サービス業を経営する事においてのPマークの必要性
プライバシーマークとは、第三者機関が個人情報を管理できているか証明し、要件を満たした事業者に与えられる登録商標を指し、取引先や顧客への信用の拡大など社外的なもののほか、社員の意識向上などの効果を期待することができます。
目次
プライバシーマーク(Pマーク)とは
プライバシーマークとは、個人情報保護について一定の要件を満たした事業者に対し、一般財団法人「日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)」により使用を認められる登録商標のことで、Pマークと略して呼ばれることもあります。
申請を行った結果認定されれば、このマークを自社のパンフレットやウェブサイト、社員の名刺などに表示し公の場で使用することができ、個人情報について安全な取り扱いを社会に対してアピールすることができます。
また、官公庁や自治体などの入札参加条件に、プライバシーマークの認定を条件に定めているところも増えています。
具体的にプライバシーマーク取得のメリットを挙げると
取引先への信用の拡大
企業間で取引を行う際、プライバシーマーク取得企業であることをアピールすることで自社の信用が拡大します。個人情報保護法では業務の委託先は監督責任を問われますので、業務を受託するにあたり個人情報保護の管理体制の確立が求められるのです。プライバシーマークを取得しておけば、取引先に対しても個人情報保護の管理体制が適切であることを簡単に示すことができます。
顧客への信用の拡大
個人情報保護法の施行後、個人情報の管理に対する利用者の関心や警戒は高まる一方です。サービス業の経営においてはこの動向を決して無視することはできず、いかに適切に個人情報が管理できているのかというのは、利用者の企業の選択条件の一つになりつつあることは間違いありません。プライバシーマークを取得することは、個人情報の保護体制が確立されていることを利用者にアピールできる指針となります。
社員意識の向上
昨今はことあるごとに個人情報の流出が世間を賑わせていますが、その原因のひとつに、社員や従業員のケアレスミスがあります。一人の社員の不注意によって、会社の存続に関わる大事件に発展することもあります。
個人情報保護法では、社員や従業員に対する監督義務も盛り込まれており、プライバシーマークの取得に当たっては、社員や従業員も個人情報保護を遵守すべく一体となり、個人情報に対する社員の意識をより向上させることができます。
プライバシーマークを取得している企業
プライバシーマーク付与事業者数は、平成27年12月3日現在、14,403社です。
このうちサービス業が10,805社と圧倒的に多く、経営における個人情報保護の意識の高さをうかがうことができます。
サービス業の内訳をみると、情報サービス・調査業が5,891社、その他の事業サービス業2,787社と続いていますが、個人情報は消費者だけに限らず、従業員やアルバイトなどの個人情報、名刺や各種名簿、顧客の求めに応じて個人情報を取り扱う場合もあり、多種多様な企業がPマークを取得しその必要性を認識しています。
サービス業以外では製造業が1,398社、卸・小売・飲食が835社、運輸・通信が653社となっていますが、サービス業は圧倒的な取得件数となっており、質の高いサービスを提供するためにプライバシーマークは欠かせないものとなりつつあります。
取得するために必要なこと
とはいうもののプライバシーマークの取得は簡単なものではなく、コンプライアンス教育資料や運用マニュアルに従って、社員全員に方針を周知し徹底させなければなりません。特に中小企業ではその労力の創出も容易でないことが多いため、専門の会社やコンサルタントと組んで、取得を目指す企業も多くなっています。
具体的には、データベースの管理方法などはもちろんのこと、会社への出入りの入退室管理や個人情報を入力・閲覧するために使うパソコンの配置にも注意が必要になります。そのほか、机の引き出しに鍵をかけたり、パソコンのウイルス対策やパスワードを用いたロック機能の強化、ストレージの管理など、細かい点についても厳格にチェックされることになります。
また、申請を思い立ってもすぐに取得できるものではなく、事前の準備や教育期間を経てからいくつかの審査を受け、合格して取得を認定されるまで、最低でも1年くらいは必要となります。
コストについても会社の規模によって異なりますが、中規模の事業者が申請するのに必要となるのがおおよそ60万円。これは申請にかかる費用のみで、コンサルタントによる支援を受ける場合は、コンサル料も別途必要となってきます。
プライバシーマークの必要性
個人情報保護法は消費者を相手にする場合遵守しなければならない法律ですが、Pマークは絶対に必要というものではありません。ただ取得するためには企業全体で情報管理の仕組みや管理体制を見直す作業が発生するので、個人情報に携わる人の意識も必然的に変わってきます。インターネットの普及によりサービス業も多様化の一途を辿り、個人情報やプライバシー情報に対する意識も高まってきています。これらの管理責任を表す指標として、今後Pマークを取得する必要性はますます高まっていくことになるでしょう。
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