国際協力や難民支援、地域活動のサポートや動物愛護など、さまざまなNPO団体が世界各地で活躍しています。日本にもNPO団体はありますが、自分の望むサービスを行うところがなくて、仲間を集めてNPO法人を作ろうと考える人もいます。しかしいざNPO法人を設立するとなると、具体的な届け出や資金調達方法、助成金の種類がわからないという人は多いです。

この記事ではNPO法人とはどんな団体なのかといったことから、申請方法・資金調達・助成金についてなどNPO法人に関するイロハについてお話していきます。

そもそもNPO法人とは?

NPO法人のNPOは「非営利活動(Non-Profit Organization)法人」といいます。NPO法人は「特定非営利活動促進法」の規約を基準に保人格を取得した団体のことで、正式名称を「特定非営利活動(NPO)法人」といいます。

事業活動で得た収益は社会貢献活動にあてられるため、所属している人に収益を分配することはありません。発展途上国や過疎地域・震災地域など、行政サービスや民間企業がサポートできないような地域での活動や、動物愛護や難病などをサポートする団体が多いです。

NPO法人を設立するには?

NPO法人を設立する流れは次のようになります。

申請(3ヵ月以内/公告・縦覧1ヵ月間)→認証(2週間以内)→登記

NPO法人を設立するためには、まず国が法律で定めている書類と申請書を所轄庁に提出します。提出する書類は次の10種類です。

1.定款
2.役員名簿(役員の氏名および住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
3.役員の就任承諾書および誓約書の謄本
4.役員の住所又は居所を証する書面
5.社員のうち 10 人以上の氏名および住所又は居所を示した書面
6.認証要件に適合することを確認したことを示す書面
7.設立趣旨書
8.設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
9.設立当初の事業年度および翌事業年度の事業計画書
10.設立当初の事業年度および翌事業年度の活動予算書
引用:内閣府

必要書類を受理した所轄庁は、公告事項と申請書の「定款」「役員名簿」「設立趣旨書」「設立当初の事業年度および翌事業年度の活動予算書」を、受理した非から1ヵ月間民間人が縦覧可能にします。公告事項は次のようなものになります。

  • 公告事項
  • 申請年月日
  • NPO 法人の名称
  • 代表者氏名
  • 主たる事務所の所在地
  • 定款に記載された目的

引用:内閣府

書類などに不備がなく特に問題がなければ、書類受理から3ヵ月以内に書面で認証審査結果が届きます。認定が下りた後に申請した人物が、事業所の所在地で法人登記を行うことでNPO法人が設立できます。

NPO法人設立の登記は、法令に従い認証通知が届いてから2週間以内に済まさなければなりません。そして登記を終えた後にすみやかに「登記事項照明書」とNPO法人設立時に作成した「財産目録」と共に、所轄庁にNPO法人設立の届を行います。しかし認証を受けてから6ヵ月以内を過ぎても登記を行わない場合は、認証が取り消されることがあります。

NPO法人の資金獲得方法とは?

非営利団体といっても、活動のための資金がなければ何もできないため、独自に資金を獲得する方法を考えなければなりません。NPO法人の資金獲得方法は次のようなものがあります。

会費

ほとんどのNPO法人は会員制度を設け、一定の会費を設けています。会員から継続的に支払われる会費が安定した収入源となります。

寄付金

NPO法人の活動内容に対し賛同した人や企業からの寄付金となります。

収益活動・事業収入

イベントや物品を制作販売して得た収益、サービス提供料金などで得た収入です。

助成金

NPO法人の事業や研究を支援するために民間基金や財団が事業を助けるために資金を提供しますが、助成金を受けるためには審査を受けなければならないことが多いです。国が行う補助金を助成金ということもあります。

補助金

国や地方自治体がNPO法人や個人の事業に対して行うもので、助成金や奨励金、交付金ということもあります。

NPO法人が受け取れる助成金は?

NPO法人が受けることのできる助成金はひとつだけではありません。国や地方で行っている助成金は種類が多いので、事業内容に合ったものを選ぶ必要があります。

NPO法人対象の助成金はどんなものがある?

NPO法人が受けることのできる助成金はインターネットで探すことができますが、次の2つのサイトがおすすめです。

CANPANプロジェクト

CANPANプロジェクトは日本財団と特定非営利活動法人CANPANセンターが運営している、ソーシャルプロジェクトのサイトで、NPO団体だけでなく、民間や企業の活動支援も行っています。

CANPANプロジェクト

助成財団センター

助成団体センターは公益財団法人で、助成金に関するデータを公開しています。助成金を探している人だけでなく、助成財団へのページなどもあり最新情報を入手しやすいです。

助成財団センター

NPO法人が受けることのできる助成金には次のようなものがありますが、国内だけでなく国外での活動でも助成金を受けることができるものがたくさんあります。
しかし助成金は募集期間が決まっていることが多く、最近はNPO団体が増えていることから審査に通るのは厳しいです。無事に審査に通っても入金されるまでに1年以上かかることもあります。

