飲食業を開業する際の必要条件とPマーク認定までの流れ
プライバシーマークとは、個人情報の保護について定められた要件を満たした事業者に対し、一般財団法人「日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)」により使用を認められる登録商標を指し、Pマークと略して呼ばれることもあります。
平成27年12月3日現在のマーク付与事業者数は14,403社で、このうち卸・小売・飲食は835社です。プライバシーマークは主に個人情報を取り扱う事業者にとって消費者や取引先に大きくアピールできるものとなりますが、飲食店も例外ではありません。
ここでは、飲食店を開業する際の必要条件と、飲食店がプライバシーマークの認定を受けられるまでの流れを簡単にご説明します。
飲食店にもPマークは必要か?
個人情報の保護といわれても、一見飲食業には関係ないことと思われがちですが、自店独自のポイントカードなどを発行している場合、来店客に住所や氏名を書かせるというケースもありますし、従業員やアルバイトを雇用している場合は、その雇用情報も個人情報にあたります。ですので、飲食店にとっても無縁なことではありません。これらで収集された個人情報を保護するために指針として定めたものがPマークです。
飲食店を開業する際の必要条件
飲食店を開業するためには、必要とする資格と届け出があります。
まず飲食店の開業には「食品衛生責任者」の資格を必要とします。これは一店舗につき必ず最低1名は在籍していなければならず、食品衛生責任者の資格がないと、必要とする届け出も保健所に提出することができません。調理師免許を所持していれば食品衛生責任者の資格は免除されますが、調理師免許所持者がいなくても店舗を開業することはできます。
次に手続きですが、自分がこれから始ようと考えている店舗のある地域の保健所に「営業許可の申請書」1通と「営業許可の大要、配置図」2通を食品衛生責任者資格証明書とともに提出し、申請します。申請後、保健所担当者の検査を受けることになりますが、保健所の基準に合った設備が作られているかというのも検査ポイントとなるため、営業許可の申請は内装工事やキッチンの工事を始める前に行わなくてはなりません。また、消防署に「防火管理者」も届け出る必要があります。保健所担当者や消防署による検査の結果、認められれば、晴れて店舗をオープンすることが可能になります。
プライバシーマーク取得の流れ
Pマークを取得するためには、審査を申請する前には下記の作業を最低限必要とします。
- 社内で取り扱っている個人情報の洗い出し
- 洗い出した個人情報についてのリスク分析
- リスク対策を反映した社内規程の作成
- 社内教育の実施
- システムを一定期間運用した後、内部監査
- 代表者によるシステムの見直し
上記をクリアすることで申請に進むことができますが、
- 審査機関に審査を申請
- 審査機関による文書審査と現地審査が実施され、不備があれば修正が指摘される
- 指摘を受けた不備について改善報告書を提出
- 指摘事項が改善されていれば認証完了
不備がない場合は「7.」から「10.」へ進むことができます。
以上が取得までの大まかな流れとなりますが、プライバシーマークについての知識がない事業者にとっては、申請に至るまでに数か月から数年を要するケースも珍しくありません。
しかし、最近ではPマークの必要性が増加しているので、その取得のサポートを行うコンサルタントや専門会社なども登場し、取得までのハードルは低くなりつつあります。
自治体から補助金を受けられることがある
プライバシーマークの申請費用は、事業者の規模に応じて約30万~120万ほどの金額を必要とします。特に中小企業の場合は簡単に出せる金額でないところも多いことかと思います。そのような事業者に向けて、プライバシーマークを取得するための補助金制度がある自治体もあります。補助金の対象となるのは申請料だけでなく審査料やコンサルタント料などの費用も助成されます。東京都港区を例にとると、50万円を上限として総費用の2分1の助成を受けることができます。
店舗やホームページを開設し集客を始める際には、プライバシーマークの取得も検討してみてはいかがでしょうか?
取得だけでなく維持することが必要
プライバシーマークが無事に付与されても、その効力は永久に続くものではなく定期的に更新しなければなりません。更新審査の結果不適当と判断された場合、プライバシーマーク付与の取り消しとなってしまいます。プライバシーマーク取得のためには、様々なセキュリティ機器など、設備投資が必要であると誤解されているふしがありますが、実際のところはウィルス対策ソフトの導入くらいで、あとは工夫次第で何とかできるケースも多く、高額な設備投資は必要ありません。しかし、プライバシーマークを維持していくためには、セキュリティソフト類も常に最新の状態としていかなければならないため、長期的に一定の投資は必要となってきます。
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