介護休業とは、介護のために労働者が一定期間休業できる制度です。事業主も、雇用する立場として知っておいて損はありません。介護休業制度は、育児、介護休業法により定められているからです。社員が介護休業の申し出をしたとき、事業主は拒否できません。昨今、育児や介護と仕事の両立は社会問題として注目されています。通常、仕事をしなければお金を得られません。しかし、大切な家族が要介護状態になったとき介護も必要です。仕事と介護の両立に悩み、介護離職を選ぶ人も少なくありません。一方、事業主の立場だと、社員がひとり抜けるだけでも困ることは多くなるはずです。中小企業の場合、社員に何日も休業されると、経営にも大きな影響を与えかねません。介護休業はどれぐらいの期間認められるのでしょうか?その点を理解しておくことで、社員と事業主の間による無駄なトラブルが起きるのを防げるでしょう。

介護休業がなぜ必要か?

育児・介護休業法で定められた介護休業制度の正式名称は『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』です。その名の通り、育児や介護と仕事の両立を目的としています。仕事と介護の両立は、時間的、精神的、体力的な負担が大きいです。両方止めることがむずかしい場合、人は苦悩します。結果、介護離職やストレスでメンタルにダメージを受ける人も少なくありません。ただ、労働者には、育児や介護のため休業する権利があります。介護しなければならない社員の時間外労働や深夜労働の制限、勤務時間短縮、転勤や不利益な扱いについても制度で定めているのです。事業主が従業員の申し出を拒否すれば罰則があるため注意してください。

介護休業の期間

介護休業期間は、法律的に対象家族ひとりにつき3回以内、93日以内の範囲で可能です。つまり、回数制限と日数制限があります。労働者が無制限に介護を理由として介護休業を取得できないとされているのです。これは、『育児・介護休業法11条2項1号と2号』でも定められています。ただし、あくまで法律により定められている部分でしかすぎません。事業主の考え、会社の考え次第では、極端な話、100日の介護休業を認めることもできます。

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介護休業や介護休暇を取得しやすい企業のメリット

介護休業を取りやすい企業は、労働者にとって魅力的です。両親や義理の両親を介護することになる年齢は、40代から増えるといわれています。2025年問題が注目されているのも無視できません。2025年問題とは、団塊の世代が後期高齢者となる年です。要介護者が増加すれば、介護サービス事業者の数が不足する可能性も否めません。介護施設に入居できなければ家族で介護することになります。自然と、仕事と介護の両立を考えなければなりません。その状況で、介護休業を認めない企業で働きたいと考える人は多いでしょうか?介護休業が取得しやすく、理解もある企業に優秀な人材が集まるのは不思議ではありません。逆に、介護休業を取れない企業は、ブラック企業として社会的に淘汰される可能性が高くなります。また、介護休業以外にも、介護休暇という制度があることも無視できません。介護休暇は、1年度で5日間、要介護状態の対象家族2人以上だと10日を限度として取得できます。介護休業と似ていますが、取得できる日数や申請方法や給付金に関して異なる点も多いため事業主としてはチェックしておきたいところです。

社員の労働意欲にもつながる

40代から50代の働き盛りの人は介護の問題に悩むことが多くなります。総務省の平成29年就業構造基本調査によると、介護や看護を理由として過去1年間に離職する介護離職者は、平成24年で男女合わせて10万1千人で、平成29年では約9万9千人。多くの人に、介護離職の可能性があるのです。40代や50代は知識や経験、技術も豊富ですが、介護休業を取る雰囲気がない企業で、仕事と介護の両立で悩んだ結果、介護離職につながることは十分に考えられます。介護休業を取得しやすい雰囲気の企業なら「もう少し頑張ってみよう」と思い直すことも考えられるでしょう。企業は事業主ひとりで成り立っているわけではありません。多くの労働者に支えられていることを忘れないようにしてください。

介護休業を認めなかった場合の罰則

労働者が介護休業などを求めてきても、事業者が無視したとします。また、報復として降格や解雇などを行った場合、罰則が待っているのです。違反した事業者に対して、厚生労働大臣が法律に違反していることに対し是正勧告を行います。事業者が従わなければ企業名を公表できるとされているのです。また、厚生労働大臣や委任を受けた都道府県労働局長は事業者に報告を求めることができます。事業者が無視する、虚偽の報告をすれば20万円以下の過料。ブラック企業という言葉が問題視されている中、労働者の介護休業を認めなかった企業は、一気に労働者不足の階段を転げ落ちる可能性があります。

介護休業給付金があることも教えてあげましょう

事業主として労働者のことを考えるなら介護休業給付金制度も知っておきましょう。優秀な従業員が介護離職し、介護と仕事を両立しやすい企業に転職するのを防ぐ目的としても有効です。介護休業の間、給与の支払いについて法的な定めはありません。一部、支払う企業もあれば支払わない企業もあります。そのことに不満を覚える従業員もいるかもしれません。そのとき、事業主は介護休業給付金制度の利用を考えてみてください。ただ、支給対象者は雇用保険受給資格者、介護休業開始において1年以上同事業主の下で勤務しているなど、さまざまな条件が設けられています。しかし、条件は決して厳しいものではないため活用して損はないでしょう。また、給付金の支給は事業者によってハローワークに申請しなければなりません。面倒と無視すれば、介護離職、ブラック企業という評価となる可能性は十分にあります。事業主はその点を理解し、介護休業や休暇を取得しやすい職場環境を目指してください。

弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。
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