トライアル雇用助成金は、職業経験や技能、知識の不足などにより就職が困難な求職者をトライアルとして雇用する事業主に対して助成される制度です。

雇用側は人材の業務への適性を見極めながら、人件費を抑えた雇用が実現し、労働者は未経験からの就労体験が可能です。人手不足に悩む個人事業主にとっては、助成金を得ながら人材確保に結び付けられるチャンスといえます。

そこで、この記事ではトライアル雇用助成金のコースの詳細や申請の流れを詳しく解説します。

トライアル雇用とは

まず、トライアル雇用助成金の名前になっているトライアル雇用とはどのような制度か紹介します。

トライアル雇用とは、求職者の適正を見極めるために3ヶ月間の試用期間を設けて採用する制度です。試用期間を設けることで、企業と求職者、双方の理解を深められるために長期雇用の創出において有効です。

トライアル雇用制度の目的

トライアル雇用制度の目的は、以下の2つです。

  • 未経験者や知識不足により就職困難な求職者に、早期就職の機会を与える
  • 正規雇用する前に、求職者の適正を見極める機会を企業に与える

未経験で本来ならば就職が難しい求職者も3ヶ月の期間を通し、自分を企業にアピールできるだけでなく、実際に働きながら自分に合っている会社かどうかを考えることができます。一方、企業にとっても自社に必要な人材かどうかを見極められます。

そのため、企業と求職者のどちらにとっても有効活用できる制度といえるでしょう。

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トライアル雇用助成金とは

トライアル雇用助成金とは、トライアル雇用を実施して、就業希望者を試行的に雇用する場合に支援される制度です。

トライアル雇用助成金の目的

トライアル雇用助成金の目的は、トライアル雇用により、安定的な就職が困難な求職者の早期就職の実現や雇用創出することです。

トライアル雇用に取り組む企業を支援することで、求職者の採用支援につながります。実際、厚生労働省の実績資料によると、トライアル雇用助成金を利用し、常用雇用に移行した割合は、毎年およそ75~80%と高い数値を推移しています。

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トライアル雇用助成金の種類一覧

トライアル雇用助成金には以下の2つのコースがあります。

一般トライアルコース

一般トライアルコースは、ハローワークなどを通じて、就職困難な求職者を試用雇用した事業者を支援するコースです。

対象者の受給要件
対象労働者は、以下の要件を満たすことが求められます。

1.対象労働者がハローワークや地方運輸局(船員となる場合)、職業紹介事業者の職業紹介の日において、以下のいずれにも該当しないこと

  • 安定した職業に就いている者
  • 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者
  • 学校に在籍している者(在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
  • トライアル雇用期間中の者

2.以下のいずれかに該当すること

  • 紹介日前2年以内に、2回以上の離職又は転職を繰り返している者
  • 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
  • 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
  • 紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者
  • 紹介日において就職支援にあたって特別の配慮を有する次のいずれかに該当する者
  1. 生活保護受給者
  2. 母子家庭の母
  3. 父子家庭の父
  4. 日雇労働者
  5. 季節労働者
  6. 中国残留邦人等永住帰国者
  7. >ホームレス
  8. 住居喪失不安定就労者
  9. 生活困窮者

3.ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
4.原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
5.1週間の所定労働時間が原則30時間程度(日雇労働者やホームレス、住居喪失不安定就労者は20時間を下回らないこと)であること

受給額
助成金額は、支給対象1人につき月額4万円(最長3ヶ月)です。
※対象者が母子家庭の母や父子家庭の父の場合は、1人につき月額5万円です。

障害者トライアルコース

障害者トライアルコースは、ハローワークなどを通じて、就職困難な障害をもつ求職者を試用雇用した事業者を支援するコースです。

受給要件
以下の条件を満たした対象労働者を雇用した場合に受給されます。
・対象労働者の条件
1継続雇用を希望しており、障害者トライアル雇用制度を理解したうえで、障害者トライアル雇用による雇用についても希望している者

2.障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、以下のいずれかに該当する者

  1. 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
  2. 紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者
  3. 紹介日前において離職している期間が6ヶ月を超えている者
  4. 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

・雇用の条件
1.ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
2.障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと

受給額
助成金額は、支給対象者1人につき以下のように定められています。

1.対象労働者が精神障害者の場合:月額最大8万円を3ヶ月、月額最大4万円を3ヶ月(最長6ヶ月間)
2.1以外の場合:月額最大4万円(最長3ヶ月間)

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トライアル雇用助成金の申請方法

トライアル雇用助成金の申請方法は、以下のようになっています。

1.トライアル雇用求人をハローワークに提出
トライアル雇用求人票を作成し、ハローワークに提出します。その求人票をもとにハローワークの担当者が求職者と面談を実施し、適正の有無を判断されます。

2.ハローワークから紹介された求職者の面接
自社で働く適性があると判断された求職者が、ハローワークから紹介されます。トライアル雇用において書類選考はなるべく行わず、面談により判断することが原則求められます。

職務経験や求職者の希望などのヒアリングを十分に行い、適性を判断しましょう。

3.有期雇用契約を結ぶ
トライアル雇用する場合には、求職者と原則3ヶ月間の有期雇用契約を結びましょう。

4.トライアル雇用開始
求職者を試用雇用する場合には、採用日から2週間以内にトライアル雇用実施計画書をハローワークに提出します。トライアル雇用実施計画書に、トライアル雇用期間における労働条件や常用雇用への移行条件などを記載します。

5.トライアル雇用期間終了後や常時雇用契約締結後に、申請書を労働局に提出
トライアル雇用期間終了後、求職者の職務遂行能力やコミュニケーション能力、適正などを再度判断しましょう。常用雇用に移行する場合には雇用契約を再度行います。移行しない場合には、トライアル雇用をそのまま終了して完了です。

6.トライアル雇用助成金の申請を行う
トライアル雇用終了日の翌日から2ヶ月以内に、ハローワークか労働局に助成金の支給申請を実施します。

その際、「トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書」や「トライアル雇用賃金計算確認票」などの書類の提出が必要です。そのため、なるべく早めに準備することが求められます。計画的に支給申請を行いましょう。

まとめ

トライアル雇用は、企業・求職者のどちらにとっても適性を見極められる制度です。

また、トライアル雇用助成金を利用することで、支援してもらいながら採用を進められます。しかし、申請作業に手間や時間がかかると、雇用に集中できなくなる可能性もあります。

そのため、トライアル雇用助成金の申請はプロの助成金コンサルティング業者に相談することがおすすめです。まずは無料相談してみてはいかがでしょうか。
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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。