近年政府を主導に、働き方改革が叫ばれています。これは、少子高齢社会に伴い、働く世代の人材が不足していることや不景気に伴い非正規雇用が増加したことによる格差を改善すること、長時間労働を解消しライフワークバランスを取ることなどへの対策に取り組むことです。
特に、子育てなどの世代や介護をしなければいけない人材は、本人が退職したくても退職せざるを得ない状況になっている場合も多くなっています。
また、長時間労働をしても、日本は労働生産性が低いことも問題となっているのです。こうしたことから、働き方改革は、多様な働き方を認める、さらには同一労働同一賃金を掲げており、どんな働き方でもきちんとその労働に見合った賃金を手にすることができるような社会環境作りが目指されています。
今回は、働き方改革に伴い、既に他の企業で実施されている取り組みについて紹介します。これから社内制度を作ろうとしている場合、参考にしてみてください。
法制度の枠を超えた手厚い育児休暇制度
今や多くの企業で育児休暇制度は取り入れられています。しかし、法律で定めているのは最低限度の休暇でしかなく、保育園に入れない場合などには、退職しなければならない場合もあるのが現状です。さらに男性の取得率の低さも課題になっています。
そんな中、こうした法制度よりも手厚い制度を採用している企業も増えてきています。
たとえば、トヨタ紡績株式会社では、子どもが3歳になるまで育児休職が可能となっています。3歳になると幼稚園などに入れるため、保育園に預けられない状態でも職場に復帰することができるようになるのです。さらに、事務・技術部門では子どもが8歳になるまで時短勤務を認めているのも特徴になっています。
また、花王グループでは男性の育児休業取得を推進するために、リーフレットの配布など啓発に努めています。
東急百貨店では、グループ会社で土日祝日専用の保育施設を設けており、サービス業に携わる社員が働きやすくなっているのです。
多様な短時間労働制度
時短勤務を採用する企業も増えてきていますが、人によってはそれでも働きづらいと感じる場合もあります。そこで、一歩進んだ取り組みをする企業も増えてきています。
ジェータックスの場合、1日5、6時間の勤務時間において、昼休憩を挟んで2時間のコアタイムを設定したフレックス制度を採用しています。ミーティングなどはこのコアタイムに実施することで、社内のコミュニケーション時間の確保や、時短勤務者のキャリア形成を妨げないようにしているのです。
ブラザー工業株式会社では、小学4年生までの子どもを持つ従業員や家族の介護を行う従業員を対象に、1日の労働時間を5時間50分か6時間50分と選べるようにしています。
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助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説利用しやすいフレックスタイムを導入
さらに、フレックスタイム制度についても、育児や介護に携わる社員が利用しやすい制度に変えている企業も多くみられます。
たとえば、日産自動車ではコアタイム設定のないフレックスタイム制度を実施しているのです。
法律の枠を超えた働き方改革への取り組みで助成金制度の利用も
あらゆる社員の働き方を認める取り組みが、企業によっては少しずつ法律の枠より手厚く行われるようになっています。
制度を導入しただけでは、社員の働き方は変わらないかもしれません。
なお、各自治体などで働き方改革を実施した企業に対して助成金を支給する取り組みを実施しています。そのため、コストがかかりそうな制度設計などはこうした助成金を利用して取り組むことが可能になっているのです。ぜひ検討してみましょう。