起業を決めた際に、まず課題となるのが資金調達です。起業時にはさまざまな設備や機器を導入する必要があるでしょう。こうした経済的な負担を低減する際には助成金・補助金を利用することがおすすめです。

そこで、これから起業しようと検討している方やすでに起業している方向けに、活用できる助成金・補助金をまとめました。ぜひ参考にしてください。

起業時に利用できる資金調達方法

まず、起業時に利用できる資金調達方法として、助成金・補助金・融資という3つの方法について解説します。

助成金

助成金は、おもに厚生労働省や地方自治体が主導している公的な資金です。
原則、返済義務がないことや受給要件を満たしていればほぼ助成されるため、多くの中小企業の経営者や個人事業主も手軽に資金調達できる制度となっています。

助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!

補助金

補助金は、おもに経済産業省や中小企業庁、地方自治体が主導している制度です。
原則、返済義務がないことは助成金と変わりませんが、受給要件を満たしていても審査を受ける必要があり、採択されない可能性があります。

助成金と補助金の違いはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:補助金と助成金の違いとは?それぞれの流れや注意点、交付金や給付金との違いもわかりやすく解説!

融資

融資とは、おもに金融機関などからお金を借り受けることです。定められている期間内に返済義務があることに注意が必要です。
起業を支援することを目的に公的機関が融資を行っている場合には低金利で借りられる可能性もあります。

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起業時に助成金・補助金を利用する必要性

なぜ、起業時に助成金・補助金を利用する必要性があるのでしょうか。

それは、起業時には基本的にまとまった資金が必要となるためです。個人開業する際には、一般的に300万円程度の資金が必要といわれています。2022年に日本政策金融公庫・総合研究所が公表した「新規開業実態調査」によると、開業資金の平均値は、1,077万円となっています。また、ある程度まとまった資金があったとしても、起業後すぐに事業が軌道に乗るとは限りません。そのため、数か月~半年程度の十分な生活費を確保することも必要な要素といえるでしょう。

こうした理由から起業にあたっては、資金繰りが行き詰るリスクを低減し、事業資金を調達するために、原則返済義務がない助成金・補助金の活用がおすすめなのです。

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

起業家が活用できる助成金・補助金

起業家が活用できる助成金・補助金を紹介します。

【東京都】創業助成金

東京都中小企業振興公社が実施している創業助成金は、創業した企業のほかに、会社設立時に利用できる助成金となっています。

【対象】

  • 都内で創業予定の方
  • 創業後5年未満の中小企業者のうち、一定要件を満たしている方

【助成対象期間】
交付決定日から6か月~最長2年

【助成対象となる経費】

  • 賃借料
  • 広告費
  • 器具備品購入費
  • 産業財産権出願・導入費
  • 専門家指導費
  • 従業員人件費

【助成額】
100万円~300万円

【助成率】
2/3以内

詳細や最新情報については、以下のホームページをご覧ください。
参考:TOKYO創業ステーション「創業助成事業」

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、自社の経営を見直し、持続的な経営をするための計画を作成し、その取り組みを支援するための補助金です。

【対象者】
対象となる小規模事業者は、以下に該当する法人や個人事業、特定非営利活動法人となっています。

業種 従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下

また、その他に以下の要件をすべて満たす場合に対象となります。

  1. 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
  2. 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
  3. 持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」の提出を本補助金の申請までに行った者であること
  4. 「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと

【小規模事業者持続化補助金のコース】
以下の5つの枠が設けられています。

  • 通常枠
    経営計画を作成し、商工会などの支援を受けながら販路開拓などに取り組んだ小規模事業者を支援するコース
  • 賃金引上げ枠
    販路開拓の取り組みにプラスして、最低賃金が地域別最低賃金よりも30円以上高く設定している小規模事業者を支援するコース
  • 卒業枠
    販路開拓の取り組みにプラスして、雇用を増やし、従業員数を超えて事業規模の拡大をした小規模事業者を支援するコース
  • 後継者支援枠
    販路開拓の取り組みにプラスして、アトツギ甲子園でファイナリストか準ファイナリストに選ばれた小規模事業者を支援するコース
  • 創業枠
    産業競争力強化法にもとづいた「特定創業支援等事業の支援」を受け、販路開拓に取り組む創業した小規模事業者を支援するコース

【小規模事業者持続化補助金の補助率・補助上限】

コース名 補助率 補助上限
通常枠 2/3 50万円
賃金引上げ枠 2/3(赤字事業者は3/4) 200万円
卒業枠 2/3
後継者支援枠 2/3
創業枠 2/3

詳細や最新情報については、以下のホームページをご覧ください。
参考:商工会議所地区小規模事業者持続化補助金

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、革新的なサービス開発や生産プロセス改善のための設備投資といった取り組みをする中小企業や小規模事業者、個人事業主を支援するための制度です。

【対象者】
対象となるのは、日本国内に本社・補助事業の実施場所を有する企業であり、さらに以下の要件を満たしている必要があります。

  • 中小企業者(組合関連以外)
  • 中小企業者(組合・法人関連)
  • 特定事業者の一部
  • 特定非営利活動法人
  • 社会福祉法人

【ものづくり補助金のコース】
以下の5つのコースが設けられています。それぞれ、基本要件だけでなく追加要件があり、補助上限額や補助率も異なるため、確認が必要です。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

通常枠における補助率・補助金額は以下のとおりです。

補助率 経費の1/2(小規模企業者・小規模事業者・再生事業者は2/3)
補助金額 従業員数により異なる
5人以下 :100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上 :100万円~1,250万円

基本要件の詳細や各コースの詳細、最新情報は以下のホームページをご覧ください。
参考:「ものづくり補助金総合サイト」

また、女性起業家が利用したい助成金・補助金・融資制度は以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023最新】女性起業家が活用すべき助成金・補助金・融資まとめ!制度や選ぶポイントを解説

この他にも、都道府県によって独自の助成金・補助金制度を実施している場合があります。事務所を構える自治体のホームページを確認しましょう。

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まとめ

起業する際には、一般的に数百万~1千万円程度の資金がかかるといわれています。そのため、起業時にはもちろんのこと、事業活動を継続していくうえでもさまざまな資金が必要となるでしょう。

そのため、こうした負担を低減するために、助成金・補助金を利用することがおすすめです。今回ご紹介した以外にどのような助成金・補助金があるのか、利用できる助成金・補助金はあるのか、といった点がわからないという場合には、プロのコンサルティング業者に依頼することで、適切な助成金・補助金を選定してもらえます。

助成金・補助金の申請を検討される場合、まずは無料診断を試してみてはいかがでしょうか。
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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。