育児休暇後、復帰せずに退職する人が存在します。育休は原則として職場復帰が前提ですが、なぜ育児休暇後に退職してしまうのでしょうか。
まずは、出産や育児のために退職する従業員の現状を知りましょう。育児休暇中に従業員が考えることや育児休暇後の退職を防ぐ対策を知ると、そのヒントが掴めます。

出産や育児を理由に退職する従業員

平成22年に国立社会保障・人口問題研究所が発行した「第14回出生動向基本概要」によると、第1子出産前に仕事をしていたのは70.7%。しかし第1子を出産した後も継続して働いた女性は、育休なし・育休利用合わせて26.8%しかいません。そして育休を利用していたのは17.1%だけです。
このように、多くは出産を機に退職していました。また出産後に継続して働いている人の割合も高くありません。さらに育休を利用している人も少なく、また育休後に退職してしまう人も存在するのです。

別の観点からデータを見てみましょう。平成30年に厚生労働省が発表した「平成 29 年雇用動向調査結果の概況」を見ると、平成29年時に個人的理由で離職した人は全体の74.7%。うち出産・育児を理由にあげたのは1.6%でした。平成28年度は、女性で1.3%でしたので、0.3%上昇していたと分かったのです。

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どうして退職という選択をするのか

どうして育児休暇後に退職してしまうのでしょう。

育児休暇中は、人と会う機会が減るうえに慣れない育児を行うため、不安がつのります。その不安により、「育児と仕事の両立は難しいのでは?」と育児中に考えてしまうのです。

さらに、

  • 周囲は働いているのに休暇をもらっていていいのかといった申し訳なさ
  • 休暇をもらったことで人間関係が壊れないか
  • 通勤時間と仕事を考えると両立が難しいのではないか

などさまざまなことを悩んでしまいます。

こうした点から、「復帰するのは難しい」という結論に至り、退職という選択をしてしまうのです。

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育児休暇後の退職を防ぐ対策

退職を防ぐにはどうしたらよいのでしょう?

退職を選ぶ裏側を踏まえたうえで退職を防ぐ対策、具体的には、

  • 復職しやすい環境づくり
  • 復職への不安を減らす試み

を実施していくことが重要です。

まず2016年にen人事のミカタが実施した第113回 「育児休業について」の調査結果から、「育児休業からの復職のために行なっている支援」を見てみます。

それによると、

  • 「復職前に面談を実施」62%
  • 「休業前に面談を実施」58%
  • 「休業中に職場の同僚・上長と情報交換」45%

またその他として、時短勤務制度や託児所の設置、復職の際働き方を選べる、といった内容があげられています。

面談は非常に有効です。

  • 「これから休むけれど大丈夫かな?」といった不安を抱える休業前
  • 「また元のように仕事できるだろうか」と悩みを持つ復職前

休業前、復職前どちらでも面談を行うことで、従業員が持つ心の重荷をケアできます。

さらに、

  • 時短勤務制度
  • 託児所の設置
  • 復職の際働き方を選べる

ことも欠かせません。

時短勤務制度や復職の際働き方を選べることで、従業員はワークライフバランスに沿った働き方を叶えられます。それにより、仕事を続けることがスムーズになり、「辞める」という選択肢が消えていくのです。また託児所を設置すれば、子どもを預ける先についての不安が減るでしょう。

その他、研修や休業者のみのミーティングも重要です。休業を取って間が空いてしまうと、

  • 業務に関して忘れてしまったこと
  • 変更・追加されたため知らないこと

も増えてしまいますよね。そうした面をカバーしつつ、面談で働き方・人間関係などトータルな面をフォロー、さらに時短勤務制度や託児所で育児という現状に寄り添う、これにより従業員は、「ここでなら働いていける」と安心感が芽生えるのです。

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まとめ

育児休暇中は、何かと不安がつきものです。
その不安には、

  • 仕事と育児の両立
  • 復帰後、仕事がきちんとできるか
  • 周囲は働いているのに休暇をもらっていいのか
  • 休暇によって人間関係は壊れないか

など、さまざまな要素が含まれます。こうした不安に会社が寄り添いケアをする対策を行うことで、育児休暇後の退職を防げるでしょう。

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弊社担当のご紹介
道政典子
道政典子(助成金コンサルタント)
入社3年目。助成金申請サポート含む複数事業を展開する会社の経営経験を活かし、主に助成金を活用した女性が働きやすい環境づくりをサポート。現在は年間80社以上の企業を支援する。