助成金を申請できるのは、法人だけではないことをご存じでしょうか。助成金の中には、個人事業主やフリーランスが申請できるものもあります。助成金は基本的に返還しなくてよいため、資金調達の一環として、まずは助成金の制度について知っておくことが大切です。

この記事では、助成金の概要や、個人事業主・フリーランスが利用できる助成金や補助金について解説します。

個人事業主・フリーランスが助成金や補助金を受けるには

個人事業主・フリーランスが助成金や補助金を受けるには、それぞれの要件を満たす必要があります。助成金や補助金について理解を深め、自身が受給要件に当てはまるか確認してみましょう。

助成金とは

助成金とは、厚生労働省が主導する資金援助に関する制度です。企業の経営や雇用状況を改善、向上させることを目的としており、原則的に返済の必要がありません。基本的には受給要件さえ満たすことができれば、受給可能です。

助成金の詳細については以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!

また、補助金についても簡単に解説すると、経済産業省が主導する資金援助に関する制度です。こちらは事業における研究開発費などを補助するための制度であるため、書類審査や面接などにより落選する可能性があります。

助成金の受給要件

助成金ごとに受給要件が設定されていますが、それだけでなく、全ての助成金に共通する受給要件を3つとも満たすことが必要です。

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  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 支給のための審査に協力すること
  •  1.支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
     2.支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
     3.管轄労働局等の実地調査を受け入れることなど

  • 申請期間内に申請を行うこと

引用:厚生労働省「各雇用関係助成金に共通の要件等」
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また、受給の対象外となる事業主もいます。以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。
関連記事:助成金は誰でも受給できるものではない!?共通の受給条件とは?

補助金の受給要件

補助金は、補助金ごとに目的や趣旨が異なるため、共通の受給要件はありません。そのため、公募している補助金を検索し、自社の事業とマッチする補助金を見つけたうえで申請する必要があります。

また、補助内容や申請期間、審査内容などは細かく確認することが大切です。まずは、どのような補助金があるのかを調べて、募集要項を理解することからはじめましょう。

このように、補助金は審査結果次第で受けられない可能性がありますが、助成金は基本的に、要件を満たしていれば受給できます。

助成金と補助金の違いについて、下記で解説しています。
関連記事:補助金と助成金の違いとは?それぞれの流れや注意点、交付金や給付金との違いもわかりやすく解説!

【2023年6月現在】個人事業主・フリーランスが活用できる給付金はない

個人事業主・フリーランスの資金調達方法には、助成金・補助金の他に給付金があります。給付金とは、国・地方自治体が設定している受給条件さえ満たせば、返済不要かつ使用用途が自由なお金のことです。

しかし、2023年5月31日に「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金」が終了し、2023年6月現在においては個人事業主・フリーランスが申請できる給付金はありません。

また新たな制度が発行される可能性もあるため、定期的に確認することがおすすめです。

個人事業主・フリーランスが活用できる助成金一覧

個人事業主・フリーランスが活用できる主な助成金を紹介します。

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、経済上の理由によって経営が悪化した事業主が、一時的に雇用調整(休業など)を実施し、雇用維持した場合にその手当の一部を助成するものです。

また雇用調整助成金「コロナウイルスの影響に伴う特例」として、令和4年11月30日までの特例措置と令和4年12月1日~令和5年3月31日までの経過措置が実施されていました。その期間においては大企業・中小企業それぞれに助成率を設定した助成金が別途用意され、支給が増えていました。
令和5年4月1日以降の申請は、通常の雇用調整助成金から実施するものとなっています。

詳しくは以下の記事をご覧ください。
引用:雇用調整助成金

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進するために、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成するものです。キャリアアップに費やした資金の一部が助成されます。従業員を雇用している個人事業主が活用できる助成金です。

いくつかのコースが設定されているため、詳しくは以下の記事をご覧ください。
引用:「キャリアアップ助成金とは?コースや申請方法を解説!」

両立支援等助成金

両立支援等助成金とは、仕事と育児、介護などの家庭生活を両立できる職場環境づくりを目指し、そうした取り組みを実施した事業主に対して助成するものです。

育児、介護などいくつかのコースが設定されているため、詳しくは以下の記事をご覧ください。
引用:「両立支援等助成金」

両立支援等助成金について詳しくはこちらで解説しています。
関連記事:【2023最新】企業におすすめ!育児休業の申請に活用できる助成金一覧

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、雇用している労働者の知識やスキル習得のために、職業訓練などの取り組みを実施した事業主に対して助成するものです。

