ISOマネジメントシステムに有効なマネージング手法 第7講座~問題発生のメカニズム(1)~

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ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年04月04日

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問題発生のメカニズム

問題発生のメカニズムを知ることで、問題解決の糸口をどのようにして探したら良いかが分かります。そこで、危険が潜在し、事故が予想される職場で行われている危険予知訓練=KYTのケーススタディをやって、問題発生のメカニズムを解明してみましょう。問題発生のメカニズムとはなんなのかを確認できます。

問題発生KYTケーススタディ「ある職場の障害事故」

この職場は、製品の出荷を受け持つ、たいへん忙しい職場です。チーフの鈴木さんのほか、3名の作業員が働いています。佐々木君は、製品のベルトコンベアによる運搬のコントロールを受け持っており、田中君ともうひとりの作業員は、出荷ホームでの出荷先への積み込みと、そのホームのゴミの掃除を受け持っています。この掃除は頻繁に行われ、掃除の方法はゴミを集めて、焼却炉に近い出入り口の近くに小さなゴミの山をつくり、手押しの一輪車に積んで出入り口を出て焼却炉まで運ぶというものです。

ある日、この職場で事故が起きました。佐々木君が片足切断という重傷を負い、機械が破損する重大な災害が発生してしまったのです。この事故発生のメカニズムを安全分析表で解析します。
事故発生までの状況は、次のように説明されました。
約2週間前から、佐々木君はベルトコンベアの小さな異常音に気づき、発生箇所がわからないので、チーフの鈴木さんにそう報告していました。しかしチーフは、出荷が忙しい時期なので、全面的な点検を指示せずに、また他の作業員に異常音のことを知らせていませんでした。
佐々木君がケガをした当日、もうひとりの作業員は他の部署の応援に出向いていました。また鈴木さんは上司から、この日の午前中に社長が巡回に来ると言われていました。鈴木さんは朝の雑務が終わった10時半ごろ、この職場に来たところ、田中君がつくった出入り口近くのゴミの山に気づき、「今すぐにも社長が見えるかも知れないので、すぐにゴミをかたづけるように」と、田中君に言いつけました。田中君は、奥の方のゴミも集めてからと思っていましたが、チーフの鈴木さんに急がされて、そのゴミの山を一輪車に積み始めました。

一方チーフは、田中君が言ったとおりにゴミの山のかたづけにすぐに取り掛かったので、満足気にホームを見回っていくと、ベルトコンベアの異常音が少しですが大きくなっていることに気がつきました。早速、佐々木君を目で探しましたが見当たりませんでした。
その間に一輪車にゴミを積み込んだ田中君は、ゴミを搬出しようと出入り口から出て行きました。

そのうち佐々木君が別の出入り口から戻って来ました。佐々木君はチーフの顔を見て、照れ隠し笑いをしながら、いそいで作業に戻ろうとしました。佐々木君は同僚に呼ばれて、ほんの数分ですが持ち場を離れていたのでした。そこで鈴木チーフは、「変な音がするから、社長が見えるかも知れないので、すぐに点検をするように」と佐々木君に言いつけました。
佐々木君は「すみません」と言って、慌てて田中君が出て行った出入り口横の、配電盤を開けてスイッチを切り、ベルトコンベアを止め、点検を始めました。
佐々木君が点検のためにコンベアの中に入っているあいだに、鈴木チーフは社長を迎えに職場を離れ、焼却炉へゴミを運んで行った田中君は、現場に戻って止まっているコンベアを見て、出入り口横のスイッチを入れて動かしたのでした。

あとで調べてみると、佐々木君はチーフに急かされたので、点検中の表札をスイッチのところに下げるゆとりがなく、慌ててコンベアの中に入ったのでした。また、見張りに立ってもらえる人もいませんでした。ゴミを捨てに行った田中君は、佐々木君がコンベアの中に入っていることを知らずに、出荷しなければならない製品が途中でストップしていたので、社長が見たらまずいと思い、スイッチを入れてしまったのでした。
急に動き出したコンベアに驚いて、佐々木君は逃げ出そうとしました。ところが足元にあったゴミに足を取られ、滑って転んで、足が駆動軸にまきこまれてしまったのでした。

安全分析表での分析

以上のような状況を安全分析表で分析してみます。まず、事実を5W1Hで列記します。

  • 小さな異常音が2週間前からあった。
  • それを佐々木君の報告でチーフも知っていた。
  • その日は社長の現場巡回日だった。

このように、結果の災害発生まで、起きた事実を全て時系列で箇条書きに列記します。事実を細大漏らさずに全て5W1Hで列記することが重要です。この列記された事実の中に、事故発生のメカニズムが隠されているからです。これを解明するのが、安全分析です。

列記の次は、はじめに明確な事実である結果を記述します。
「結果:佐々木君の片足切断、機械の破損」

次は、結果をもたらした事故の事実を記述します。
「事故:佐々木君がコンベアを点検しようとした、そのとき、突然コンベアが動き出し、驚いて逃げ出そうとして、ゴミに足を取られ滑らせ、足が駆動軸に巻き込まれた。」

ISO9001:2015規格10.2 不適合及び是正処置10.2.1 には「不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。1) その不適合をレビューし,分析する。2) その不適合の原因を明確にする。」とあります。不適合の原因特定の方法として、問題発生のメカニズムを解明するこの手法は、不適合に対する再発防止の処置を決めるうえでも極めて有効です。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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