ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を効果的に運用するうえで、従業員の教育・訓練は欠かせない要素です。特に、ISO27001では従業員が情報セキュリティリスクを理解し、日常業務の中で適切に対応できるように教育・訓練を行うことが求められています。

しかし、「どのように教育を進めればよいのか?」「教育の対象範囲や頻度は?」といった疑問を抱える企業担当者も多いでしょう。

そこで、この記事では、ISMS教育の概要から具体的な実施方法、教育内容や効果測定の方法まで、わかりやすく解説します。

ISMS教育とは?

ISMS教育とは、「ISMSに関わる人たちに必要な力量を習得させるための手段の一つ」です。
ここでいう力量とは、「情報セキュリティリテラシー」「ISMSを運用するうえで必要となる知識・能力」などを指しますが、要求事項に明確な定義はありません。そのため、自社の実務に応じた知識・能力の基準を定める必要があります。

高山洋美(ISOコンサルタント)

大手電力会社の情報システム子会社に勤務。基幹系システムの開発・保守・運用において、SE、プロジェクトマネージャを歴任。その後、品質保証部門に在籍し、品質マネジメント規程やプロジェクトマネジメント規程を企画・運営。現役のISO審査員でもあるため、審査を実施する側の目線でもコンサルティングできることが強み。また、ISMS(情報セキュリティマネジメント)研修講師としても活躍中。

規格には『力量』の定義に正解はありません。だからこそ、他社のマネではなく『自社の業務で何がリスクか』を自分事として語れる状態を設定しましょう。

適切にISMS教育を実施することで、情報セキュリティに関する知識不足や認識の不一致、人為的ミス・事故を防ぎ、ISMS範囲内の従業員の情報リテラシーの向上につながります。

ISO27001における教育訓練の位置づけ

ISO27001の要求事項では、教育訓練はどのように記載されているのでしょうか。実は、ISMS教育訓練そのものに関する項目は存在せず、「7.2 力量」において以下のような内容が求められています。

  1. ISMSの適用範囲内で働く人々に求められる力量を明確にする
  2. それらの人々が現在保持している力量を評価する
  3. 力量が不足している場合には教育訓練を実施し、有効性(必要な力量を取得できたかどうか)を評価する
  4. 力量の証拠として、1~3までの記録を文書化して保持する

さらに、管理策をまとめた附属書A「A.6.3 情報セキュリティの意識向上、教育及び訓練」においても、情報セキュリティへの意識向上を目的とした教育訓練の実施が求められています。

つまりISO27001は、「力量に基づく教育」と「意識向上を目的とした教育」の2つを効果的なISMS運用に不可欠な要素として位置づけています。ISMS教育を組織の情報セキュリティレベルを継続的に高めるための仕組みとして機能させることが重要です。

関連記事:【完全版】ISO27001(ISMS)とは?概要や取得方法を簡単に解説
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ISMS教育が必要な理由

ISMS教育が必要な理由は、情報セキュリティ対策の最終的な担い手は「人」であり、従業員の知識・行動が組織全体のリスクレベルを左右するためです。
どれだけ優れたセキュリティシステムを導入しても、それを運用するのは人です。知識や意識が不十分な従業員が一人いるだけで、組織全体のISMS体制が崩れかねません。

ここでは、ISMS教育が必要である理由について解説します。

情報セキュリティリスクに関する共通理解を促すため

情報セキュリティ対策を組織全体で徹底するには、全従業員が共通の認識でリスクを理解していることが前提です。

従業員ごとに知識や意識がばらばらな状態では、何かトラブルが起きたときの対応に一貫性がなくなり、組織のISMS体制に穴ができてしまいます。ISMS教育を通じて「何がリスクなのか」「どう対応すべきか」を全社で統一し、セキュリティ意識を底上げすることが重要です。

また、経営層・管理職・一般従業員では、それぞれに必要な視点や責任範囲が異なるため、役割に応じた教育訓練の設計も大切です。のちほど、対象者ごとの教育訓練の例を解説しますので、そちらも参考にしてみてください。

高山洋美(ISOコンサルタント)

