資金調達の手段として、助成金や補助金の申請を検討されている企業の方は多いのではないでしょうか。しかしその中には、制度の違いがわからず、申請すること自体を難しく感じてしまうケースも少なくないでしょう。申請を行うためには、まず各制度の基本的な情報を理解し、自社にとって適切な制度を選択することが必要です。

そこで、この記事では助成金と補助金の違いや、給付金などのその他の制度との違いについても解説します。

助成金と補助金の違い

まず、助成金や補助金の概要や、助成金と補助金の違いについて解説します。

助成金とは

助成金とは、「厚生労働省が主導している返済不要な支援金で、国の政策を実現するために取り組みをしている事業主に対する支援制度」です。基本的に、助成金は要件を満たしていれば受給できるようになっています。

助成金の詳細については以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:「助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!」

補助金とは

補助金とは、「経済産業省が主導している返済不要な支援金で、事業における研究開発費などを補助するための支援制度」です。要件を満たしていれば受給できるというものではなく、書類審査や面接などにより落選する可能性があります。

助成金と補助金の違い

助成金と補助金の違いは、目的・受給条件・申請期間にあります。以下に違いをまとめましたのでご覧ください。

助成金 補助金
主体 厚生労働省 経済産業省
目的 雇用・労働環境の改善など 補助金ごとに異なるが、経済・地域の活性化など
受給条件 要件を満たし、法律遵守していれば基本的に受給可能 要件を満たしていても、審査で落選する可能性がある
申請期間 随時、または長期間 数週間から1ヶ月程度

助成金と補助金の受給難易度は?

受給難易度は、助成金の方が低くなっています。要件に当てはまっていれば受給できるためです。

一方、補助金は予算が決められているため、採択件数や金額が事前に設定されています。そのため、審査によって補助金を付与することの妥当性や、必要性といった部分を確認していくのです。

このように、助成金と補助金は似ているものの異なる制度です。申請を検討している場合には、両者の違いを理解しておきましょう。

助成金・補助金の申請の流れ

助成金と補助金では申請から受給までの流れが一部異なります。実際に申請する際の参考にしてください。

助成金の申請の流れ

助成金は、要件を満たしていれば基本的に受給できるため、受給までの工程が1つ少なくなっています。

1.実施計画の申請
助成金の受給要件をもとに、事業における実施計画を作成し、指定された場所へ提出しましょう。

2.実施
実施計画を実行します。

3.支給申請
実施計画を実行したのち、助成金のルールを確認して支給申請を行います。

4.支給
支給要件を満たしていることが確認されると助成金が支給されます。受給決定後、どのくらいの期間を経て支給されるのか確認しておくとよいでしょう。

補助金の申請の流れ

補助金は、個々によって申請方法が大きく異なる可能性があるため、しっかりと募集要項を確認してください。ここでは、基本的な申請の流れについてご紹介しています。

1.実施計画の申請
補助金の受給要件をもとに、事業における実施計画を作成し、指定された場所へ提出しましょう。補助金は、申請期間が数週間から1ヶ月程度と短いため、余裕をもって準備することがおすすめです。

2.審査・採択決定
書類審査だけでなく、面談を行う補助金もあるため、審査には1~2ヶ月程度かかります。

3.交付決定
採択決定後、交付決定することではじめて契約となります。

4.実施
実施計画を実行します。

5.完了審査
計画が完了したことを報告し、審査が行われます。ただし、報告の書類に不備があった場合などには減額される可能性もあるため注意してください。

6.支給
請求書を提出後、補助金が支給されます。補助金は事業が終わったあとに支給される場合も多いため、スケジュールについては事前に確認しておきましょう。

助成金・補助金どちらを申請する場合でも、申請前にしっかりと準備しておくことで、申請をスムーズに進めることが可能です。スケジュールを立てて、余裕をもって取り組みましょう。

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助成金・補助金を申請するうえでの注意点

助成金や補助金を申請するうえでの注意点について解説します。どちらにも共通することとしては、申請から入金されるまでに時間がかかることです。そのため、助成金や補助金をあてにして資金繰りを計画することは避けてください。

助成金を申請するうえでの注意点

助成金は、要件を満たしていることで基本的に受給できますが、労働関係法令の違反があると受給対象外となることに注意が必要です。
また、受給難易度が低いことから、人気の助成金は発表後に受付が終了する場合があります。常に最新情報を収集しておくことで、早めの申請が可能になるでしょう。

補助金を申請するうえでの注意点

補助金で最も注意すべき点としては、公募期間の短さや公募の回数の少なさが挙げられます。年数回、申請期間は数週間~1ヶ月程度であることが多いため、スケジュール管理をしておかないと申請すらできないという可能性もあるでしょう。
また、補助金を申請する企業は多いため、競争が激しいことも覚えておいてください。受給できない可能性が高い補助金も多く存在しています。

これらの注意点を確認したうえで、申請の準備をはじめてください。準備に時間や手間がかかっても、受給できれば経営活動の大きな支援となるでしょう。そのため、どの助成金や補助金に申請し、どのように事業をアピールするのかという点を検討していくことが重要になるのです。

給付金・交付金などの制度との違い

ここでは、助成金・補助金と混同しやすいその他の制度を表した言葉について解説します。

給付金・支援金

給付金・支援金とは、コロナウイルスの流行や大規模な災害などの緊急事態が発生した場合に国や地方自治体から給付される支援制度のことです。災害時には、義援金と呼ばれる場合もあります。

交付金

交付金とは、基本的には国から地方自治体に支給される資金のことを指します。
民間企業が直接受給できる資金というよりも、地方自治体が交付金によって事業やプロジェクトを立ち上げ、民間企業と協力するうえで、資金の交付がされることが多いです。

奨励金

奨励金とは、特定の事業を保護・奨励するために国や団体が交付する資金のことです。
そのため、一般的に補助金、助成金、給付金などの制度とほぼ意味は変わらずに用いられます。

負担金

負担金とは、国や地方自治体が特別の利益を受ける法令上の特定の事業に対して、義務的に一定の金額を負担する給付金のことです。

これらの制度について深く理解する必要はありませんが、それぞれの制度の概要を知っておくと、混乱せずにそれぞれの制度を利用できるかもしれません。

まとめ

助成金・補助金はどちらも基本的に返還する必要なく資金調達できる制度ですが、異なる制度です。
それぞれの制度は異なる点が多くあるため、違いを理解することは欠かせません。

難しく感じる方もいるかもしれませんが、どちらも資金調達の手段としてメリットがある制度です。一つ一つ理解を深めながら、申請を検討してみてはいかがでしょうか。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。