キャリアアップ助成金は、アルバイトやパートなどの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を助成する制度です。
キャリアアップ助成金を申請するには、キャリアアップ計画書を作成し、提出することが必要です。しかし、計画書が企業の実情と異なると、整合性が取れず受給できなくなる可能性があります。そのため、まずはキャリアアップ計画書について理解しましょう。
この記事では、キャリアアップ計画書の概要や目的、作成方法を解説。計画書の記入例も紹介しますので、参考にしてください。また、キャリアアップ助成金の基本的な情報が知りたいという方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:キャリアアップ助成金とは?コースや申請方法を解説!
目次
キャリアアップ計画書とは
キャリアアップ計画書とは、企業がどのようなプランで非正規労働者のキャリアアップを進めるのかについて示した計画書です。
どのような項目を記載する必要があるのかは、のちほど解説します。
目的
キャリアアップ計画書を作成する目的には、キャリアアップを計画的に進められるようにすることや不正受給を防ぐことなどが挙げられます。特に、助成金を受給するために、虚偽の申請を行う事例が増えたことで、キャリアアップ計画書の必要性が問われるようになりました。
不正受給でないことを証明するには、明確なキャリアアップのプランを策定することが求められます。適切な内容でないと判断されれば、申請が認められない可能性もあります。
関連記事:キャリアアップ助成金の審査は厳しい?受給するためのポイントを解説
入手場所
キャリアアップ計画書の申請様式は、各コースの申請書類とともに厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
「様式第1号キャリアアップ計画書」のWordファイルとPDFファイルが用意されています。利用しやすい方を選択し、ダウンロードしましょう。
キャリアアップ計画書の記入項目と記入例
キャリアアップ計画書の申請様式には、8つの項目が記載されています。各項目について、自社の取り組み内容を記入しましょう。ここでは、記入項目と正社員化コースにおける記入例を解説します。
キャリアアップ管理者情報
「キャリアアップ管理者情報」とは、自社のキャリアアップ計画を推進する役割の人物のことです。1事業所あたり1名を配置する必要があります。
特別な資格は不要ですが、キャリアアップにおける経験・知識を保有する人物が望ましいとされ、一般的には経営者やマネジメント層が任命されます。ただし、複数の事務所および労働者代表との兼任はできません。
キャリアアップ管理者の業務内容
「キャリアアップ管理者の業務内容」はその名の通り、管理者となった人物がキャリアアップを推進するうえで実施する業務内容を記載します。
正社員コースの記入例には、「キャリアアップ計画の策定」や「制度の周知」、「転換を希望する非雇用労働者が現れた際に手続きを行うこと」などが挙げられます。
キャリアアップ計画期間
「キャリアアップ計画期間」は、キャリアアップ計画を実施する期間のことです。3年~5年以内で設定してください。
また、一度提出したのちに、期間を変更したい場合には「変更届」を提出することで短縮・延長が可能です。ただし、5年の期間満了後も取り組みを継続する場合には、満了後に新たなキャリアアップ計画を作成・提出する必要があります。
キャリアアップ計画期間中に講じる措置の項目
「キャリアアップ計画期間中に講じる措置の項目」は、キャリアアップ助成金のコースの中から選択します。
対象者
「対象者」は、キャリアアップを推進する際に対象となる労働者のことです。どのような労働者が対象になるのか、以下のような点について記載しましょう。
- 入社継続年数
- 配属先部署
- 雇用形態
- キャリアアップ計画書
- 正社員化コース内訳
- 正社員化コース対象労働者詳細
- 支給要件確認申立書
- 支払い方法・受取人住所届(雇用関係助成金をはじめて利用する場合のみ)
- キャリアアップ助成金支給申請書
- 対象労働者の賃金台帳
- 対象労働者の出勤簿、タイムカード
- 対象労働者の雇用契約書、労働条件通知書、雇用契約書
- 中小企業事業主という確認書類(登記事項証明書など)
- 労働協約または就業規則その他これに準ずるもの
正社記入例には、「雇用してから〇〇年経過した〇〇部門の有期契約労働者」などが挙げられます。
目的
「目的」は、キャリアアップ計画を完了した際に、会社が目指すビジョンを記載します。そのため、キャリアアップ助成金の目的と整合性が取れていることが必要です。
正社員コースの記入例には、「対象者のうち、〇名が正規雇用労働者への転換を図る」などが挙げられます。
目標を達成するために講じる措置
「目標を達成するために講じる措置」は、キャリアアップを推進するために実施する内容のことです。具体的にどのような措置を行うのかを明示します。
正社員コースの記入例は、「正規雇用労働者に転換するための面接や試験を実施し、転換を判断する」などが挙げられます。
キャリアアップ計画全体の流れ
「キャリアアップ計画全体の流れ」は、「目標を達成するために講じる措置」をどのようなプロセスで実施していくのかを記載します。
正社員コースの記入例は、「正社員への転換制度を整備し、周知する。その後、正社員を希望する労働者を募集し、職業訓練や研修を実施したのち、面接試験の結果を判断し、正社員へ転換する」などが挙げられます。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説キャリアアップ計画書の提出期限・提出先
作成したキャリアアップ計画書は、いつまでに・どこに提出する必要があるのでしょうか。ここでは、キャリアアップ計画書の提出期限・提出先について解説します。
提出期限
提出期限は、キャリアアップ計画書に記載した施策を実行する日の前日までです。郵送での提出も可能ですが、到着日が予定より後ろ倒しとなる可能性も考慮する必要があります。
また、何らかの不備や見落としがあった場合には再提出となる可能性もあるため、できる限り余裕をもって提出しましょう。
提出先
提出先は、企業の所在地を管轄している労働局(都道府県によってハローワーク)です。
各労働局には、提出時に必要な添付書類のチェックリストが用意されています。スムーズに提出できるよう、利用することがおすすめです。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請に必要な書類
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請に必要な書類をまとめました。
キャリアアップ助成金の要件を満たす就業規則については、以下の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
関連記事:【規定例あり】キャリアアップ助成金に対応した就業規則とは?必要事項を解説
キャリアアップ計画書以外にも、多くの提出書類があります。これらすべての書類がキャリアアップ助成金の要件を満たしているかどうかを自社で確認するのは時間や手間がかかるでしょう。そこで、多くの企業はプロのコンサルティング業者に依頼しています。助成金のコンサルティング業者については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:助成金申請はコンサルに依頼すべき?サポート内容や費用相場、選び方を解説
まとめ
キャリアアップ計画書は、キャリアアップ助成金を申請する際に作成しなければならない書類です。
自社のキャリアアッププランを明確に示すもので、不正受給を防止する役割をもっています。そのため、適切な内容を記入できないと、受給できないおそれがあります。キャリアアップ助成金の利用を検討している企業は、確実な受給を目指すにはプロのコンサルに作成サポートを依頼することも一つの手です。
これからキャリアアップ助成金の申請を検討される場合には、まず以下の無料相談を受けてみてはいかがでしょうか。
キャリアアップ助成金の無料相談をする