ISOマネジメントシステムに有効なマネージング手法 第8講座~問題発生のメカニズム(2)~

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ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年04月04日

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問題発生の真の原因究明

問題発生の真の原因究明は、安全分析表によって行います。

まず、結果の災害発生までに起きた事実を全て時系列で箇条書きに列記し、結果と事故を簡潔に記述して、次にこの事故を引き起こした直接の原因は何かを、不安全行動と不安全状態について事実の列記の中で検討し、見つけ出します。そこに問題発生のメカニズムの中心点があるからです。

この事故での不安全行動は「佐々木君は点検中の表札を下げなかった行動。」でした。また不安全状態は「ベルトコンベアの点検整備不良の状態。」と「ゴミが床に散らかっていた状態。」でした。

問題発生メカニズムの原因と結果

では、これらの不安全行動と不安全状態は何によって引き起こされたのでしょうか。そこには、これらの行動と状態の要因となった事実があるはずです。これが間接原因です。間接原因と思われる事実を、列記した事実の中から拾い出します。それはひとつとは限りません。

「チーフは田中君に集めたゴミの山をゴミ集めの途中で片付けさせた。」「同僚に呼ばれて佐々木君は持ち場を離れていた。」「チーフは先送りさせていた点検を佐々木君に急いでさせた。」「チーフは巡回の社長を迎えに職場を離れた。」

これを整理すると、

直接原因 不安全行動は「佐々木君は点検中の表札を下げなかった行動。」
不安全状態は「ベルトコンベアの点検整備不良の状態。」
「ゴミが床に散らかっていた状態。」
間接原因 「チーフはベルトコンベアの点検整備を先送りさせていた。」
「チーフは田中君に集めたゴミの山をゴミ集めの途中で片付けさせた。」
「同僚に呼ばれて佐々木君は持ち場を離れていた。」
「チーフは先送りさせていた点検を佐々木君に急いでさせた。」
「チーフは巡回の社長を迎えに職場を離れた。」

こうして見ると、スイッチを入れた田中君も、点検中の表札を下げずにいた佐々木君も、この事故の主たる原因ではなく、小さな異常音が全ての事実を事故に結びつけた真の原因であったことが分かります。小さな異常音に対して早く点検整備がなされていれば、佐々木君がこの日に急いで点検に入ることはなく、田中君もスイッチを入れることにならなかったからです。

したがって、この事故は小さな異常音を承知していながら、すぐに点検整備をさせなかった鈴木チーフ自らに、原因があったと言えます。しかし、鈴木チーフを犯人にして終わりではありません。すぐに点検整備をさせなかった理由は、出荷が忙しい時期だったからですが、このような小さな異常の兆候に対する対処の仕方がルール化されていなかったシステムに原因があります。真の原因はシステムの不備でした。

問題発生のメカニズムは、災害という結果⇔直接原因⇔間接原因⇔真の原因、という因果関係の構造を持っているということです。

作業の現場では、小さな不良が大きな事故を引き起こすことがあります。小さな不良も早急に処置をする、そんな予防のルールを整えておくことは、組織のリーダーの責務です。すぐに点検整備をさせなかった鈴木チーフだけでなく、そうしたルールを整えていなかった社長にも責任があると言えるのです。

したがってこの事故の是正処置は、鈴木チーフへの注意叱責ではなく、小さな不良の兆候に対する処置の仕方のルール化です。

災害という結果をもたらした事故の発生には、直接原因として不安全行動と不安全状態があること、その行動と状態を引き起こした原因が間接原因であること、この間接原因のさらに奥に真の原因が隠されている構造、安全分析はこんな事故発生のメカニズムを教えてくれます。真の原因を知ることで、事故からその事故に関わった人を引き離し、事故の背景にある真実の姿を見ることができます。こうした視点を持つことを「人離れ」と言います。

問題の発生にも同じようなメカニズムがあります。例えば、クレームがついたという結果があった時、そこに至るまでの経過の事実を列記して、その中から直接原因、間接原因を探し出し、問題の本当の姿を見つけ出すということです。これがKYTの考え方から学べる、問題発見の方法です。まず事実を5W1Hで列記すること、ここから始めるということです。

事実の列記は箇条書きでもいいのですが、ラベルを使うとさらにやり易いのでおすすめです。ラベル1枚に一つの事実を5W1Hで記述します。全ての事実を書き込み終わったら、結果のラベル、事故のラベル、直接原因のラベル、間接原因のラベル、とラベルを分類し、それぞれを事象のグループとしてくくり、くくったグループ同士の因果関係を矢線でつなぐと、メカニズム全体を見ることができます。

こうして因果関係の図を作ると、因果関係のポイントが自ずと見えてきて、そのポイントが全ての登場人物の行動、及びその場の全ての状態とが交差している、交差していないという関係性が見えてきます。

問題発生の構造を知り、問題解決の道筋を見出す方法をKYTの考え方の中に見てみました。

ISO9001:2015規格10.2 不適合及び是正処置10.2.1 には「不適合が発生した場合,その不適合の原因を除去するため1) その不適合をレビューし,分析する。2) その不適合の原因を明確にする。」とあります。間接原因のその奥に真の原因を見極めるKYTの考え方は、「人離れ」した是正処置を導いてくれます。

この記事の著者
清水正敏(ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員)
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。

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