小規模事業者持続化補助金は少人数の事業所や個人事業主でも申請できる、日本商工会議所、全国商工会連合会による支援制度です。販路開拓のため広告やホームページの施策を考えても、収益が上がっていない創業直後などは資金不足で実施できない場合があります。補助金制度を利用すれば、50万円までの補助のほかにも、商工会議所の指導、助言が受けられます。対象となる範囲も広く、使い勝手の良い制度ですが、小規模事業者持続化補助金を得るためには条件の詳細などを理解する必要があります。制度の内容について解説していきましょう。

小規模事業者持続化補助金の目的

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う事業の持続的発展を促すという目的で設けられた制度です。給付を受けた小規模事業者は、商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成し、その計画に沿って販路開拓などに取り組みます。ホームページやパンフレット、折込みチラシ、ネット広告などのほか、店舗の改装、看板の掛け替えといったことにも利用できるので、経費を軽減しながら販促活動を進められます。創業直後でまだ実績がない事業者でも利用でき、ほかの補助金申請と比較すると手続きも簡便です。

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小規模事業者持続化補助金の対象者

  • 卸売業・小売業:常時使用する従業員の数5人以下
  • サービス業(宿泊業・娯楽業以外):常時使用する従業員の数5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員の数 20人以下

会社および会社に準ずる営利法人も対象となりますが、医師、歯科医師、助産師、組合、NPO法人、その他の法人などは対象外です。
また、任意団体や、申請時点で事業を行っていない創業予定者も除外されます。
小規模事業者持続化補助金については、従業員5人以下の事業者が半数以上になるように採択する方針が明らかにされています。そのため従業員5人以下の事業者の方が、申請については優位といえそうです。

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小規模事業者持続化補助金を受給できる条件

  • 申請にあたっては、地域の商工会議所へすべての事業者が「事業支援計画書」を、代表者が60歳以上の場合には「事業承継診断票」も併せて作成・交付を依頼すること
  • 事業内容が策定した「経営計画」に基づいて実施する、地道な販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること ・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること(商工会議所の助言、指導、融資斡旋等の支援を受けながら事業を実施)
  • 同一内容の事業について、国(JETRO等の独立行政法人等を含む)が助成する他の制度(補助金、委託費等)を利用していないこと
  • 本事業の完了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれること
  • 射幸心をそそるおそれのない事業内容であること
  • 買物弱者対策に取り組む場合には、補助事業期間終了後5年以上継続する事業であること
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小規模事業者持続化補助金の支給額

補助率は補助対象経費の2/3以内です。補助上限額は50万円で、75万円以上の補助対象となる事業費に対しては、50万円が支給されます。75万円に満たない場合には、補助対象経費の2/3の金額となります。
ただし次のいずれかの事業の場合には、100万円を上限として補助されます。

  • 従業員の賃金を引き上げる取組
  • 買物弱者対策に取り組む事業
  • 海外展開に取り組む事業

150万円以上の補助対象となる経費に対しては100万円の補助、150万円未満では2/3の補助となります。

小規模事業者持続化補助金の申請方法

  1. 経営計画書と補助事業計画書を作成する
  2. 商工会もしくは商工会議所へ事業支援計画書の作成・交付を依頼する
  3. 商工会もしくは商工会議所へ申請書類一式を送付する
  4. 申請についての審査が行われ、採択の可否が通知される
  5. 経営計画に従って販路開拓などの取り組みを実施する
  6. 実績報告書の提出
  7. 商工会もしくは商工会議所により報告書の確認が行われる
  8. 補助金の請求を行う
  9. 補助金を受領する
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小規模事業者持続化補助金を受給申請する際の注意点

小規模事業者持続化補助金の受給申請をする場合には、次の点に注意が必要です。

  • 補助金はおよそ1年後に後払いされる
  • 申請受付の締め切りまで余裕をもって申請する
  • 審査は書面のみで行われる
  • 他の補助金との重複はできない

補助金が実際に支給されるのは、申請開始からおよそ1年後となります。その間はすべて自己資金で賄わなければなりません。キャッシュフローで問題が起きないよう、資金計画は万全にしておかなければ、受給前に事業がとん挫することになりかねません。
申請書類を送付する前に経営計画を持参し、商工会か商工会議所のアドバイスを受け、印鑑をもらう必要があります。持参した当日には完了しないため、余裕をもって行動しないと募集期間内に間に合わない可能性が出てきます。事業支援計画書の作成・交付依頼は、1~2週間前を目途に行いましょう。
また、審査は書面のみで面談はありません。熱意をアピールできるのは、書類だけとなります。申請書類は不備なく作成し、説得力のある内容となるよう心がけてください。

まとめ

資金力の弱い個人事業主などは、創業後も事業の継続について不安を抱えがちです。小規模事業者持続化補助金を活用することで、商工会議所の助言付きの資金が得られます。小規模な事業主をサポートする心強い制度ですが、必ずしも申請が通るわけではありません。受給するためには手順を踏みながら、補助金の目的にあった事業計画を立てていく必要があります。返済の必要がない事業資金を確実に利用できるように、制度の内容をしっかりと把握して申請に臨みましょう。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。