現在、大企業や中小企業問わず多くの企業において、DXが推進されています。ただし、DXに取り組みたいという意欲があっても、事業体制を変革しなければならないことから、実行に移せていない企業も多いのではないでしょうか。

こうした場合、助成金・補助金を活用することで、負担を軽減しながらDXに取り組むことができる可能性があります。

そこで、この記事ではDXを推進するために必要な要素や費用について解説したうえで、おすすめの助成金・補助金をご紹介します。

なぜ中小企業においてDXが重要なのか?

市場が成熟している現代において、中小企業が生き残るには、競争優位性を高めることが必要です。また、長引く不況や人材不足も懸念されているため、DXが注目されているのです。

そもそも、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「デジタル技術を活用し、事業体制やビジネスモデルを変革し、競争における優位性を確立する」ことです。ITシステムなどのデジタル技術を導入するだけでなく、自社における変革につなげることが求められます。

DXを推進することで、具体的には、以下のようなメリットが受けられます。

  • 生産性の向上による利益の向上
  • 業務効率化やペーパレス化によるコスト削減
  • 働き方改革の推進

こうしたメリットを受けるため、取り組む企業は増加しているのです。

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DXの推進に必要なことは?

DXを推進するには、デジタル技術を導入し、顧客に対し新しい価値を提供するための仕組みをつくることが重要です。その過程で、どのような要素が必要になるのかについて解説します。

DXに必要な要素

経済産業省のDX推進の手引きである「デジタルガバナンス・コード」によると、以下の4つの要素が必要です。

  1. ビジョン・ビジネスモデル
  2. 戦略
  3. 2-1.組織作り・人材・企業文化に関する方策
    2-2.ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策

  4. 成果と重要な成果指標
  5. ガバナンスシステム

戦略やビジョン、組織作りなどの方策をしっかりと定めることで、DXをどのように進めていくのかを決めることができます。どのようなデジタル技術を導入していくのかの指針にもなるため、事前に確認しておきましょう。

これらの要素のうち、「ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策」では、新たなビジネスモデルの創出に向けたシステムの導入が必要になります。そのため、DXを推進するうえで、多額なコストがかかる場合があることを把握しておきましょう。

DXにかかる費用

DXの推進にかかる費用はどの程度になるのでしょうか。

事業規模や戦略によって大きく異なってくるため、一概にはいえません。例えば、ITツールの導入であれば数十万円程度となりますが、事業の転換や審査サービスの開発などまで見据えると、数百万円~数千万円、大会社であれば数億円にもなる可能性があるでしょう。

そのため、DX推進に活用できる助成金・補助金を利用することで、多額な費用を低減することが可能なのです。

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DX推進に活用できる助成金・補助金

DX推進に活用できる助成金・補助金を紹介します。助成金・補助金は国や地方自治体が主導する返済不要な資金調達方法です。

助成金・補助金の詳細については以下の記事をご覧ください。
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【東京都】サイバーセキュリティ対策促進助成金

サイバーセキュリティ対策促進助成金とは、中小企業者などが、サイバーセキュリティ対策を実施する目的で、設備やシステムの導入を支援する制度です。

東京都内の中小企業者ではありますが、セキュリティ対策における機器やクラウド利用において、幅広い製品が支援対象となっています。

対象事業者 IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している
SECURITY ACTIONの2段階目(★★二つ星)を宣言している都内の中小企業者・中小企業団体
対象経費 サイバーセキュリティ対策を実施するために必要となる下記の機器等の導入、およびクラウド利用に係る経費
(1)統合型アプライアンス(UTM等)
(2)ネットワーク脅威対策製品(FW、VPN、不正侵入検知システム等)
(3)コンテンツセキュリティ対策製品(ウィルス対策、スパム対策等)
(4)アクセス管理製品(シングル・サイン・オン、本人認証等)
(5)システムセキュリティ管理製品(アクセスログ管理等)
(6)暗号化製品(ファイルの暗号化等)
(7)サーバー(最新のOS搭載かつセキュリティ対策が施されたものに限る)
(8)標的型メール訓練
助成率 助成対象経費の1/2以内
助成額 1,500万円(下限額 10万円)

