ものづくり補助金は、設備投資や新製品開発などの取り組みを実施する中小企業の資金調達となる代表的な制度です。幅広い取り組みが補助対象となることから、多くの企業が活用しています。
しかし、これからものづくり補助金を申請する場合に、「自社が対象かわからない」「導入したい設備が対象かわからない」とお悩みの企業も多いでしょう。
そこで、この記事ではものづくり補助金の概要や対象となる事業主の要件、対象となる経費について解説します。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、革新的サービスや試作品開発、生産プロセスの改善に取り組む中小企業・小規模事業者を対象に、設備投資などにかかる費用の一部を補助する制度です。
正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」ですが、一般的にはものづくり補助金と呼ばれています。
ものづくり補助金は、取り組み内容によって以下の2つのコースが設けられています。
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
また以下の特例措置を行うことで、補助率や補助上限額が引き上げられる場合があります。
- 大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例
- 最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例
ものづくり補助金の各コースの概要や補助率・補助上限額などの詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2025最新】ものづくり補助金とは?各コースを徹底解説


ものづくり補助金の対象となる事業主
ここでは、ものづくり補助金の対象となる事業主について解説します。
事業主の種類・規模
ものづくり補助金の対象となる事業主の主な種類は、以下のいずれかに該当する事業者です。
種類 | 概要 |
---|---|
中小企業者 | 従業員数や資本金額が一定以下の会社または個人、組合または連合会(企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合など) |
小規模企業者・小規模事業者 | 従業員数や資本金額が一定以下の会社または個人 |
特定事業者の一部 | 資本金が10億円未満かつ常時使用する従業員数が300人~500人以下の会社または個人など |
特定非営利活動法人 | 従業員数が300人以下であること |
社会福祉法人 | 従業員数が300人以下であること |
中小企業者や小規模企業者・小規模事業者の対象となる企業規模は、業種によって細かく定義づけられています。ここではそのうちの対象となる小規模企業者の規模を紹介します。
・中小企業者の対象となる企業規模
業種 | 定義 |
---|---|
製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他 |
|
上記のうち、ゴム製品製造業 |
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卸売業 |
|
サービス業 |
|
上記のうち、ソフトウェア業または情報処理サービス業 |
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上記のうち、旅館業 |
|
小売業 |
|
・小規模企業者・小規模事業者の対象となる企業規模
業種 | 定義 |
---|---|
製造業、その他 | 常時使用する従業員の数が20人以下の会社または個人 |
商業・サービス業 | 常時使用する従業員の数が5人以下の会社または個人 |
上記のうち、宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数が20人以下の会社または個人 |
事業主の業種
ものづくり補助金は、「ものづくり」という名称はついているものの、多種多様な業種が対象となっています。例えば、以下のような業種も含まれています。
- 農業
- 林業
- 漁業
- 製造業
- 建設業
- 運輸業
- 旅行業
- 卸売業
- サービス業
- 小売業
- ソフトウェア業又は情報処理サービス業
- 職業紹介・労働者派遣業
ものづくり補助金を申請する際には、業種分類においてはものづくり補助金ホームページで提供されている資料を参照してください。
その他の要件
ものづくり補助金の対象となる事業者は、「日本国内に本社および補助事業の実施場所(工場や店舗など)を有する事業者」に限ります。
またグローバル枠のうち、グローバル枠のうち、海外への直接投資に関する事業を行う場合においては、日本国内のほかに海外にも補助事業の実施場所を有していることが必要です。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説ものづくり補助金対象外となる事業主の要件
ものづくり補助金対象外となる事業主の主な要件を紹介します。
- 本補助金の申請締切日を起点にして16か月以内に、「中小企業新事業進出促進補助金」「中小企業等事業再構築促進補助金」「ものづくり補助金」のいずれかの補助金の補助金交付候補者として採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)、または申請締切日時点において以下の補助金の交付決定を受けて補助事業実施中の事業者
- 申請締切日を起点にして、過去3年間に2回、ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者
- みなし大企業・みなし同一事業者
- 公募開始日時点において、確定している(申告済の)直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
この他にも対象外となる要件はあるため、詳細は公募要領や補助金コンサルタントに確認してください。


