育児休業を取得する女性は多く見かけるようになりましたが、男性で育児休業を取得している方はまだまだ少ないのが現状です。それは、男性の育児休業の取得には、さまざまな問題が伴うためです。

育児休業中の給与保障や空いた人材の補てんは、ただでさえ、会社の負担となります。簡単に育児休業の取得に首を縦に振ることはできません。どこで、そんなリスクを補助するために設けられた助成金があります。

男性の育児休業取得を促進するための両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

男性の育児休業取得がなかなか浸透しないことから、男性の育児休業取得を推進するために両立支援等助成金という制度が設立されました。両立支援等助成金は、男性社員の家庭に子供が生まれた後、8週間以内に5日以上(大企業の場合は14日以上)の育児休業を取得させた事業主に対し、助成金を支給するというものです。

助成金の金額は、中小企業の場合、対象労働者1人に対し最大72万円、2人目以降で最大18万円支給されます。大企業の場合、対象労働者1人目の育休で最大36万円、2人目以降で最大18万円支払われます。男性社員が育児休業を取得することで、企業がダメージを受けないよう、国が企業をサポートする支援制度となっています。

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男性の育休は当たり前になってきている!?

少子化解消のための政策の1つとして、2020年度までの男性の育児休業取得率の目標を13%と掲げています。厚生労働省の調査によると2017年度の育休対象者となる全社員のうち、実際に育児休業を取得した女性が83.2%であったのに対し、男性は5.14%しか育児休業を取得できていません。5.14%と聞くと残念ながら、まだまだ男性の育児休業は一般的とは言えません。しかし、2010年に1.38%だった割合が、2011年には2.63%、2015年には2.65%と徐々にではありますが、年々男性の育児休業取得率は上がってきています。

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「育休か取れない」は優秀な人材を取り逃がす原因になるかも?!

男性が育児休業を取得することに対して、国内では以前よりは温かい雰囲気が生まれています。それでも男性の育児休業取得率がなかなか大きく上がらないのには、やはりまだまだ男性の育児休業取得を申請しにくい職場環境があるからではないでしょうか?

たとえば、父親となった男性が育児休業を取得しても、部内で仕事をサポートする体制が整っていなければ、その男性が仕事を休むことで他の社員に迷惑がかかってしまいます。また、職場の上司が男性の育児参加に理解がなく、男性が子育てのために仕事を休むと人事評価が下がるケースも存在しています。このように育児休業の制度はあっても、実際には取得できない理由がその背景にあるのです。

しかし、働き方改革や仕事に対する考え方は以前と比べ、大きく変化しています。仕事だけでなくプライベートを充実させたい、家族と過ごす時間を優先させたいと考えている人が若い社員ほど多くなっているのです。

最近では仕事ができる人ほど、自己管理への意識が高く、仕事以外のことも充実させようとする傾向があります。ですから、育児休業を申請しても許可されないような古い体質の企業には、若い人も魅力を感じてはくれません。いつまでたってもワークスタイルに選択肢がなく、男性の育児休業取得にも消極的な企業には、優秀な人材が集まらなくなってしまうのです。

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育児休業を断ると罰則もある?!

育児休業を取得する権利が認められている人から、育児休業の申請があったにも関わらず、それを拒否したり、育児休業取得を理由に不利益となる降格や解雇を行ったりした場合、企業側は罰則を言い渡されることがあります。

育児休業の申請を事業主が拒否し、さらに厚生労働大臣の是正勧告を受け入れず、育児休業を受けられなかった場合、国は企業名を公表することができます。また、都道府県労働局に対し事業主はその状況を報告する義務が生じます。事業者がこの報告をしない場合や虚偽報告をした場合には、20万円以下の過料が処されます。

男性の育児休業を断ることは、企業側にとってもデメリットになってくるのです。人員の少ない企業にとって育児休業取得の及ぼす影響は大きな負担となりますが、育てた人材を失うことはそれ以上のリスクとなります。育児休業の助成を活用し、離職させない仕組みを構築して、優秀な人材の育成と企業の向上を目指していきましょう。

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弊社担当のご紹介
道政典子
道政典子(助成金コンサルタント)
入社3年目。助成金申請サポート含む複数事業を展開する会社の経営経験を活かし、主に助成金を活用した女性が働きやすい環境づくりをサポート。現在は年間80社以上の企業を支援する。