大手電力会社の情報システム子会社に勤務。基幹系システムの開発・保守・運用において、SE、プロジェクトマネージャを歴任。その後、品質保証部門に在籍し、品質マネジメント規程やプロジェクトマネジメント規程を企画・運営。現役のISO審査員でもあるため、審査を実施する側の目線でもコンサルティングできることが強み。また、ISMS(情報セキュリティマネジメント)研修講師としても活躍中。

「ISMSは『情報システム担当に丸投げ』では決して機能しません。経営層や管理職がリスクの本質を正しく認識し、自ら手本を示す必要があります。組織の規律はトップの姿勢で決まるからこそ、経営層・管理職自らがISMSを理解することが、ISMSの有効性を左右する最優先事項なのです。

人為的なミスや不注意を防ぐため

情報漏えいやセキュリティインシデントの多くは、外部からのサイバー攻撃よりも、内部の人的ミスや不注意が原因で起こります。

実際の声について、IT企業以外の経営者約1,000人に実施したアンケート調査から紹介します。過去に情報漏えいが発生した経験があると回答した約1割の経営者に、その原因を尋ねたところ以下のような結果が得られました。

関連記事:【企業の情報セキュリティ投資】約10社に1社の割合で情報漏洩が起こり得る!?最も多い原因は「人為的ミス」(外部リンク)

「情報漏えいが起きた原因は何でしたか?」

  • 人為的ミス(35.9%)
  • 外部からの攻撃(31.1%)
  • 技術的な脆弱性(17.5%)
  • 物理的な盗難(6.8%)
  • クラウドサービスや外部データセンターのセキュリティの不備(6.8%)

このように、「人為的ミス」が最も多い原因であることがわかります。具体的には、フィッシングメールへのアクセス・メールの誤送信・書類の紛失・誤廃棄といったケースがよく見られます。

人為的ミスを完全に防ぐことは難しいものの、教育によって「やってはいけない行動」を継続的に意識させることで、日常的な注意力を高めることは可能です。

高山洋美(ISOコンサルタント)

大手電力会社の情報システム子会社に勤務。基幹系システムの開発・保守・運用において、SE、プロジェクトマネージャを歴任。その後、品質保証部門に在籍し、品質マネジメント規程やプロジェクトマネジメント規程を企画・運営。現役のISO審査員でもあるため、審査を実施する側の目線でもコンサルティングできることが強み。また、ISMS(情報セキュリティマネジメント)研修講師としても活躍中。

ミスを責める企業文化は隠蔽を生み出します。経営者自らが『ミスを即座に報告したことを称賛する』とういう姿勢を常日頃示すことが、最強の防御策になります。

ISMS教育の対象者・教育内容の具体例

ISMS教育は、特定の担当者だけを対象にするのではなく、ISMSの適用範囲に関わる組織全体を対象に実施する必要があります。
役職・職種によって求められる知識や責任の範囲が異なるため、対象者に合わせた内容で教育を設計することが重要です。

対象者

ISMS教育の対象者は、主に以下のように分類できます。

1.全従業員(一般社員)

日常的に情報資産へアクセスするすべての従業員が対象です。パソコンやスマートフォンを使って業務を行う営業職や事務職なども含まれます。人的ミスや不注意による情報漏えいのリスクを軽減するには、全社員への定期的な教育が最も重要です。

2.トップマネジメント

企業の経営陣からなるトップマネジメントは、会社全体の情報セキュリティの責任を担う立場であるため、情報セキュリティ全般をカバーする知識が求められます。

例えば、情報セキュリティ方針の周知徹底や提供している製品・サービスのセキュリティ面の仕様、実施している情報セキュリティ対策の状況の把握などが挙げられます。

3.情報セキュリティ責任者

情報セキュリティ責任者・技術担当者は、ISMSの構築・運用・改善に関する責任を担うことから、情報セキュリティに対する幅広い知識が求められます。また、最近の業界内のインシデント事例やサイバー攻撃の情報把握などの最新情報の把握も必要です。

4.情報セキュリティ担当者

ISMS全体の構築・運用・改善を担う情報セキュリティ担当者は、規格の要求事項や内部監査リスクアセスメントなどの専門的な内容を含む高度な教育が求められます。

5.新入社員・中途社員

新たに入社した社員には、入社時に必ずISMSに関するオリエンテーションを行う必要があります。組織ごとの情報管理ルールや禁止事項、事故発生時の対応フローなどを確実に理解させることが重要です。

