助成金・補助金の申請を検討している企業の中には、申請作業について不安を抱えている担当者の方も多くいるのではないでしょうか。特に、補助金については申請書類の内容により採択が左右される可能性が大いにあるため、適切な準備が必要です。そのため、助成金・補助金の申請代行を利用する企業もあります。
そこで、この記事では助成金・補助金の申請代行ができる専門家や料金相場、依頼するメリット、業者の選び方、注意点について解説します。
目次
助成金・補助金の申請代行ができる専門家とは
助成金・補助金を申請代行する場合、専門家に依頼することが重要です。それぞれどんな専門家が申請代行できるのか紹介します。
助成金を申請代行できる専門家
厚生労働省管轄の助成金は、社会保険労務士(社労士)のみ申請代行可能です。公認会計士、税理士などの資格をもっていても、社労士の資格をもっていない場合には助成金の申請代行はできないため、注意してください。
どんな社労士に依頼すべきかについては後述しているため、ここでは助成金の申請代行は社労士のみができる、と覚えておいてください。
補助金を申請代行できる専門家
補助金の申請代行には、資格が必要というわけではありません。そのため、誰でも代行業者として申請代行が可能です。一般的には、以下のような業者や資格を持っている場合に、申請代行を承っている場合が多く見られます。
- 行政書士
- 中小企業診断士
- 弁護士
- 税理士、公認会計士
- コンサルティング会社
助成金・補助金の申請代行の費用相場
助成金・補助金の申請代行を依頼する際の費用相場について解説します。ただし、助成金・補助金の種類によっても異なるため、必ず見積もりをとるようにしてください。
一般的な申請代行では、以下の費用が発生します。
- 着手金:申請代行サポートの実施前に支払うお金
- 成功報酬:助成金・補助金が支給されたときに支払うお金
※初回の相談は、基本的に無料の場合が多いです。
ここでよくある申請代行費用の支払い方法について紹介します。
よくあるパターン①:着手金+成功報酬
このパターンの相場は、着手金(2~10万円程度)+成功報酬(10~15%程度)です。
まずは着手金を支払います。その後、各助成金・補助金の支給要件に応じた事業計画の策定のアドバイスや申請書類や申請書の準備まで行ってくれます。
助成金は要件を満たしていれば基本的には受給できますが、補助金は審査ののち、採択されることではじめて受給できます。そのため、補助金の申請代行業者は、「着手金+成功報酬」の料金体系をとっている業者が多い傾向です。
よくあるパターン②:成功報酬のみ
このパターンの相場は、成功報酬(20%程度)です。
補助金の中には、受給金が高額なものも存在しています。その場合、「成功報酬のみ」の料金体系をとっている業者に依頼すると、「着手金+成功報酬」の業者に比べて多くの費用がかかる可能性があります。
そのため、申請代行業者がどのような料金体系になっているのかは事前に確認しましょう。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説助成金・補助金の申請代行を依頼するメリット
ここでは申請代行を依頼することで受けられるメリットについて解説します。
申請の手間や時間を低減できる
申請書を作成するには、申請書への記入や添付書類の準備など、多くの労力がかかります。はじめて申請する場合には、内容を理解しながら行わなければならないため、大きな負担になる可能性があるでしょう。
申請代行を依頼することで、こうした負担や人件費が低減し、本業に集中できる環境を整えられるでしょう。スキルやノウハウがない場合や注力している別の取り組みがあるといった場合には、人件費よりも外注費の方が安く収まることもあるため、申請代行を依頼する企業が多くあるのです。
経営に関するアドバイスをもらえる
助成金を申請する際には、業務効率化や生産性の向上、職場環境を改善するために、自社の事業計画を作りこむことが求められます。
その際、申請代行のプロに依頼することで、事業計画に対するアドバイスを受けられます。また、第三者視点から事業や経営の強みまたは課題を発見できる可能性もあります。
最新の情報を把握できる
助成金はそのときの社会情勢やニーズに応じて、改正されることが多くあります。また、種類が新設されたり、廃止になったりすることもあります。
助成金は数多くの種類があるため、こうした変動のすべてを自社で把握することは難しいでしょう。しかし、助成金の申請代行であれば、助成金の最新情報を把握したうえで、自社でやるべきことをサポートしてくれるのです。
補助金では採択の確率を高められる
あらかじめ予算が決められている補助金では、審査の通過が必須です。特に、人気の補助金の場合には、応募倍率が高くなる可能性が大いにあります。応募が多い場合には、審査員によって申請書の内容を審査されるため、採択されるにはどのような申請書を作成するかが非常に重要です。