いくつかのコースが設定されているため、詳しくは以下の記事をご覧ください。
引用:「人材開発支援助成金」

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

個人事業主・フリーランスが活用できる補助金一覧

個人事業主・フリーランスが活用できる主な補助金を紹介します。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、商工会議所による補助金で、一定要件を満たす法人、個人事業主、特定非営利活動法人が対象となっています。自社の経営計画を作成し、販路拡大や生産性向上などの取り組みを支援する制度です。

詳しくは以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
引用:小規模事業者持続化補助金

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(ものづくり補助金)

ものつくり補助金とは、公募型の補助金で、中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善などを行うための設備投資を支援する制度です。

詳しくは、ものづくり補助事業公式ホームページをご覧ください。
参考:ものづくり補助金総合サイト

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者などが、自社の課題やニーズに適したITツールの導入を補助する制度です。

詳しくは、IT導入補助金ホームページをご覧ください。
参考:IT導入補助金2023

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業がポストコロナ時代の市場変化に対応するための事業再構築を支援する制度です。

詳しくは、事業再構築補助金ホームページをご覧ください。
参考:事業再構築補助金

2023年6月現在、個人事業主・フリーランスが活用できる主な助成金・補助金を簡単に解説しました。ただし、活用を検討されている方は、各ホームページから最新の受給要件を確認するようにしてください。

個人事業主・フリーランスが助成金・補助金を受けるメリット・デメリット

助成金・補助金を受けることで得られるメリットや、理解しておくべきデメリットについて解説します。

助成金・補助金を受けるメリット

助成金・補助金を受けるメリットについて解説します。
最も大きいメリットは、返済不要な資金を調達できることです。事業計画を立てるうえで、返済義務があるかどうかは大きなポイントとなってきます。資金調達にありがちな出資者からの干渉や見返りといった心配もありません。

また、助成金においては、経費の補助以外であれば使用用途は制限されていません。さらに一度申請をすることで数年間継続して支援を受けられる助成金もあるため、確認しておいて損はないでしょう。

助成金・補助金を受けるデメリット

助成金・補助金を受けるうえで理解しておくべきデメリットについて解説します。
まず、個人事業主・フリーランスが利用対象外である助成金・補助金があります。また、受けられるとしても要件が厳しい場合もあります。そのため、まずはそれぞれの助成金・補助金の対象を確認することが必要です。

その他には、支援までに時間がかかることや、申請期限が決まっていることが挙げられます。そのため、申請前に受けられるメリットが大きいかどうか確認しておきましょう。

助成金・補助金を申請前に押さえておきたいポイント

助成金・補助金の申請や審査を受ける際に、押さえておきたいポイントを解説します。

助成金や補助金の受給目的を明確にする

助成金・補助金の目的を明確にしておくことが必要です。要件を満たしていることをアピールするうえで、目的に具体性をもたせておきましょう。
また、気を付けたい点としては、助成金・補助金の受給を得るためだけに経営計画を立てないようにしてください。要件を満たそうと、実際の事業活動に適していない取り組みを行うとかえって負担が生まれてしまうかもしれません。

助成金や補助金は、あくまで経営活動を支援するための制度であることを忘れないようにしましょう。

申請書類はわかりやすさを意識する

助成金や補助金の審査を通過するためには、要件を満たしていることが必要です。そのためには、申請書類をわかりやすく記入しているかが重要になります。特に補助金においては、専門性の高い職種の場合、商品やサービスの質や今後の将来性などをいかにわかりやすく伝えられるかがポイントになるでしょう。

要件と期限を確実に守る

助成金や補助金を受けるためには、それぞれの要件と申請期限を守ることを徹底してください。定期的に受給要件や申請期限が変わる可能性があるため、常に最新情報を確認することが大切です。

助成金・補助金の申請や審査を受ける際に、押さえておきたいポイントを解説しました。こうしたポイントを押さえるために、申請書類の作成は余裕をもって準備しておきましょう。

まとめ

個人事業主やフリーランスの課題となりやすい資金調達。その課題に対し、安全に調達できる手段として助成金や補助金があります。国や地方自治体が行っているため、安心して利用することができるでしょう。

ただし、申請するには要件を満たしていることや事前の準備が欠かせません。資金を獲得した際に想定している目的や、事業の魅力などをしっかりと伝えられるようにしておきましょう。

基本的に受けるメリットが大きいため、申請に向けて受給要件を確認してみるところから検討してはいかがでしょうか。

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今後起業を考えている個人事業主・フリーランスの方は、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:【2023最新】起業・創業で活用したい助成金・補助金一覧!資金調達方法を解説

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。