6.内部監査員

内部監査員は、ISMSの有効性を定期的に確認し、改善につなげる重要な役割を担います。また客観的な視点で業務を評価できるよう、監査の心構えや公平性・独立性の確保についても理解することが求められます。

高山洋美(ISOコンサルタント)

大手電力会社の情報システム子会社に勤務。基幹系システムの開発・保守・運用において、SE、プロジェクトマネージャを歴任。その後、品質保証部門に在籍し、品質マネジメント規程やプロジェクトマネジメント規程を企画・運営。現役のISO審査員でもあるため、審査を実施する側の目線でもコンサルティングできることが強み。また、ISMS(情報セキュリティマネジメント)研修講師としても活躍中。

ISMSで最も気を付けないといけないことは、形骸化です。全員一律の教育は形骸化の第一歩。一般社員には実務の注意点を、経営層にはリスク判断の勘所を。役割に応じた『刺さるコンテンツ』の使い分けが重要です。

【役職別】教育内容の具体例

以下に、対象者ごとの教育内容の一例をまとめます。

対象者主な教育内容
全従業員
  • ISMSの基本的な考え方
  • 日常業務での情報セキュリティ注意点
  • フィッシングメールなどの事例紹介
  • 事故発生時の対応フロー
トップマネジメント
  • 情報セキュリティリスク管理全般
  • 自社製品・サービスのセキュリティ仕様
  • インシデント発生時の責任と対応指針
情報セキュリティ責任者・情報セキュリティ担当者
  • ISO27001の規格要求事項
  • リスクアセスメント手法
  • 是正処置・予防処置の記録・評価方法
  • 最新のサイバー攻撃、インシデント情報の傾向と対策
新入社員
  • 社内の情報資産とその取り扱い方法、注意点
  • 情報セキュリティに関するルールと違反事例
内部監査員
  • 内部監査の概要や目的、進め方
  • 監査チェックリストの作成・活用
  • 適合・不適合に関する判断基準
  • 改善提案と是正のフォローアップ方法
  • 監査報告書の作成方法

ISMS教育は、一度きりの実施ではなく、定期的に継続して行うことが必要です。
特に、法改正やルール・システム変更時、インシデント発生後などのタイミングで再教育を行いましょう。

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ISMS教育の具体的な実施手順

ここでは、ISMS教育を効果的に実施するための基本的な手順を7つの手順にわけて解説します。

1.従業員に求める力量を明確化する

まずは、業務ごとに求められる情報セキュリティ上の力量を定義しましょう。
例えば、システム部門の社員であれば「脆弱性対策に関する理解」、一般社員であれば「パスワード管理・メールの取扱いに関する基礎知識」など、それぞれの業務特性に応じたセキュリティスキルを明確化します。

2.教育訓練の対象者を決定する

次に、対象者を役職や職種ごとに分類し、それぞれに合った教育内容を設計します。

  • 一般従業員
  • 管理職
  • 情報セキュリティ担当者
  • 内部監査員
  • 新入社員・中途社員など

対象者を明確にすることで、「誰に」「何を」教育すべきかが明確になり、効率的かつ効果的な教育計画につながります。

3.教育方法・教材を選定する

ISMS教育は、対象者や内容によって適切な教育方法を選ぶことが大切です。主な方法としては以下のようなものがあります。

  • 講師によるセミナー・ワークショップ:専門講師による対面形式での研修。その場での質疑応答が可能。
  • eラーニング:場所を問わず受講でき、記録管理がしやすい。
  • 動画教材:視覚的で理解しやすく、繰り返し確認できる。
  • 実務を通じたOJT:情報セキュリティに関するルールを実践できる。
  • チェックシート・小テスト:理解度の確認に使用される。力量の証拠として保管できる。