詳細や最新情報は、「東京都中小企業振興公社:令和4年度 サイバーセキュリティ対策促進助成金 申請案内」をご覧ください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、小規模事業者や中小事業者などが、賃上げやインボイス導入などの制度変更に対応するため、革新的なサービスや試作品の開発、生産プロセスやサービス提供方法の改善に必要な設備・システムの導入を支援する制度です。

以下の5タイプに分かれており、それぞれ補助上限額や補助率が異なっています。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

ここでは、DX推進のための設備・システム投資などを支援するデジタル枠をご紹介します。デジタル枠の補助率・補助金額は以下のとおりになっています。

補助率 経費の2/3
補助金額 従業員数 5人以下 :100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上 :100万円~1,250万円

デジタル枠の基本要件やその他のタイプの詳細や最新情報は「ものづくり補助金総合サイト」をご覧ください。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に活用できる補助金です。ソフトウェアやクラウド利用費などが補助対象となっています。

以下の3タイプに分かれており、それぞれ補助上限額や補助率が異なっています。

  • 通常枠(A・B類型)
  • セキュリティ対策枠
  • デジタル基盤導入枠

通常枠(A・B類型)においては、補助率は経費の1/2、補助額は、最大450万円となっています。その他のタイプにおいても、DX推進において活用できる可能性があるため、詳細や最新情報については、「IT導入補助金2023」をご覧ください。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓などへの取り組みや、業務効率化・生産性向上にかかる経費を支援する制度です。

以下のタイプに分かれており、それぞれ補助上限額や補助率が異なっています。

  • 通常枠
  • 賃金引上げ枠
  • 卒業枠
  • 後継者支援枠
  • 創業枠

通常枠における補助率は経費の2/3で、補助上限は50万円となっています。詳細や最新情報については、「小規模事業者持続化補助金:小規模事業者事業化補助金(一般型)」をご覧ください。

その他の助成金・補助金

ご紹介した以外にも、以下のようにDX推進のために活用できる可能性がある助成金・補助金があります。

地方自治体が独自で行っている支援もあるため、自社のある地方自治体のWebサイトを確認することもおすすめです。

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DX推進に助成金・補助金を活用する注意点

DX推進に助成金・補助金を活用するうえでの注意点を解説します。

課税対象となる

助成金・補助金は原則、課税対象となります。中小企業であれば法人税、個人事業主の場合には所得税(事業所得)の対象です。ただし、消費税の対象にはなりません。

会計処理についての詳細は、以下の記事で紹介しています。
関連記事助成金・補助金の会計処理とは?勘定科目や会計時の注意点について解説

補助金は審査がある

補助金は、補助金ごとの受給要件を満たしていても、必ず受給できるわけではなく、審査を受ける必要があります。

また、補助金は予算があらかじめ決められており、公募期間が短いという特徴があります。そのため、事前準備をしっかりと行っておくことが重要です。

申請に手間がかかる

助成金・補助金を申請するには、申請書への記入や書類の準備などの手間がかかります。助成金・補助金のノウハウがない場合には、一つ一つ進める必要があるため、大きな負担になる可能性があるでしょう。

そうした場合には、助成金・補助金の申請代行を依頼することがおすすめです。申請代行については以下の記事をご覧ください。
関連記事助成金・補助金の申請代行とは?費用やメリット、選び方をまとめて解説!

まとめ

この記事ではDXを推進するために必要な要素や費用について解説し、おすすめの助成金・補助金をご紹介しました。
市場が成熟している近年において、DXを推進することが、企業の競争優位性を確保するために非常に重要です。そのためには設備やシステムの導入が必要ですが、費用がかかることから、経営的に困難な企業も多くあるでしょう。そうした場合には、返済不要な資金調達方法である助成金・補助金を活用することがおすすめです。

以下から、自社で受給できる助成金を無料診断できます。自社に適した助成金を簡単に把握できるため、一度試してみてはいかがでしょうか。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。