そのため、申請代行の実績が豊富な専門家に依頼することで、申請書作成のポイントや審査員へのアピールできる方法などを押さえて作成してもらえるため、採択の確率が高まるでしょう。
スムーズで的確な申請を行いたい場合、まずは専門家に相談してみることがおすすめです。
助成金・補助金の申請代行業者の選び方
それでは、助成金・補助金の申請代行を依頼する場合、どのような業者を選べばメリットを最大限享受できるのでしょうか。ここからは、申請代行業者を選ぶポイントとして以下の3つについて解説します。
- 資格をもっているか
- 実績や経験は豊富か
- サービスや料金体系が自社に適切か
一方、申請代行業者の中には専門的な知識がないのにもかかわらず、着手金を得ようと受給を勧めてくるような悪質な業者もいます。そのため、一定の品質が担保される基準として、資格や実績・経験の有無を確認することがおすすめです。
資格をもっているか
助成金の申請代行は、社労士の資格をもっていることが必須です。ただし、社労士事務所以外でも、社労士が在籍していたり、社労士と業務提携していたりすることで、助成金の申請代行している企業もあります。
一方、補助金の申請代行は特別な資格は必要ではありませんが、中小企業診断士・行政書士などは、補助金に関する知見が深い資格といえるでしょう。補助金の申請代行を依頼する際には参考にしてください。
実績や経験は豊富か
申請代行に知見のある資格をもっていても、助成金・補助金の申請代行を積極的に行っているとは限りません。そのため、申請代行の実績や経験が豊富かどうかは確認することがおすすめです。
また、申請代行における打ち合わせの中で、補助金の申請に必要な事業計画書をより洗練できる場合もあり、採択の確率を高められる可能性もあります。
サービスや料金体系が自社に適切か
助成金・補助金の申請代行を依頼した際に、打ち合わせから申請までに必要な手続きやサポート内容について確認しましょう。例えば、初回相談の予約のしやすさや自社に適した助成金の提案、事業体制のアドバイスが可能か、コミュニケーションが丁寧かといったサービスに関する内容です。
また、料金体系についても確認しておきましょう。金額だけでなく、着手金が必要なのか、成功報酬のみの料金体系なのかについても見積もりを依頼してください。費用を抑えることも大切ですが、あまりに料金が安い業者は思ったようなサービスを受けられないリスクがあります。相場よりも明らかに金額が安い場合には、理由を確認して見極めることが重要です。
柔軟な対応が可能か
相談したいときに、すぐに相談できる対応力があるかどうかを確認しましょう。
例えば、オンラインツールの活用は可能か、スピーディーな対応をしてくれるか、訪問は何回までかといった点です。
特にはじめて助成金を申請する際には、寄り添った対応をしてくれると安心できますよね。普段からどのようにコミュニケーションが取れるのかは十分に確認しておきたいところです。
助成金・補助金の申請代行業者を選ぶ際の注意点
それでは、最後に助成金・補助金の申請代行業者を選ぶ際の注意点を解説します。
サポート内容を正確に把握する
サポート内容については正確に把握しましょう。
契約後に「○○はサポート範囲外です、別途料金がかかります」ということになると、余計に費用がかかる可能性があるためです。
不明点や不明瞭な点があれば詳細を必ず確認し、契約書面にて確認することがおすすめです。
一から丸投げはできない
申請代行業者は、助成金のプロではあるもののあくまで申請サポートであることは留意しておきましょう。
「助成金を受給できるように、事業計画の立案や取り組みの実施をすべてお願いします」という依頼はできません。自社の経営がより改善・発展していくために、サポートしてもらうという気持ちで依頼しましょう。
悪質な代行業者でないか見極める
助成金の申請代行業者の中には、悪質な代行業者も存在します。例えば、虚偽申請などの不正受給をするようにいわれたり、後から高額な報酬を請求されたりする可能性があるのです。
こうした事態に陥らないように、過去の実績や評判については十分に調べてから契約しましょう。また、契約時のサポート内容や料金については、必ず書面などの形に残るもので受け取ってください。
まとめ
助成金・補助金の申請代行を依頼することで、自社にかかる負担を低減するだけでなく、補助金の場合には採択率の向上につながります。
メリットを最大限受けられるように、申請代行業者を選定する際にはきちんとコミュニケーションを取り、納得したうえで依頼してください。助成金・補助金の申請を検討している企業の方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。