その教材を通して教育訓練を実施することで、自社で設定した「必要な力量」を身につけられる必要があります。

4.教育訓練の計画を作成する

教育訓練の実施前に、「いつ」「誰が」「どのような教育訓練を実施するか」を明確にした教育訓練の計画を策定します。計画には以下のような要素を含むことが一般的です。

  • 実施日程
  • 対象者と実施形式
  • 教材・講師
  • 実施責任者
  • 評価方法

5.教育訓練を実施する

計画に従って教育訓練を実施します。実施前の計画に変更が発生した場合には、計画書も変更したうえで実施してください。

6.教育の有効性評価を実施する

ISMS教育を実施したら、「必要な力量を習得するために効果的な教育訓練になったか」という有効性を評価します。評価方法には、テストやアンケートなどが挙げられます。

受講者の知識や能力が向上せず、成果が見られない場合には、教育訓練の方法や内容に問題がある可能性があります。その場合には、ISMS教育を見直すことが求められます。

7.教育訓練の計画・実施の記録を管理する

ISO27001の要求事項では、「力量の証拠」として教育訓練の計画・実施記録などを保管・管理する必要があります。登録審査時に「実際に教育訓練をどのように実施したのか」を確認する証拠書類となります。

  • 教育訓練計画書
  • 教育訓練の実施記録
  • 教材
  • テスト結果
  • 有効性評価報告書

ISMS教育の実施頻度とタイミング

ISMS教育は最低でも年1回以上の実施が必要ですが、特定のタイミングでの追加実施も効果的です。

ISO27001の要求事項では実施頻度について「年1回」と明確には規定されていませんが、実務上は「年1回以上」の実施が一般的です。また、教育の実施状況や有効性が不十分と判断された場合は、認証審査で指摘を受ける可能性があります。

年1回の定期教育に加えて、以下のようなタイミングでは追加の教育を実施することで、組織の情報セキュリティ体制をより強固にできます。

タイミング主な教育内容の例
新入社員・中途社員の入社時ISMSの基本・情報管理ルール・禁止事項・インシデント対応フロー
人事異動時異動先の業務に関わる情報資産の取り扱いルール
社内ルールや情報システムの変更時変更内容と新たな注意事項の周知
インシデントやトラブルが発生した場合事案の概要・原因・再発防止策の共有
内部監査や外部審査で指摘を受けた場合指摘内容に応じた是正教育
業界内でサイバー攻撃や情報漏えい事例が報告された場合類似リスクへの注意喚起と対処法の確認
法改正・関連規制の改定時改正内容と自社への影響範囲の説明
高山洋美(ISOコンサルタント)

大手電力会社の情報システム子会社に勤務。基幹系システムの開発・保守・運用において、SE、プロジェクトマネージャを歴任。その後、品質保証部門に在籍し、品質マネジメント規程やプロジェクトマネジメント規程を企画・運営。現役のISO審査員でもあるため、審査を実施する側の目線でもコンサルティングできることが強み。また、ISMS(情報セキュリティマネジメント)研修講師としても活躍中。

テストの満点よりも、『怪しいメールを報告し件数』や『現場からの改善提案』を評価しましょう。行動変容の可視化こそが、教育の投資対効果の重要な指標です。
また注意したいのは、年1回の教育訓練で安心してしまうこと。チャットや朝礼での小さな注意喚起の積み重ねが、組織の『当たり前』のレベルを引き上げ、文化を創ります。
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ISMS審査で確認される教育のポイントは?

ISO27001の審査では、「教育を実施したかどうか」だけでなく、「効果があったか」「継続的な改善につながっているか」が確認されます。
審査員は、教育の実施事実だけでなく、そのプロセス全体(計画→実施→効果測定→改善)を一連の流れとして評価します。形式的な実施記録があっても、有効性の評価や改善の痕跡がなければ、指摘を受ける可能性があります。

ISMS審査で確認される主なポイントについて、以下にまとめました。

教育計画の有無と実施履歴の整合性

「いつ・誰に・どんな内容を・どの方法で実施したか」が計画と記録に一致していることが確認されます。計画書と実施記録の整合性を保っておくことが重要です。

効果測定の実施と記録

教育後の理解度テストや有効性評価を実施し、その結果が記録されているかが確認されます。「実施した」という事実だけでなく、「どの程度効果があったか」が問われます。

評価結果に基づく改善の実施

テスト結果やアンケート内容をもとに、教育内容や方法を見直した形跡があるかも確認されます。

記録の保管状況

教材・テスト結果・出席記録・有効性評価報告書などが適切に保管されているかが確認されます。記録の様式に決まりはありませんが、必要な情報が一目でわかるよう整理されていることが求められます。

審査で「不適合」とならないためには、「PDCAが回っていることを記録で証明できる状態」を日常から維持しておくことが最大のポイントです。

ISMS教育とPマーク教育との違い

ISMS教育とよく比較されるのが、プライバシーマーク(Pマーク)制度における「Pマーク教育」です。どちらも情報の取り扱いに関する従業員教育を求めていますが、その目的や実施義務、教育内容は大きく異なります。

ここでは、Pマークの概要やPマーク教育とISMS教育の違いについて解説します。

Pマークとは?