助成金は次のようなものがありますが、事業内容によって応募できる助成金が異なります。

2019年度 JT NPO助成事業

日本たばこ産業株式会社が行っている助成金で、地域コミュニティ再生・活性化につながる活動を行っているNPOへの資金援助です。

2019年度 JT NPO助成事業

2019年度アジア生協協力基金一般公募助成

公益財団法人生協総合研究所による、アジア・太平洋地域の協力先の人材育成・組織強化のための助成金です。

2019年度アジア生協協力基金一般公募助成

2019年度 福祉助成(活動・研究)

橋本財団が行っている福祉助成は岡山県内が対象です。障害や病気・生活困難・ひとり親や外国人家庭など、困難な問題を抱えている人達を支えるNPO法人などに行う助成金です。

2019年度 福祉助成(活動・研究)

NPO法人の事業によって受け取れる助成金が異なる

それぞれの助成金は助成金額の総額が決まっており、事業内容や規模によって支給される助成金が変わり申請資格なども変わります。

先にご紹介した3つの助成金の申請資格と申請方法は次のとおりです。

2019年度 JT NPO助成事業

助成対象となるのは日本国内で活動を行っていることが前提になります。活動分野は問われませんが、地域コミュニティにつながる活動が対象で地新規性が高い先駆的な事業、大規模な自然災害で発生してしまった地域問題に取り組む事業が優先されます。
助成金の上限は1件あたり150万円です。

【応募条件】
以下の要件を満たす団体を対象とします。
(1)公益性を有し非営利法人であること。
(2)2018年8月31日時点で、法人化を有して1年以上の活動実績があること
(3)主たる活動と常設事務所が日本国内であること
(4)法人の設立目的や活動内容が、政治、宗教、思想に偏っていないこと
(5)反社会的勢力でないこと、または反社会的勢力と交友関係を有する法人でないこと

【応募方法】
郵便または宅急便で送付してください。電子メール、FAX、持参による応募は受け付けません。
生協総合研究所

2019年度アジア生協協力基金一般公募助成

以前は協同組合にだけ助成金を支給していましたが、公益財団法人になってからはNPO法人にも助成を行っており、助成金の上限は100万円です。

【応募条件】
(1)助成の対象となる組織
① 原則として日本国内に拠点(事務局など)を有するNGO/NPOや市民グループなどの組織(法人格の有無は問いません)。
② 政治・宗教・営利を目的としない組織。また、反社会的な活動を行わない組織。
③ 原則として、1年度の収支規模(収入もしくは費用の総額)が1億円未満の組織。
※③についてご不明な点は事務局にお問い合わせ下さい。
④ 活動開始から2年度を超えた活動実績を有する組織。
⑤ 申請事業を実施する上で、現地に対等な協力組織(カウンターパート)をもつ組織。
⑥ 原則として、過去2年度以内(2018年度・2017年度)に当基金からの助成を受けていない組織。ただし、過去の助成対象事業の継続事業として申請する場合は、下記の(2)の④をご参照ください。

(2)助成の対象となる事業
① アジア・太平洋地域で実施される事業。
② 社会的に脆弱な立場や状況に置かれた現地の住民や農民らの参加や協同を重視して、社会的発展や経済的自立に向けた問題の解決を図っていくことを目的とした人づくりや組織づくりなどを支援する事業。
③ 上記②の趣旨から、例えば、以下のような事業は助成の対象となりません。
ⅰ) 現地の住民の主体的な参加が認められない事業
ⅱ)単発の研修、セミナーやイベントの開催など友好親善を目的とした交流事業
ⅲ)組織の維持・運営に係る運転資金の補てんが主目的である事業
ⅳ)調査や研究が主目的である事業
生協総合研究所

【申し込み方法】
下記アドレスあてのメールに添付し、申請書ファイルをご提出ください。
E-mail: akira.sugaya@jccu.coop、tatsurou.miyazaki@jccu.coop
※行き違いを避けるために、必ず両方のアドレスにご送信ください。
生協総合研究所

2019年度 福祉助成(活動・研究)

橋本財団の行っている2019年度 福祉助成は岡山県内限定です。助成金は20万円から300万円とかなり幅があります。

【応募条件】
活動助成の場合は、次のどれかの活動が必要になります。
・質のよい住まいの提供をするための活動
・公的支援の支援活動
・ソーシャルワーク活動の支援
・その他、障がいや背かつ困窮などにかかる支援活動

研究助成の場合は岡山県内にある大学や研究機関所属の研究グループか研究者が対象で、所属している研究機関の推薦が必須です。

【応募方法】
財団の公式HPにある申請フォームからの申し込みのみ受け付けています。
Check!

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まとめ

NPO法人は非営利目的の団体のため、設立するには所轄庁の認定を受けなければなりません。無事に申請が通ってNPO法人を設立しても、資金調達で困難な状況に陥ることが多いです。

NPO法人の活動を広く知ってもらい会員を増やして安定な収入を増やす、または寄付を募る団体が多く会員からの会費と寄付で活動資金の半分以上を賄っているNPO法人も珍しくありません。

NPO法人が乱立している現在、助成金の申請数も増えており審査に通るのが厳しい状況です。

助成金の中には設立年数や、これまでの具体的な活動内容を求めるものが多いので、最初のうちは審査に通るのが難しいかもしれません。

しかし年数などを問わないものもあるので、応募条件を確認して受けられるものは受けておいたほうが、お金がなくて活動ができなくなるという事態を避けやすくなります。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。