志を持って事業を立ち上げても、資金が不足していると思うように展開できません。創業時に必要となる運転資金や設備費用の工面に、頭を悩ませている個人事業主は多いのではないでしょうか。創業補助金は、新たに事業を始める人に対して資金の一部を支給する制度です。もちろん金額には制限がありますが、補助対象として認められる経費の種類も幅広く、何より返済の義務のない創業資金であるのは喜ばしい限りです。新規開業、起業するならばぜひ知っておきたい、創業補助金の利用について解説していきます。

創業補助金の目的

創業補助金は、新たな需要や雇用の創出を促進し、国の経済を活性化することを目的とする制度です。新しく事業を立ち上げたり、起業したりする事業者に対して、創業にかかる経費の一部を助成することでサポートを行います。
開業にあたっては、店舗賃借料や設備費、人件費、広告費など多額の資金が必要となります。創業補助金を活用することで、不足する創業資金を補てんでき、返済の義務を負いません。事業の成功が未知数の時期にあって、事業者にとっては非常にありがたい制度といえるでしょう。

創業補助金の対象者

  • 新たに創業する者であること
  • みなし大企業でないこと
  • 個人の場合、日本国内に居住し、日本国内で事業を興す者であること
  • 事業実施完了日までに、新たに1名以上雇い入れること
  • 産業競争力強化法に基づく認定市区町村における創業であること
  • 産業競争力強化法に基づく認定市区町村または認定連携創業支援事業者から同法第2条第25項に基づく認定特定創業支援事業を受ける者であること
  • 訴訟や法令順守上の問題を抱えている者ではないこと
  • 反社会的勢力との関係を有せず、反社会的勢力から出資等の資金提供を受けていないこと

個人事業主であっても補助金を受給する際には、1名以上の従業員が必要となることに注意しなければなりません。

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創業補助金を受給できる条件

  • 認定市区町村からの特定創業支援事業を受けていること
  • 事業の独創性:独創的な新たな商品やサービス・工夫があること
  • 事業の実現可能性:コンセプトが明確で、人員の確保に目途がたっていること
  • 事業の収益性:ターゲットが明確で、売上見通しに妥当性と信頼性があること
  • 事業の継続性:実施スケジュールが明確で、リスク等に適切に対応できること
  • 資金調達の見込み:金融機関からの資金調達が見込めること

創業補助金の申請が採択されるためには、事業の存続と収益性が示されなければなりません。そのためには、実現可能なビジネスプランや売上見通しを作成する必要があります。

創業補助金の支給額

創業補助金の支給額は、補助対象と認められる経費の1/2以内とされています。
実際の金額としては外部調達資金がある場合では50万円以上200万円以内、外部調達資金がない場合では50万円以上100万円以内となっています。
例えば、マーケティング調査費用が150万円だった場合には、1/2の75万円が補助されます。
外部調達資金のある事業所で、設備費に500万円かかった場合には、1/2の250万円のうち上限の200万円が支給額となります。

創業補助金の申請方法

  1. 応募書類をダウンロードし、創業・事業承継補助金事務局に郵送または電子申請を行う
  2. 採択審査の結果通知
  3. 交付申請書の提出
  4. 事業の開始
  5. 事業状況のチェック
  6. 事業内容と経費の報告
  7. 補助金の交付

創業補助金の申請にあたっては、事業計画や創業形態(個人事業、法人など)、収支・資金計画、年間スケジュールなどを記載した事業計画書の提出が必要となります。
選考は、資格要件等及び事業内容等の審査を踏まえ、地域審査会により行われます。

創業補助金を受給申請する際の注意点

受給申請は、開業後に行います。
創業、起業をサポートする創業補助金ですが、必ずしも申請が通るわけではありません。
補助金申請の採択のポイントは、「事業の独創性」「事業の実現可能性」「事業の収益性」「事業の継続性」「資金調達の見込み」「認定支援機関による支援の確実性」と公表されています。
選考基準を良く理解して、事業構想を練り上げていくことが大切です。
新しい着想の事業であっても、実現性があれば受給は可能です。逆に一般的な業種でも、収支や資金計画に根拠が見えなければ採択に至りません。
経費の項目は多いものの、その中で対象外となる経費もあります。補助対象経費は、幅広く捉え、多めに計上しておくと良いでしょう。
また、経費の内容について変更がある場合には、事務局へ報告し、事前承認を得る必要があります。
創業補助金の受給後は、事業の状況を5年間事務局に報告しなければなりません。その間、一定以上の収益があれば、支給された補助金を上限として納付する義務があります。

まとめ

返済する必要のない創業補助金は開業や創業を支援する、心強い制度です。しかし、起業する誰もが簡単に受給できるわけではありません。また、対象経費のすべてを援助するのではなく、上限の金額内で経費の1/2だけが交付されます。対象外となる経費も多いため、内容を十分に把握しておかなければ、期待したほどの金額とならない場合もあります。受給申請を行う際にはその点を理解し、説得力のある数値を記載した事業計画を作成して確実な採択をねらっていきましょう。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。