO22301の取得がおすすめ
近年では、大規模な災害や感染症が発生するなど、非常事態への対策としてBCP(事業継続計画)を練ることが企業に求められています。その中でも、IT技術の進化により、電子機器が使用できなくなることによる損害は非常に大きいものになるでしょう。
こうした状況への備えとして、太陽光発電システムが注目されています。従来の蓄電池設備だけでなく、自社で電力を確保することによって、事業の早期復旧にもつながります。
そこで、本記事では、BCP(事業継続計画)の概要や電力確保の手段、発電機器を設置するメリットについて詳しく解説します。
目次
そもそもBCP(事業継続計画)とは
BCP(Business Continuity Plan)とは、「事業継続計画」のことです。自然災害や感染症、テロなどの非常事態においても、重要な事業を継続・早期復旧させる方針や体制、基準などを取り決めておく計画になります。
BCPにおける詳細は、以下の記事をご覧ください。
BCP対策において太陽光発電システムが有効な理由
BCPで対応すべき非常事態はいくつかありますが、そのうち、災害時の対策には電力確保は欠かせません。従来の蓄電池だけでなく、太陽光発電システムが有効な理由を解説します。
電力復旧にかかる時間
自然災害が発生すると、広範囲・長時間に及ぶライフラインの停止が考えられます。以下に、大規模な自然災害において停電が復旧するのにかかった期間をまとめました。
災害名 | 発生日 | 停電の復旧にかかった期間 |
---|---|---|
令和元年東日本台風 | 2019年10月 | 約2週間 |
北海道胆振東部地震 | 2018年9月 | 約43時間 |
熊本地震 | 2016年4月 | 約6日間 |
東日本大震災 | 2011年3月 | 約6日間 |
阪神淡路大震災 | 1995年1月 | 約2日間 |
また、首都直下地震等による東京の被害想定によると、発災3日後程度から停電が徐々に減少する見込みになっています。ただし、停電が解消されても、被害の状況によっては発生から一定期間は計画停電が継続される可能性もあります。
このため、長期にわたる停電においては、蓄電池のみでは電力をまかなうことが難しいのです。そこで自社において事業の継続・早期復旧を目指すために、自社で発電できる太陽光発電システムを設置することが有効といえるのです。
BCP対策として発電機器を設置するメリット
BCP対策として発電機器を設置するメリットを解説します。
事業の継続・早期復旧が可能になる
BCP対策の目的でもある事業の継続・早期復旧が可能になります。
最近では、あらゆる業種において事業活動に、電力が必要なIT機器が利用されています。そのため、電力の確保はBCP対策においても欠かせない対策といえるでしょう。
事業を中断していると、売上が上げられないだけでなく、その期間が長引くほど、顧客や取引先も代替サービスに移行してしまう可能性が高まります。そうなると、事業が復旧した後も思うような売上に結びつかず、事業の縮小や廃業につながるおそれがあります。
こうしたリスクを回避するためには、電力確保やその他BCP対策を実施し、事業の継続や早期復旧する手順や方法を計画しておくことが重要なのです。
外部との通信手段の確保
自然災害が発生した際には、従業員の安否確認や取引先への連絡、情報収集などにおいて、通信手段を確保する必要があります。
しかし、停電が発生すると、社内における電話やメール、インターネットなどを利用できなくなります。スマホやタブレットは使用できますが、電源がなくなった場合には充電できなくなってしまいます。
こうした場合において、太陽光発電設備を設置し、電源を確保しておくことで、外部との通信手段を確保できるのです。
また、インターネットやSNSを利用する場合には、Wi-fiについても同様に調べておくことが大切です。最近では、災害発生時に「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」など無料Wi-fiが解放されるようになってきています。
対外的な評価につながる
BCP対策を実施することにより、対外的な評価の獲得につながります。事業を停止させないことにより、消費者の生活や取引先の事業を守ることにもつながるのです。
特に、さまざまな部品の組み合わせによって成り立っている車や家電といった製品においては、取引先の1つでも供給がストップすると、製品の生産ができなくなるおそれがあります。
そのため、自社だけでなく、取引先においてもBCP対策を求める動きが高まっているのです。
また、太陽光発電設備により発電した電気は、自社だけでなく地域住民にも提供することが可能です。事業継続のためだけでなく、地域にも貢献することで、自社の対外的な評価につながるでしょう。
非常時に電力確保するための手段
それでは、非常時に電力確保するための手段として、産業用蓄電池と太陽光発電システムについて紹介します。
産業用蓄電池
産業用蓄電池とは、工場やオフィスビルなどに対応した蓄電池のことです。
一般的な家庭用蓄電池に比べて容量が大きく、電気出力は、10kWh程度~大規模な施設においては数百kWhの蓄電池までさまざまなタイプがあります。例えば、4人世帯の1日の電気使用量目安が13Kwh程度といわれています。どの程度の使用量が必要かを見極め、自社において適切な容量の蓄電池を選定することが重要です。
ただし、産業用蓄電池を設置しても、電力が復旧するまでの期間において、すべての電力をまかなうことは難しいでしょう。BCPを策定する際に、停電時に優先する機器について事前に取り決めることも必要になります。
自家消費型太陽光発電システム
太陽光発電システムとは、太陽光発電装置によりつくられた電気を、自社設備に使用するシステムです。晴れている日中に電気をつくり、停電の際に非常用電源として使用することができます。
産業用蓄電池と太陽光発電設備をセットで設置することで、晴れの日中においては電力を生み出しながら使用することが可能です。そのため、災害の停電が長引いた際にも、自社の事業における電力確保ができるでしょう。
BCP対策として、非常時の電力確保を実現するには、蓄電池設備と自家消費型太陽光発電システムの両方をあわせて準備することがおすすめです。
非常時に有効なBCPを策定する方法
ここまで、BCP対策の一環として、太陽光発電システムや蓄電池の有効性について解説してきましたが、こうした設備を十分に活用するためには、非常時に機能する事業体制を構築することが必要です。
そのためには、BCPの策定だけでなく、BCMS(事業継続マネジメントシステム)の構築と運用がおすすめです。
BCMSとは、緊急時にBCPに則った行動ができるように、BCPを運用するための活動と経営を一体にしシステム化したものです。通常の経営とも密接に結びついた活動になるため、緊急時における実効性をより高めることができるでしょう。
BCMSの国際規格の「ISO22301」とは
ISO 22301とは、BCMSに関する国際規格です。ISO22301は、有効なBCMSを構築・運用するために必要なガイドラインのような立ち位置となっているため、取得に向けて取り組む中で、自社の非常時における事業体制を強固なものにできます。
例えば、電力が断たれることにおける影響や対応について、ISO22301では以下のような点を明らかにしていきます。
- 電力が断たれることによるリスク
- 電力を優先的に使用する機器の設定
- 非常時の各情報へのアクセス権の設定
「どのような事柄について対策を練るべきなのか」という指針がないまま、自社の課題をすべてピックアップし、対策を決め、運用していくことは難しいといえるでしょう。そこで、ISO22301の要求事項を指針とし、事業体制を整えていくことで、BCP策定以上の実効性が期待できるのです。
まとめ
災害や感染症、ITリスクなどさまざまな危機に備えて、BCPが注目されています。
災害時において、特に重要なのが電力確保です。十分な電力確保のためには、産業用蓄電池と太陽光発電システムの併用が有効です。ただし、さまざまな危機に対応するには、BCP策定だけでなく、緊急時に機能する組織の体制づくりが求められています
そこで、電力確保の方法だけでなくISO22301の取得も合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
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