少子高齢化社会の進行に伴い、2021年に高齢者雇用安定法が改正され、事業者は「70歳までの定年の引き上げ」や「定年制の廃止」など働く意欲がある高齢者が活躍できる環境整備に努めるように示されました。

経験豊富で知識・スキルが高い高齢者は企業にとって大きな力となることから、高齢者の雇用を積極的に進める企業も増えています。

そこでこの記事では、高齢者の雇用・雇用環境整備に活用できる助成金として、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」と「65歳超雇用推進助成金」について解説します。

高年齢者雇用に利用できる助成金とは

助成金とは、ビジネスを営む事業主を支援するために、国や地方自治体が助成するお金のことです。原則、返済が不要な公的な資金であるため、安全に資金調達することが可能です。

助成金を受給するには、各助成金に設けられている支給要件を満たすための取り組みを行う必要があります。厚生労働省が主導しているため、支給要件の多くは従業員の健康や労務に関する取り組みです。

助成金の概要や注意点、補助金との違いなどの詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!

高齢者雇用に関する助成金を活用するメリット

高齢者雇用に関する助成金を活用する主なメリットを以下にまとめました。

  • 経験豊富かつスキル・知識に優れた働き手を雇用できる
  • 長期的に働くことが可能な職場であると、従業員にアピールできる
  • 人材確保しつつ、資金調達できる

人材の確保や資金調達はもちろんのこと、高齢者の雇用環境を整備し、実際に雇用することで、若手社員にも良いイメージを与えるでしょう。その結果、離職率の低下や若手求職者の応募の増加なども期待できます。

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特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)とは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主を助成する制度です。

ここでは、主な概要を解説します。詳細は助成金のコンサルに相談するか厚生労働省のホームページをご覧ください。
参照:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

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主な支給要件

助成金を支給するには、以下のすべての要件を満たすことが必要です。

  • 以下の機関のいずれかの紹介により雇い入れること
  1. 公共職業安定所(ハローワーク)
  2. 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
  3. 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等
  • 雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続した雇用が確実であると認められること

助成額

助成額は、対象労働者の類型と企業規模に応じて以下のように異なります。

対象労働者 支給額 助成
対象期間
支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 高年齢者(60歳以上) 60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
短時間労働者(※3) 40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)

※()は、中小企業事業主以外
※3短時間労働者:一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者

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「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

65歳超雇用推進助成金

65歳超雇用推進助成金とは、65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して助成する制度です。

高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現するために制定されました。

65歳超雇用推進助成金には3つのコースがありますが、「雇用環境の整備」もしくは「無期雇用労働者への転換」が支給要件です。そのため、高齢者の新規採用を強化したい場合には、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)を検討しましょう。

ここでは、65歳超雇用推進助成金の3つのコースの概要を解説します。

65歳超継続雇用促進コース

65歳超継続雇用促進コースとは、65歳以上への定年引上げ等の取り組みを実施した事業主に対して助成するものであり、高年齢者の就労機会の確保および希望者全員が安心して働ける雇用基盤の整備を目的としています。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースとは、高年齢者の雇用推進を図るための雇用管理制度の整備(賃金・人事処遇制度、労働時間、健康管理制度等)にかかる措置を実施した事業主に対して助成する制度です。

高年齢者無期雇用転換コース

高年齢者無期雇用転換コースとは、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に対して、国の予算の範囲内で助成金を支給する制度です。

65歳超雇用推進助成金の支給要件や助成額は、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:【令和6年度】65歳超雇用推進助成金とは?各コースを徹底解説

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高齢者雇用に関する助成金申請の注意点

「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」は、ハローワークに申請したのち案内をしてもらえますが、提出する出勤簿や賃金台帳、雇用契約書等についてはそれぞれの整合性など法律に沿った審査が入ります。
法令に沿っていなければ不支給になるケースもありえるため、準備は慎重に行うことが必要です。

また「65歳超雇用推進助成金」は、審査を行うのが各都道府県労働局ではなく、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構という機関です。
実際に申請を行った経験のある社労士によると、労働局に提出する助成金申請書よりも数段チェックが厳しいといわれています。

どちらの助成金においても、確実な申請のためには労働基準法などの法令をクリアする必要がありますので、専門家のサポートを受けることがおすすめです。

まとめ

この記事では、高齢者の雇用・雇用環境整備に活用できる助成金として、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」と「65歳超雇用推進助成金」について解説しました。

高齢者の雇用・雇用環境整備に活用できる助成金を受給することで、経験豊富な人材を獲得しつつ資金調達できるだけでなく、社内の若手社員にも安心してキャリアパスを計画できる環境であることをアピールできます。

その際、助成金の受給を確実にするにはプロのコンサルに依頼することがおすすめです。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。
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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。