ものづくり補助金の対象事業
ものづくり補助金の対象事業は、以下のとおりです。
コース名 | 対象事業 |
---|---|
製品・サービス高付加価値化枠 | 革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システムに投資すること |
グローバル枠 | 海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システムに投資すること |
それぞれの支給要件は細かく設定されているため、公募要領や補助金コンサルタントに確認することが大切です。
実際にものづくり補助金を利用した事例から、対象事業を紹介します。
- 新サービスを提供するヘアカラー専門店の開発のために、自動洗髪機を導入した
- 製造業において、「生産体制のIT化」のために、生産管理システムを導入した
- 物流業において、食材の販路拡大のために、製氷機を導入した
この他にも、ものづくり補助金総合サイト「成果事例のご紹介」からさまざまな対象事業の事例を確認できます。
ものづくり補助金の対象経費
ものづくり補助金の対象経費を以下にまとめました。
経費の種類 | 概要 |
---|---|
機械装置・システム構築費(必須) | 機械装置や工具・器具、専用ソフトウェア・情報システムの経費など
※単価50万円(税抜)以上であること |
運搬費 | 運搬料や宅配・郵送料などの経費 |
技術導入費 | 本事業の実施に必要な知的財産権などの導入にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
知的財産権等関連経費 | 新製品・新サービスの事業化にあたって必要となる知的財産権の取得にかかる弁理士の手続き代行費用など
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
外注費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計などの一部を外注にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
専門家経費 | 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/2 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用にかかる経費 |
原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料や副資材の購入にかかる経費 |
海外旅費 (海外市場開拓・輸出に関する事業のみ) |
本事業に必要不可欠な海外渡航や宿泊などにかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5 |
通訳・翻訳費 (海外市場開拓・輸出に関する事業のみ) |
事業遂行に必要な通訳・翻訳を依頼する際にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5 |
広告宣伝・販売促進費 (海外市場開拓・輸出に関する事業のみ) |
本事業で開発する新製品・新サービスの海外展開に必要な広告の作成や媒体掲載・展示会出展などにかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5 |


ものづくり補助金の対象外となる経費
ものづくり補助金の対象外となる経費の主な要件をまとめました。採択決定後であっても、以下に該当することが判明した場合、補助対象外になるため、事前に公募要領や補助金コンサルタントによく確認してください。
- 補助事業実施期間中の販売を目的とした製品・サービス等の生産に係る機械装置・システム構築費以外の諸経費。(試作品の原材料費は補助対象、グローバル枠のうち海外市場開拓(輸出)に関する事業におけるテスト販売については、原材料費以外も補助対象)
- 工場建屋、構築物、簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウスなど)の取得費用及びこれらを作り上げるための組み立て用部材の取得費用
- 再生エネルギーの発電を行うための発電設備及び当該設備と一体不可分の附属設備(太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど)
- 設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用
- 事務所等にかかる家賃、保証金、敷金、仲介手数料、水道光熱費など
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費(クラウドサービス利用費に含まれる附帯費用は除く)
- 商品券等の金券
- 文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
- 飲食、奢侈、娯楽、接待等の費用
- 不動産の購入費、自動車等車両の購入費・修理費・車検費用
- 税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のための弁護士費用
- 収入印紙
- 振込等手数料(代引手数料を含む)及び両替手数料
- 公租公課(消費税及び地方消費税額など)
- 各種保険料
- 借入金などの支払利息及び遅延損害金
- 報告書等の事務局に提出する書類作成・申請に係る費用
- 汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費(ただし、補助事業のみに使用することが明らかなものは除く)
例:事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォン・デジタル複合機、キュービクル、乗用エレベーター、家具、3D プリンター - 中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費(3者以上の中古品流通業者から型式や年式が記載された同等の中古品の相見積りを取得している場合等を除く)
- 事業に係る自社の人件費(ソフトウェア開発等)
- 同一代表者・役員が含まれている事業者、資本関係がある事業者への支払い
- 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
まとめ
この記事ではものづくり補助金の概要や対象となる事業主の要件、対象となる経費について解説しました。
ものづくり補助金は、幅広い業種・規模の組織が活用できる補助金です。対象となる事業や経費をよく把握したうえで、自社に必要な設備・システムの投資に役立てましょう。
そのために、ものづくり補助金の受給を検討している事業主の方は、プロのコンサルタントに相談しながら取り組むことがおすすめです。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。
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