中小企業が事業活動を継続し、発展させていくためには、優秀な人材の確保や設備投資、商品・サービスの開発などさまざまな取り組みを実施していく必要があります。
そうした取り組みにおける負担を低減するために、国や地方自治体では助成金・補助金制度を提供しており、2025年4月からは複数の助成金制度が拡充される見込みです。
そこでこの記事では、中小企業が活用できる助成金・補助金をご紹介します。
【令和7年度】中小企業の賃上げ支援が強化へ
生産性向上(設備・人への投資)や、正規・非正規の格差是正、より高い処遇への労働移動などによる労働市場全体の賃上げを支援する目的で、令和7年度当初予算案において、「賃上げ支援助成金パッケージ」が発表されました。
以下の「賃上げ支援助成金パッケージ」に該当する助成金において、助成金額の増額や支援対象の拡大などの拡充が行われる見込みです。
- 業務改善助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
- キャリアアップ助成金(正社員化コース・賃金規定等改定コース)
- 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース、中途採用拡大コース)
- 特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)
- 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)
2025年3月2日現在、各助成金における拡充について詳細は判明していません。しかし、これらの助成金の多くは中小企業向けの助成金であることから、より中小企業が活用しやすくなることが考えられます。


中小企業の定義とは
まずは、自社が中小企業や小規模事業者に当てはまるのかを確認してから、助成金・補助金を選定することが必要です。
中小企業とは、「中小企業基本法」によると、業種ごとの資本金額と従業員数によって以下のように定められています。
業種 | 資本金額または出資総額 | 常時使用する従業員数 |
---|---|---|
製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
また小規模事業者向けの助成金・補助金もあるため、小規模事業者の定義も掲載しておきます。
業種 | 従業員数 |
---|---|
製造業その他 | 20人以下 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
ただし、助成金・補助金によって受給条件は異なってくるため、必ず各助成金・補助金のホームページをご覧いただき、すべての受給条件を満たしているかどうかチェックしてください。
自社が受給条件を満たしているのかどうか不安な場合には、一度コンサルティング会社に相談することがおすすめです。自社に適した助成金・補助金を見極め、受給条件を満たすうえでのアドバイスや申請におけるまで、幅広いサポートが期待できます。
コンサルティング会社など相談先に関し、下記で詳しく解説していますのでご確認ください。
関連記事:助成金・補助金の申請代行とは?費用やメリット、選び方をまとめて解説!
関連記事:助成金・補助金は誰に相談すべき?探し方と事前に準備したい内容を解説
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説中小企業の「人材雇用」におすすめの助成金・補助金
それでは、まず中小企業における「人材雇用」を目的とした取り組みの負担低減におすすめの助成金・補助金を紹介します。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、「パート・アルバイトなどの非正規雇用労働者のキャリアアップに向けた取り組みを実施した場合に助成される制度」のことです。
取り組み内容により、以下の6つのコースが設定されています。
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 社会保険適用時処遇改善コース
キャリアアップ助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2025最新】キャリアアップ助成金とは?助成額や申請の流れを解説
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは、「企業がハローワークなどの職業紹介事業者を経由して、就職困難な求職者を3か月間お試しで雇用する制度」です。
トライアル雇用を実施することで、求職者への就職機会を提供することと、企業と求職者双方のミスマッチを防ぐという目的があります。
対象となる求職者によって、以下の3つのコースが設定されています。
- 一般トライアルコース
- 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
- 若年・助成建設労働者トライアルコース
トライアル雇用助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023最新】トライアル雇用助成金とは?各コースを徹底解説
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金とは、「人材不足解消を目的として、労働環境の向上などを計った事業主を助成する制度」です。
労働環境の改善において、以下の7つのコースが設定されています。
- 雇用管理制度助成・雇用環境整備助成コース
- 中小企業団体助成コース
- 建設キャリアアップシステム等普及促進コース
- 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
- 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
- 外国人労働者就労環境整備助成コース
- テレワークコース
また「賃上げ支援助成金パッケージ」に含まれており、令和7年度には以下の拡充が予定されています。
- 雇用管理制度助成コース
令和7年度より受付が再開されるとともに、「人事評価改善等助成コース」と統合され、作業負担を軽減する機器導入への支援や対象労働者の賃金を5%以上増加させた場合の加算を導入予定
人材確保等支援助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024最新】人材確保等支援助成金とは?各コースを徹底解説
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、「雇用する労働者のスキルアップやノウハウ習得のために訓練を実施した企業を助成する制度」です。
対象となる範囲や訓練の内容によって、以下の7つのコースが設定されています。
また「賃上げ支援助成金パッケージ」に含まれており、令和7年度には以下の拡充が予定されています。
- 人材育成支援コース:OFF-JTにおける経費助成・賃金助成の助成額の引き上げ
- 人への投資促進コース:OFF-JTにおける賃金助成の助成額の引き上げ
- 事業展開等リスキリング支援コース:OFF-JTにおける賃金助成の助成額の引き上げ
人材開発支援助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024最新】人材開発支援助成金とは?わかりやすく各コースを解説
両立支援等助成金
両立支援等助成金とは、「従業員の仕事と家庭(育児・介護)の両立支援に取り組む企業を助成する制度」です。
対象となる事業主や取り組み内容によって、以下の6つのコースが設定されています。
- 出生時両立支援コース
- 介護離職防止支援コース
- 育児休業等支援コース
- 育休中等業務代替支援コース
- 柔軟な働き方選択制度等支援コース
- 不妊治療両立支援コース
両立支援等助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024年最新】両立支援等助成金とは?各コースを徹底解説


