国や地方自治体において、育児休業の取得を推進する動きが広がっています。社会的にも、育児休業を積極的に推進することで、ステークホルダーにプラスな印象を与えられるでしょう。しかし、育児休業における負担をできる限り低減したいと考える企業の経営者も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では育児休業の申請に活用できる助成金をご紹介します。

育児休業における資金調達方法:助成金とは

まず、育児休業の取得を推進することにより資金調達できる可能性がある助成金制度について解説します。

助成金とは、国や地方公共団体が主導している、原則、返還不要な資金調達方法です。受給するには、助成金に定められている受給要件を満たしたうえで該当機関に申請する必要があります。
主に、労働環境の改善や雇用の促進に関する取り組みをすることで助成される制度です。

助成金の概要や補助金との違いについては、以下の記事をご覧ください。
関連記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!
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育児休業の取得を進めている企業は、申請を検討することがおすすめです。

育児休業の期間とは

ここでは、労働基準法に定められている育児休業に当たる期間について解説します。

  • 産前休暇:出産前6週間
    産前では、本人からの希望があれば休業させる必要があります。
  • 産後休暇:出産後8週間
    基本的に休業させることが義務となっています。しかし、産後6週間経過したのち、本人の申し出があり、医師の許可があれば働くことも可能です。
  • 育児休業休暇:子どもが1歳になるまでの期間
    一定の要件に該当した場合には、子どもが1歳6か月または2歳まで育児休業を延長することが可能です。

育児休業とは、出産して8週間経過後から子どもが1歳になるまでの期間の休業であることを覚えておきましょう。

育児休業についてこちらでも解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:男性の育休制度ってどんなものがあるの?各社の事例
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Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

【全国】育児休業で利用できる助成金:両立支援等助成金

育児休業でもらえる両立支援等助成金について解説します。
両立支援等助成金とは、仕事と家庭を両立させるために子育てや介護のための取り組みを実施し、雇用の継続を図っている事業者を支援するものです。

両立支援等助成金(子育てに関するもの)には、以下の2つのコースがあります。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性労働者の育児休業における雇用環境の整備などを複数実施し、実際に男性労働者が育児休業を取得した中小企業に助成金を支給するコースです。

【第1種のおもな要件】

  • 育児休業取得者の業務を代わりに行う労働者における業務規定などを策定し、体制を整えていること
  • 男性労働者が、子どもの出生後8週間以内に連続5日以上の育児休業を取得すること

このほか、代替要員加算(育児休業期間に代替要員を新規雇用すること)や育児休業に関する情報公表加算などによって支給される金額が変わります。

【第2種のおもな要件】

  • 第1種の助成金を受給していること
  • 第1種の申請を実施後3事業年度以内に、男性労働者の育児休業取得率の数値が30ポイント以上上昇していること
    もしくは、第1種の受給年度に子どもが生まれた男性労働者が5人未満かつ育児休業取得率が70%以上の場合には、その後の3事業年度の中で2年連続70%以上になること
  • 第1種申請の対象となる男性労働者以外に、育児休業を取得した者が2人以上いること

【支給額】
上記の要件を満たした場合、以下の助成金額が受給されます。

  • 第1種:20万円
    ※代替要員加算:20万円(代替要員を3人以上雇用した場合には45万円)
    ※育児休業などに関する情報公表加算:2万円
  • 第2種
    1年以内に30ポイント以上上昇した場合:60万円
    2年以内に30ポイント以上上昇した(または取得率連続70%以上)場合:40万円
    3年以内に30ポイント以上上昇した(または取得率連続70%以上)場合:20万円

男性の育児休業取得を促進する出生時両立支援コースの詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:男性の育児休業取得を促進する助成金とは?

育児休業等支援コース

育児休業等支援コースは、育児休業の取得と職場復帰しやすい環境整備を実施し、実際に労働者が育児休業を取得した中小企業を支援するコースです。

【育休取得時のおもな要件】

  • 育児休業や復帰に関するプランを労働者に周知すること
  • 育児に直面した労働者と面談したうえで、育児状況や今後の働き方の希望を確認し、プランを作成すること
  • プランにもとづいて、育児休業開始の前日までに業務の引継ぎを行ったうえで、連続3か月以上の育児休業を取得させること

【支給額】
育休取得時:30万円
職場復帰時:30万円

1事業主2人(無期雇用労働者1人、有期雇用労働者1人)まで支給されます。ただし、職場復帰時は、休業取得時の助成金を受給していないと申請できないため注意が必要です。

また、このほかにも業務代替支援や職場復帰後支援が用意されています。詳細は、以下からご覧ください。
参考:厚生労働省「事業主の方への給付金のご案内」

【東京都】育児休業で活用できる助成金:働くパパママ育業応援奨励金

育児休業取得を推進するために東京都が実施している「働くパパママ育業応援奨励金」制度の概要を紹介します。

もっとパパコース

複数の男性従業員の子どもが2歳になるまでの間に、それぞれ合計30日以上育児休業し、原職復帰後に継続雇用されている場合に支援されるコースのことです。

働くママコース

育児休業を促進する職場環境を整え、女性従業員が子どもの2歳の誕生日前日までに合計1年以上育児休業し、原職復帰して3か月経過した場合に支援するコースのことです。

働くパパコース

育児休業を促進する職場環境を整え、男性従業員が子どもの2歳の誕生日前日までに合計15日以上育児休業し、原職復帰して3か月経過した場合に支援するコースのことです。

パパと協力!ママコース

女性従業員と子どもの父親が協力して子育てすることが前提となっているコースです。育児休業を促進する取り組みや計画を作成し、女性従業員が2歳の誕生日前日までに合計6か月以上1年未満育児休業し、原職復帰して3か月経過した場合に支援されます。

それぞれのコースの対象となる取り組みや支給額については、以下のホームページをご覧ください。
参考:公益財団法人東京しごと財団「働くパパママ育業応援奨励金」

地方によって助成金制度を実施する場合がありますので、各地方自治体のホームページで確認することがおすすめです。

まとめ

最近では、女性だけでなく男性の育児休業の取得が推進されるようになっています。
助成金を活用することで、育児休業を推進する企業側の負担も、取得する従業員の負担も低減できます。
どのような取り組みが必要になるのか、具体的な施策についてはプロの助成金コンサルティング業者に相談することがおすすめです。

助成金・補助金の申請を検討される場合、まずは無料診断を試してみてはいかがでしょうか。
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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。