企業にとって効率的な資金調達の方法を考えることは、事業を継続していく上での重要な課題のひとつです。
独立して創業、又は事業拡大の際に資金が必要になったとき、調達方法としては銀行などの金融機関から融資を受ける方法があります。
しかし、融資以外にも国や自治体などが設けている助成金制度の利用をいることも可能です。

そこで今回は雇用に関連する助成金の種類や受給額、雇用保険との関係、受給するために注意するポイントを併せてご紹介します。

助成金の受給要件って??

助成金を受給する条件は雇用保険などの労働保険適用事業所であることです。
制度によって様々な受給条件がありますが、全体として共通の条件は雇用保険の適用事業所であることと受給のための審査に協力が必須になります。

また、助成金の内容によっては中小企業である場合とそうでない場合とで受給条件が異なる場合もあるので事前に確認しておくことが大切です。
助成金の不正受給をしてから3年以内に支給申請をした事業主や、半年以内に事業主都合による解雇者がいる場合は受給ができない可能性があります。

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従業員を解雇したくない!そんなときは「雇用調整助成金」

金繰りに困って雇用調整の必要がありますが、従業員を解雇したくないという場合には「雇用調整助成金」に申請するとよいでしょう。

受給要件
○直近3ヶ月の売上高の減少が前年よりも10パーセント以上である
○一時的一とき的な雇用調整のための対策として休業を行っている
○住業員に対して基準を満たすだけの教育訓練が行われてい

上記のことなどが挙げられます。
支給額は中小企業の場合で休業手当や教育訓練時の賃金相当額等の1/2、大企業の場合は2/3です。対象従業員1人1日あたり7810円が上限になります。
また、従業員の教育訓練の加算額として1日1人あたり1200円の受給が可能です。(※1)

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「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

新たに雇用を増やしたい!そんなときは「特定求職者雇用開発助成金」

高齢者、障がい者、母子家庭の方など就職が困難な人たちを継続的に雇用するための支援を目的した助成金です。
事業主は上記のような就職困難者をハローワークの紹介などで雇用した場合、最大240万円を3年間に渡り支給されます。

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従業員のキャリアを応援したい!そんなときは「人材開発支援助成金」

「人材開発支援助成金」と「キャリアップ助成金」は、新たに雇用する際だけではなく、既に雇用している従業員のキャリア形成につながる職業訓練を行った場合の費用などが助成されます。

○人材開発支援助成金
正規雇用の従業員がいる場合に、受給することができる助成金です。
パートタイマーや有期契約労働者などの非正規雇用社員に対する支援強化の一環として、平成27年に「若者雇用促進法」に基づいた認定制度が始まりました。「認定事業主」となることによっていくつかの助成金制度を利用することができます。

○キャリアアップ助成金
パート・アルバイトの短時間・派遣労働者や、契約社員といった「非正規雇用」の労働者の社内でのキャリアアップを目的とする助成金制度です。
コースは「正社員化コース」や「人材育成コース」、「処遇改善コース」など全部で8種類あります。
「正社員化コース」は非正規社員を正社員のようなかたちで正規雇用することが助成条件です。対象の従業員が雇用保険に加入してから助成金の支給まで、最低でも1年6ヵ月ほどの時間を要します。
「人材育成コース」の場合には、非正規社員の従業員に対して業務上必要で、かつキャリアアップにつながるような職業訓練を行うことが受給条件です。
「処遇改善コース」では、有期契約労働者を対象に賃金規定等の改定や、健康診断制度を導入した場合などで助成金が支給されます。
ただし、これらのコースの助成金を受給するためにはキャリアアップ計画の策定と必要書類を用意すること、スケジュール管理を徹底することが大切です。
とりわけ事前に提出する必要がある「キャリアアップ計画書」は審査の際の重要なポイントとなりますので、慎重に作成する必要があります。(※1) 

仕事と家庭の両立を支援したい!そんなときは「両立支援等助成金」

育児や介護といった従業員の家庭での生活と、会社での労働者としての生活の両立を支援する助成金が「両立支援等助成金」です。

社内で女性の活躍の推進、男性が育児休業を取得しやすい環境作り、介護を理由に離職することを予防する効果が期待されています。
全6コースの中でも「女性活躍加速化助成金」は女性活躍促進法が制定したことにともなって平成28年4月から始まった助成金制度です。女性活躍促進法により、常時301人以上の従業員を雇用している企業では、女性の従業員が職場でより活躍できるような行動計画を策定することが義務となりました。

「女性活躍加速化助成金」は策定した取り組み目標や数値目標が実際に達成された場合に受給できる助成金です。目標達成の段階に応じて、加速化Aコースと加速化Nコースという2つのコースがあります。計画書を策定する必要のない従業員数が300人以下の事業主であっても、計画書を策定することが必要です。
受給額は、301人以上の従業員がいる企業の場合には取り組み目標の達成と数値目標を達成により1事業主に1回のみ30万円、従業員数が300人以下の企業の場合には取り組み目標の達成によって1事業主1回のみ30万円が支給されます。

雇用する労働者が300人以下の事業主については両方のコースに申請することができ、2回で最大96万円の助成金の受給が可能です。
そのほか男性社員が育児休業を取得できるような職場の環境作りに取り組んだ事業主に対して支給される「出生時両立支援助成金」や、アンケートによる社内の実態調査や相談窓口の設置など介護離職を防ぐための取り組みを行った企業に支給される「介護支援取組助成金」などがあります。(※1)

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おわりに

雇用関連の助成金は事業拡大や雇用の安定のために活用できる制度です。
申請期間が決まっているので、審査書類の作成や細かい受給条件の確認のために助成金専門のコンサル会社を使うのもひとつの手でしょう。
助成金は融資とは異なり返済の必要がない資金調達の方法ですので、どのような助成金があるかをしっかりと把握し上手に利用することをオススメします。

※1.【東京労働局】各種助成金のご案内

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。