多くの企業が内部留保でお金を貯め込み、それを投資や従業員に還元していないという声もあります。それは一部の大手企業の話であって、中小企業や零細企業では、守りに入るのではなく、さらなる業容拡大や人材育成のための投資が欠かせません。これらの企業には内部留保等の余裕資金があるわけではなく、公的機関からの助成金が大きな力となるのです。助成金を得るには、申し込み手続きを行うことになります。公的機関への申請手続きですから、支給要件は厳格で手続きも難しいと考えなくてはいけません。そうなると、専門家に手続きの代行を依頼したほうがいいのか、担当者が一人で行ったほうがいいのか迷うことになるでしょう。代行費用を節約する意味では、自分で行ったほうがいいのですが、ここでは具体的に助成金の申請を一人で行った場合のメリットデメリットについて考えてみます。

助成金と似たような言葉に補助金があります。助成金と補助金では何が違うのか。さらに、助成金の手続きを代行してもらうには誰に頼んだらよいのかを説明し、そこから自分で助成金の手続きをする方法、それに対するメリット、デメリットについても紹介します。

助成金と補助金の違いについて

助成金と補助金の意味合いはほぼ同じですが申請先が違います。ここでは、助成金と補助金について紹介します。

① 助成金について

助成金は国や地方自治体などさまざまなものがありますが、厚生労働省管轄のものが多いのが特徴です。というよりも助成金といえば、厚生労働省関係……と考えたほうがいいでしょう。受給要件を満たし書類に不備がなければ原則として受け取ることができるのも助成金の特徴で、雇用関係等助成金の申請先窓口はハローワークが一般的です。

② 補助金について

補助金の管轄は経済産業省です。管轄の違いが助成金と補助金の違いと考えて間違いありません。性格が似ているので助成金と補助金を同じように考えてしまいがちで、大きくは変わらないのですが、助成金は書類などをしっかりと揃えれば受け取ることができるのに対して、補助金の場合は「結果を示す」必要がある点に大きな違いがあるといっていいでしょう。具体的には、事業内容がいかに必要であるのかをアピールすること、さらには、その事業にお金をどれだけ使ったかを証明する書類などの提出が必要です。
以上のことから、助成金、補助金とも申請に対して審査が必要なのですが、書類内容と審査を考えると、助成金よりも補助金のほうが内容は厳しくなっているのが一般的です。

助成金の申請を一人で行うメリット

助成金の申請を一人で行うメリットについて考えます。

①代行費用がかからない

個人事業や中小企業であれば、一人で申請作業を行うのはひとえに経費削減のためです。代行を依頼するとそのための代行費用がかかります。助成金代行作業は社会保険労務士に依頼することになるのですが、助成金の申請手続きの代行料は成功報酬が一般的です。代行料は、助成金受給額の15%が相場となっているようです(顧問であればさらに割安となります)。

②申請ノウハウを得ることができる

自分で書類作成や申請手続きを行うことで、申請ノウハウを得ることができます。それは、次回の助成金申請の際に役立つことは間違いありません。

③事業経営の根幹を理解する

助成金申請手続きに必要な書類は、就業規則や社内規定など事業経営や雇用関係に関することが多く、その関係の書類整理は、事業継続には必要不可欠なものです。そのため、助成金申請のための書類作成はそのまま事業経営に活かすことができるのです。

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助成金の申請を一人で行うデメリット

助成金の申請を一人で行うデメリットは以下の通りです。

① 専門家に依頼する安心感

助成金の申請が初めてであれば、何をしていいのか最初からつまずいてしまいます。それが、実績経験の豊富な社労士に依頼することで、安心を得ることができるのです。

② 社内工数がかからない

申請のノウハウがなければ、一から試行錯誤を繰り返さなければいけません。社内工数も上がりますし、費用対効果を考えると社労士に申請の代行を依頼するほうがコスパ的に良いケースもあります。

まとめ

補助金と違って、助成金は必要な書類を揃えると、給付を受けるのはそれほど難しいものではありません。そのため、社労士が設定している、助成金の申請代行料も「成功報酬」となっているのです。書類作成は大変ですが、個人事業や中小企業でしたら、経験値を積み上げて行く意味でも、社内工数(内作)によって、助成金の申請手続きを行うようにしたほうがいいでしょう。就業規則などを提出することも多く、そういった整備を考えても書類作成が無駄になることもありません。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。