中小企業の「設備投資・商品開発」におすすめの助成金・補助金
中小企業における「設備投資・商品開発」を目的とした取り組みの負担低減におすすめの助成金・補助金を紹介します。
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金とは、「生産性向上と労働時間の縮減などの両方に取り組む中小企業・小規模事業者などを助成する制度」です。
労務管理用ソフトウェアや労働能率の増進のための設備・機器の導入・更新などに活用できます。
取り組み内容や対象となる事業主によって、以下の4つのコースが設定されています。
- 業種別課題対応コース
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 団体推進コース
また「賃上げ支援助成金パッケージ」に含まれており、令和7年度には以下の拡充が予定されています。
- 対象労働者の現行の賃金額を3%、5%増加させた場合の加算に加え、7%の場合の助成強化
- 恒常的な長時間労働が認められる企業における設備投資について、一部助成対象の要件を緩和
働き方改革推進支援助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023年最新】働き方改革推進支援助成金とは?各コースを徹底解説
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応する取り組みを支援する制度」です。
ポストコロナに対応した事業再構築やグリーン成長戦略、最低賃金引き上げの影響を大きく受ける中小企業向けに、以下の3つのコースが用意されています。
- 成長分野進出枠(通常類型)
- 成長分野進出枠(GX進出類型)
- コロナ回復加速化枠
事業再構築補助金の詳細は、以下のホームページをご覧ください。
参考:中小機構「事業再構築補助金」
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、「サービス開発や試作品の開発、生産プロセスの改善のための設備投資を支援する補助金」です。
実施した取り組みにより、以下の4つのタイプが設定されています。
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
- 特例措置:大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例
- 特例措置:最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例
ものづくり補助金の詳細は、以下のホームページをご覧ください。
参考:ものづくり補助事業公式ホームページ「ものづくり補助金総合サイト」
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、「働き方改革やインボイス制度の導入などの制度変更に対応するために、販路開拓などの取り組みを実施した企業を助成する制度」です。
実施した取り組みにより、以下の5つのタイプが設定されています。
- 通常枠
- 賃金引上げ枠
- 卒業枠
- 後継者支援枠
- 創業枠
小規模事業者持続化補助金の詳細は、以下のホームページをご覧ください。
参考:商工会議所地区小規模事業者持続化補助金「小規模事業者持続化補助金」
IT導入補助金
IT導入補助金とは、「自社の課題やニーズに適したITツールの導入を助成する制度」です。ITツールとは、パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入・初期費用などのことを指します。
導入するITツールの種類により、以下の5つのタイプが設けられています。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
- 複数社連携IT導入枠
IT導入補助金の詳細は、以下のホームページをご覧ください。
外部リンク:IT導入補助金2025「IT導入補助金」
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金とは、「IoTやロボットなどの人材不足解消に効果がある汎用製品を導入する中小企業を補助する制度」です。
省力化投資の促進だけでなく、賃上げ要件を満たすことで、補助上限額が引き上げられます。
中小企業省力化投資補助金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:中小企業省力化投資補助金
【地域別】中小企業向けの助成金
助成金は、地方自治体が独自で制定しているものもあります。ここでは、主な地方自治体の助成金に関するホームページについて紹介します。こちらで紹介しているもの以外もありますので、一例としてご覧ください。
- 北海道:北海道中小企業総合支援センター
- 東京都:東京都中小企業振興公社
- 神奈川県:神奈川県公式ホームページ
- 大阪府:大阪市公式ホームページ
- 沖縄:沖縄県公式ホームページ
どの助成金・補助金においても、基本的には申請受付期間が限られているため、定期的に各種ホームページを確認し、最新情報をチェックすることがおすすめです。


まとめ
国や地方自治体には、中小企業を支援するための助成金・補助金の制度が多く用意されています。受給条件を満たすことで、負担を低減しながら、自社の成長につなげられるでしょう。
しかし、多種多様な制度があるがゆえに、自社に適した助成金・補助金を見つけることが難しいという企業もあるでしょう。その場合には、プロである助成金のコンサルティング業者に相談することがおすすめです。
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関連記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!
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