Pマークとは、個人情報の保護・管理体制が適切に整備されていることを認証する国内規格です。正式には「プライバシーマーク制度」といいます。

JIS Q 15001(個人情報保護マネジメントシステム)に適合した個人情報保護マネジメントシステムを構築・運用し、審査を受けることで認証されます。認証されると、Pマークの使用が認められるようになります。

Pマークの詳細については、以下の記事をご覧ください。

関連記事:Pマークとは?取得の流れ・費用・メリットをわかりやすく解説

Pマーク教育は「必須」で実施するもの

Pマーク認証を取得・維持するためには、全従業員に対して定期的な個人情報保護教育を実施することが「義務」として定められています。JIS Q 15001の要求事項にて求められており、教育訓練を実施していないと、認証取得できない可能性があります。

以下に、ISMS教育とPマーク教育の主な違いをまとめました。

ISMS教育Pマーク教育
主な対象情報資産全般個人情報
教育の義務力量不足があれば教育が必要教育実施が義務化されている
実施頻度年1回以上が望ましいが、組織判断による定期的な実施が必須(一般的に年1回以上)
対象者の範囲組織のISMS適用範囲に関わる従業員全従業員(パート・アルバイト、派遣社員などを含む)
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【実態調査】ISMS教育を行う効果は?

ISMS教育を行うことで、「自社で行っている情報セキュリティ管理の共通認識の促進」「情報セキュリティに関する意識・理解の向上」につながり、結果的に全社的な情報セキュリティ強化につながります。

しかし、実際にISMS教育を行った企業は、そうした効果を実感できているのでしょうか?

ここでは、業務でPC・ITシステムを扱う会社員約1,000人を対象に「企業における情報セキュリティ教育の浸透度と従業員の意識」に関して行ったアンケート調査から、ISMS教育を行う効果について紹介します。

ISMS教育の内容は理解できている?

ISMS教育を受けたことがある人を対象に「勤務先で実施された情報セキュリティ教育の内容について、どの程度理解しているか」という質問をしたところ、以下のような結果が得られました。

関連記事:入社時の「情報セキュリティ教育」、約6割が“なんとなく理解”の衝撃。2割がセキュリティミスを“自己解決”する隠れた組織リスク(外部リンク)
  • 内容を具体的に理解している:30.4%
  • 内容をなんとなく理解している:58.7%
  • 内容をあまり理解していない:9.6%
  • 内容をまったく理解していない:1.3%

約9割がISMS教育の内容をある程度理解できたことがわかりました。一方で、「なんとなく理解」にとどまる層が約6割を占めており、理解の深さには個人差があることも浮き彫りになりました。

ISMS教育が日々の業務に役立っている?

「日々の業務の中で『気をつけよう』と意識するきっかけとして、勤務先の情報セキュリティ教育はどれくらい役に立っているか」と尋ねたところ、以下のような回答が得られました。

関連記事:入社時の「情報セキュリティ教育」、約6割が“なんとなく理解”の衝撃。2割がセキュリティミスを“自己解決”する隠れた組織リスク(外部リンク)
  • とても役に立っている:29.1%
  • ある程度役に立っている:62.1%
  • あまり役に立っていない:8.0%
  • まったく役に立っていない:0.8%

この結果から、情報セキュリティ教育が従業員の日常業務における危機意識の向上や注意喚起に確実に貢献していることがわかります。

まとめ

この記事では、ISMS教育の概要や具体的な実施方法、教育内容や効果測定の方法を解説しました。

ISMS教育は、ISMSを効果的に運用するために欠かせない要素の一つです。優れたシステムを導入しても、それを運用する人材が必要な知識・能力を備えていなければ、期待したような成果は得られないでしょう。

そのため、適切な教育訓練を実施し、従業員に必要な力量を習得させることが大切です。本記事で紹介した手順やポイントを意識して、効果的なISMS教育を実施しましょう。

高山洋美(ISOコンサルタント)

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